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21.妹との時間 ~陸Side~

時系列的には、ここで話が一段落つきます。

 「お兄ちゃん、ちょっといい?」

 

 入ってきたのは巫女だった。

 ちょうどお風呂から上がってきたところのようで、首からはバスタオルをかけている。

 「ん、いいぞ。足元に気をつけろよ。荷物がおいてあるからな。」

 「うん。」


 そう返事をすると、巫女はゆっくりと歩を進めて俺のベットの上に座った。

 「で、何か用か?」

 俺は手を動かしつつ巫女に話しかける。

 しかし、巫女は指で髪の毛をくるくるしながら、

 「別に。」

 とぶっきらぼうに答えた。

 俺はその後特に気にせずに準備をする手を進めるのだった。


 それからしばらく経った頃、


 「ふー、終わったー。」

 と明日の準備を一通り終えた俺はベットにダイブしようとした。

 すると、なんと驚くことに巫女がベットの上でひざを抱え込むようにして座っていたのである。

 特に話とかをしていたわけでは無かったので、てっきりもう部屋に帰っていたかのかと思っていた俺は少々驚いてしまった。

 「おーい、巫女。どうした?」

 俺が近くに寄って声をかけると、巫女が顔を上げた。

 そして俺は驚いたのだ。

 なんと巫女は目を赤くし、たくさんの涙を流していたのだ。

 「巫女?」

 俺は疑問を持たずにはいられなかった。

 何か悪いことをしただろうか?

 思い当たる節は…無いわけではない。


 例えば先週、巫女が海外旅行に行ったという友達からもらったお菓子を冷蔵庫に大事そうにしまっておき、それを俺が勝手に食べたことがばれたのだろうか。

 しかし、たった一個だけだったし気がついてはいないはずだ。

 じゃあ一体?


 と、俺が考えていると、いきなり巫女が俺に抱きついてきたのだった。

 このまま押し倒され…ることは無かったが、部屋の中で妹と抱き合うという構図が完成したのだった。 

 ぐぬぬ…別に悪いことでは無いのだが、一様巫女も女の子だ。

 さすがにまずいと思い引き剥がそうとした。

 が、

 「ぅ―ひっくぅ―くぅ…」

 巫女は抱きつく腕に力を入れてきて、一向に離そうとしない。

 そしてかすかに震える体で言った。

 

 「お兄ちゃん…うぅ…行かな―っくーいで…ひっく―。」


 一瞬、巫女の言っていることが理解できなかった。

 それは泣きながら言ったからだったかもしれない。

 しかし訊き間違いでなければ、今巫女は「お兄ちゃん、行かないで。」と言ったはずだ。

 どこに、とは聞かなくてもわかる。

 でもなぜそこまで悲しむのだろうか。

 巫女としては引きこもりが一人いなくなり、洗濯や食事も楽になるはずだから、逆に喜ぶべきはずなのに。

 それにこれが一生の別れになるわけでもない。会おうと思えば週末になるたびに帰ってこれる距離なのだから。

 巫女に尋ねたかった。

 さっきの言葉の意味を。

 しかし、実際に俺が出来たことは、巫女をやさしく抱きしめてあげることだけであった。

 

次回は一度本編をはなれ、この話の巫女Sideを投稿する予定です。

兄視点からではわからない巫女の複雑な心境に筆を向けようと思っています。

ちなみにその後はちゃんと本編に戻ります。


もしお時間が許すようでしたら、評価、感想などを頂戴いただければと思います。


尚、学校はまもなく春休みに入るので投稿頻度は上がると思います。いや、あげます。

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