21-1.妹との時間 ~巫女Side~
この話を読まなくても問題はありません。
私は強がりだ。
物心ついたときから兄は私の生活の一部に溶け込んでいた。
だから、特に意識することは無かった。
その意識が変わったのは小学校の四年生の頃だっただろうか。
当時コミュ障だった私は友達が多いほうではなかった。
だから放課後は家で過ごすことが大半だった。
母親は仕事に行っているから、家には一人だった。
兄は毎日のように友達と遊びに行っていた。
でも、毎日一人だったわけではない。
兄は週に2、3回は私と遊んでくれた。
友達との約束を断ってまでだ。
しかも、遊びの内容は全部私が決めるように言ってきて、何も口出しをしなかった。
だから、私はそのときだけ思いっきり遊んだ。
私の唯一の楽しみといっても過言ではなかっただろう。
そのころから、私の中の兄の存在は生活の一部から、必要不可欠に変わって、呼び方もお兄ちゃんに変わっていた。
ちなみに、当時お兄ちゃんが同級生からシスコンと呼ばれていたが、その頃の私にはその意味がわからなかった。
お兄ちゃんは私より一年早く中学に入学した。
年が一歳しか変わらないのだから当然といえば当然。
私はというと、周りの助けもあり友達が多くなり、よく遊ぶようになった。
お兄ちゃんは部活にはいって夜になるまで帰ってこない。
だから自然と顔を合わせることが少なくなっていった。
今思えば、この一年のブランクが今の人間関係に繋がっているんじゃないかと思ってくる。
その一年、修学旅行に卒業式ととても楽しい思い出ができたと思っている。
しかしそれと同時に何かもの足りなさを感じていた。
私が中学に上がる頃、兄はおかしくなっていった。
通販を使うようになり、あやしい本が本棚を埋めていく。
何を言っても帰ってくる返事は理解不明。
さらにその奇妙な行動は学校でもやっているというのだからさあ大変。
校内では有名人になっちゃうし、その人の妹としてクラスでは少し注目を受けてしまったり。
だからだろう。
私はお兄ちゃんを避けだした。
家でも学校でも必要最低限の会話のみ。
私の中のもの足りなさはさらに深くなっていった。
ある日兄は学校に行かなくなった。
その頃は真人間に戻っていたから、多少の交流はあった。
でも、部屋に引きこもるようになって私は心配した。
原因はいじめらしい。
それ以上のことは知らない。
でも詮索はしないようにしようと思った。
そして私は決意した。
お兄ちゃんのお世話をしよう、と。
あの頃の恩返しをしよう、と。
部活はやめた。
陸上部で都大会もいけると言われていた私が退部すると顧問につげると、状況を察してくれたのか何も言わずに許可してくれた。
家事も当番制だったのを私が一手に引き受けることにした。
引きこもりのお兄ちゃんが顔をあわせる相手が私くらいしかいないからか、兄妹仲は良くなっていった。
今ではお互いの部屋にも遠慮なくはいるようなレベルだ。
それから約半年、お兄ちゃんの下に一通の手紙が来たのだった。
二ノ坂学園の転入に関してだった。
私はお兄ちゃんが転入することは無いと思っていた。
しかし、現実は違った。
私はとても悲しかった。
唯一といってもいい生きがいを失うということだから
そしてお兄ちゃんのそばにいられなくなるから。
私はずっと強がっていた。
でも限界が来てしまった。
そして転校前日、お兄ちゃんの部屋に押しかけた。




