16.西園寺莉里亜
もしこの時本名で俺の事を呼んでいたら、彼女が誰なのか俺にはわからなかっただろう。
しかし、彼女は俺の事をシアンと呼んだ。
この名前は某オンラインゲームで使っているものだ。
そう。つまり彼女が
「莉里亜、なのか?」
俺はぼそりと呟いた。
しかし、このぼそりは彼女にも聞こえたらしく、俺に微笑みかけてきた。
「ピンポンピンポン大正解~!」
俺は突然のテンションの高さに驚かずにはいられなかった。
「ゴホンッ」
ポカーンとしていたところに、巫女が咳払いをしてきた。
「で、お兄ちゃん。この不審な女の人は一体誰なの?」
「不審者さんです?」
花園先輩はいきなり目の色を変え、西園寺を睨み付けた。
生徒会長という立場上、不審者ならそれ相応の対応をと思っているのだろう。
でも、今の言い方はちょっぴり可愛いところがあった。これでは不審者に威圧感を与えるのは難しいだろう。
いや、それよりもだ。
「不審な女の人って、西園寺さんのことか?」
ゲーム内のやり取りしかしたことは無いが、不審者よばわりされるような人ではないと思っている。
「いやいやそれは誤解だよ。あと、西園寺ではなく莉里亜。苗字って嫌いなんだよね。なんか束縛されてる感じ。」
頭の悪い俺には、後半何言ってるのか理解できなかったぞ。
なんだよ、苗字で束縛されるって。
「誤解なんかじゃ無いです!」
巫女はほっぺを真ん丸に膨らませて反論している。
この場にいるのが俺だけだったらこんな表情はしないだろう。
「では莉里亜さん。詳しい話を聞かせていただきましょう。」
その後俺たちは寒い校門前で莉里亜の職務質問を始めたのだった。




