12.勉強?なにそれ美味しいの?
後悔先に何とやら~、ということわざを知っているだろうか?
俺はまさに今この瞬間、その事実を思い知ったところである。
ちなみに現時刻はおやつの時間くらい、要は15:00くらいということだ。
そして俺は試験会場の机の上に突っ伏しているのである。
一体何があったのか?
まあ、長くはなるがきいてくれよ。
若松先輩との握手はとても痛かったことを記憶している。
何でも彼は柔道部に所属しているらしく、握力がとても強く引きこもりの俺にとってみれば、それはもう痛かったことこのうえない。
その後若松先輩は、
「野暮用があるからこれで失礼するぞ。試験頑張ってくれ。」
と言い残して去っていった。
俺も試験会場に向かおうと顔を上げたとき、目に入ってきたもの。
赤じゅうたんのしかれた廊下?それとも頭上にあるおおきなシャンデリア?
ちがう。集合時間5分前を指している時計だった。
俺は会場となっているクラスまで全力疾走した。
しかし、さすがは二野坂学園。校舎広すぎです。
行き先を示す紙は要所要所に矢印つきで張られており迷うことはなかったが、校舎が広いのはこういう時に不便だな、と思うのであった。
で、結局会場となっている教室の席に腰を下ろしたのが集合1分前。
室内は試験直前によくある独特の雰囲気となっていた。
そして俺は全力で走ったせいか、心臓の脈が速い。
まさか試験前からこんなに疲れるとは。
さすがに俺が最後かな、と思ってはいたが、まさに時計が集合時間を指そうとした瞬間、後ろのドアから女の子が入ってきた。
俺と同様息が切れている。ここまで走ってきたのだろう。
せっかくのきれいな茶髪が台無しだな。
と、内心思っていたりする。
しかし、そのときの俺はまだ知らなかったのだ。
俺はまだしも、クラス分け試験を受ける人々はほとんどが高校入試を突破してきた人たちである。
そのような人たちが受ける試験。
ましてやここは国内でも偏差値の高い二野坂学園。
俺は今の今まで高校に行くことすら考えていなかった引きこもり。
これで謎を解くすぺてのファクターはそろった。
試験は予定通りに進行した。
国語から始まり英語と数学、学園から配布された軽食を食べる時間をはさみ社会と理科。
一教科50分間。
周りの奴らはすらすら解いていた。
なんせ二野坂学園の入試を突破してきた連中だ。
おそらくこのクラス分け試験程度の問題なんて朝飯前だろう。
しかし、俺にはそんな力がそなわっていない。
もともと高校入試をする気なんかなかった。
だから俺はここ数ヶ月勉強をしてこなかった。
いや、正しくは少しした。
クラス分け試験を受けると決まった日から今日までの約一ヶ月、教科書ぐらいは目を通したさ。
目を通しても、まったく理解出来なかったのさ!
そりゃそうだ。ここ数ヶ月まともに勉強をしてこなかったわけだ。
勉強というのは積み重ねだ。
しかし俺には積み重ねたものはない。
結果、テストの手応えはご想像通りだろう。
「はあ、真面目にやっていればなー。」
と、机から顔を上げてみるとほとんどの生徒が帰っているではないか!
「やべ、俺も巫女を待たせているんだった。」
俺は机の上に散乱している文房具類をカバンに詰め込み、早足に教室をあとにした。
あれ、俺何か忘れてない?




