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5.肉、それは人類史上なくてはならない食材である

 「それじゃ、私は宿題があるから…」

 と巫女は言い残してこの場を去っていった。

 しかし、俺は知っている。

 あいつはおとなしく宿題をやるようなやつではない。

 では、なぜそんな妹が言い訳までもしてこのリビングから退場したのか?

 その謎はすぐに判明することとなった。


 巫女が去ったのを合図に、母は俺に詳しい話を聞かせた。

 というのも、書留には他にも入学手続きの書類をはじめとした多くの資料が同梱されていたという。

 その中身を一通り読んだということで俺は説明を受けた。

 まだ口をつけていなかった晩御飯を食べながら。


 といっても実際のところ俺はほとんど話を聞いていなかった。

 まさにその話をされている最中に心を痛めることとなったからである。


 二野坂学園の編入


 皆様の中にはこれが原因とお考えの方が多いだろう。

 しかし心を痛めている理由ではない。

 そもそもこの話自体信じているわけではない。

 信じたところで編入する気もない。

 でも話くらいは聞いておくか、みたいなノリで聞くことにした。

 というながれである。


 じゃあ、原因は何か?

 それはね、

 「…肉が。」

 あれほどお願いしたにも関わらず。

 肉という誰もが食べたいその食材を。

 すべて巫女に食われてしまったことである。


 肉なしキムチ鍋を完食した俺は母に軽く会釈してリビングを後にした。

 本来であれば家事は巫女がこなしてくれるのだが、後片付けは母が引き受けたようだ。

 ならば巫女は部屋にいることになるな。


 俺は2階にある巫女の部屋に向かった。

 ドドン、ド、ドドン。

 昔から妹の部屋に入るときはドアをノックするようにしている。

 兄弟だからといってもお互い年頃の男女だ。

 キィ~

 ドアを少しだけ開けて巫女は頭だけ廊下に出した。

 「何かな、お兄ちゃん?」

 上目遣いで俺の事を見上げてくる巫女。

 余談たが、巫女は普通に可愛いと思う。

 身長こそは140センチと中学1年生にしては小柄な方だが、黒髪にツインテールにくりっとした目。スタイルも悪くなく出るところはちゃんと出ているくせに、余分に出ている部分は無いといって過言では無い。

 つまり、巫女というのはその、なんというか、けしからん奴だ。

 「お兄ちゃん、今変なこと考えなかった?」

 顔に出ていただろうか。

 まぁ、今はそんなことどうでもよい。

 「妹よ、確かにやましいことは考えていた、かもしれない。」

 「うわ、マジですか。」

 「しかーし、本題は違う。」

 俺がここにきた目的、それは・・・

 「貴様が肉を全て食べた罪を裁きにきたのだー!」

 そして俺は巫女に掴みかか・・・


 「きゃっ!」

 ・・・れなかった。

 しかもその勢いで妹を押し倒してしまった。

 この状況が社会的に実にヤバイことくらいは重々承知している。

 しかも、さっきやましいことを考えていたためか余計意識してしまう。

 さて、どうしたものか。

 「お兄ちゃん・・・」

 ふと、巫女が言葉を発した。

 お互いの顔の距離は実に15センチ。

 さぁ、何と言うのか?

 「お兄ちゃんのエッチ!」

 蹴り飛ばされてしまった。

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