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13.記憶力

 朝来た道を折り返し、巫女との待ち合わせ場所に急ぐ。

 しかし、改めて見回してみるとこの学校がどのくらいすごいのかというのがビンビン伝わってくる。

 廊下には等間隔で机の上に乗ったバラが飾られているし、窓ガラスは天井付近がステンドガラスになっている。

 え?これぐらい朝には気づいていたんじゃないかって?

 そう思う人もいるだろうが、残念ながらそうではない。

 なんせ朝は余裕がなかったから、校舎内をゆっくり見ることは出来なかったのである。

 

 しばらく歩いていると、分かれ道にでた。

 右と左に道が伸びている。

 この分かれ道を左に曲がれば、玄関に戻れるはずだと俺の記憶力はいっている。

 しかし、

 「あれ、こっちの道はどこに繋がっているんだ?」

 まあ、俺もお年頃なわけだ。

 体の中に好奇心というものがうずいている。

 「ちょっとだけなら、いいよな?」

 別に悪いことをしようというわけでもないし。

 と、俺の足が右に踏み出そうとしたその瞬間。


 「あら、丁度いいところに。」

 左側の道から生徒会長の花園先輩が出てきた。

 「どうも、花園先輩。」

 俺は花園先輩の方向に体を傾けた。

 メイド服もどきだった。

 「?。どうかされましたか。」

 「いえいえ、何でもありません。」

 いかんいかん。ついつい、目がメイド服に釘付けになってしまった。

 大事なところはそこではない。

 「俺に何か用事ですか?」

 俺は笑顔で尋ねた。

 「あ、えーと。テストどうでしたか?」

 その笑顔は固まった。

 「べ、別に出来ないからといって何かあるわけではないですし。別にこいつバカじゃねーとか思ってないですから!」

 何のフォローにもなって無い気がする。

 「そ、それよりも正門で妹さんがお待ちですよ。」

 ピコーン。

 頭の中でスイッチが入った。

 ような気がした。

 「ありがとうございます、花園先輩。それでは失礼します。」

 と言い残し、俺は左側の通路に足を踏み出した。


 「菊原さん!」

 俺は花園先輩にまたもや呼び止められた。

 「玄関は反対です!」


 記憶力皆無の菊原陸はその後、花園先輩に正門まで送ってもらったのでした。 

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