10.編入試験
「すげー。」
二野坂学園の正門前に到着した俺が最初に口にした感想だ。
話には聞いていたがこりゃすごい。
校舎がレトロだよ。しかもそれ相応の豪華さが染み出している。
巫女なんてさっきからスマホで写真を取っている。
しかし、俺が驚いたのはそこではない。
それは、
「ようこそ。二野坂学園へ!」
まぁ、言葉に問題はなかろう。
しかし、問題はその発言者。
俺よりは年上だろうか、身長は俺と同じくらいの女性である。
彼女は正門前で俺たちを出迎えてくれた。
メイド服で、である。
しかも現代風のフリフリのミニスカートのものではなく、ロングスカートの昭和をイメージさせるような服だった。
「おにいちゃん、鼻の下がのびているよ?」
普段だったら軽く一発ほど殴っていたかもしれないが、今回ばかりは仕方ないかもしれない。
だってメイド服だよ?
しかも、それを着ている人が美人さん。
ツンデレの王道と呼ばれる、金髪ツインテールに整った顔立ち、胸は…まあさておき。
とにかくメイド服を着こなしているのである。
鼻の下が伸びていても許してほしい。
「あの…どうかされましたか?」
「ああ、これはご丁寧に。」
自分の世界から戻ってきた俺はひとまず挨拶を済ませておく。
「本日クラス分け試験を受けさせていただきます菊原陸と申します。」
「付添い人兼妹の菊原巫女です。兄をよろしくお願いします。」
まったく、巫女のやつは外では人がよくなるんだから。
普段家にいるときも、これくらい性格が良ければな~。
「私は二野坂学園の現生徒会長を務めております、高等部二年生の花園美保と申します。」
「生徒会長?」
つい、聞き返してしまった。
生徒がメイド服を着るのか?
「お兄ちゃんは何にも知らないんだから。」
俺の心の声を読んだかのように巫女が話しに割り込んできた。
「二野坂学園の生徒会は外部の人を招くような特別なときは、会長さんのような服を着るらしいよ。」
「あらあら、妹さんは物知りのようですね。」
そう言いながら生徒会長、花園さんは巫女の頭をなでた。
なるほどな。確かにこのメイド服はレンガ造りの校舎にとてもあっていた。
でも、毎日見られるわけではないようだ。
残念無念。
「それでは試験頑張ってくださいね。」
試験時間が迫ってきたので俺は花園さんに場所を教えてもらい試験会場に向かった。
巫女は花園さんに案内されて講堂のほうに向かっていった。
俺も含めて、この学校では寮生活を送る生徒がほとんどらしい。
だから俺たちが試験を受けている間に、保護者向けの説明会があるということだ。
ここで、巫女が保護者かどうかについては突っ込んではいけない。
巫女も忙しい母のためにきてくれたんだ。たぶん。
定期試験が始まるので次は時間が開きます。




