9.あゝ上野駅
さて、日付が移り変わり、2月14日。俺は東京の玄関口、上野駅のホームにいた。
ちなみに、隣にいるのは巫女である。
なぜ世の中バレンタイン一色で染まっている中、妹と一緒に寒い中駅のホームにいるのか?
リリーと話して二野坂学園に編入することにした俺は、その後母に編入したいという意思を告げた。
と、思ったら母は喜んだのもつかの間、何枚もの書類を書き、翌日には文部科学省に郵送した。
すると数日後、文部科学省から一枚の受験票が届いたのだった。
書面によると、入学前に学力判定テストを行いクラス分けの参考資料にするということだった。
そしてそのテストの日というのが…
「よりにもよってバレンタインかよ。」
「いきなりどうしたの?おにいちゃん。」
今年のバレンタインデーは土曜日であるため、幸か不幸かテストの日に選ばれたのである。
「去年なんてお兄ちゃん、私以外からチョコ貰ってないよね。」
やかましい妹よ。
あのときの俺は…そう、義理すら貰えなかったのである。
「ま、それはさておき。」
話題をそらしつつ、もっともなことをたずねてみる。
「巫女まで一緒にくる必要なんてないんだぞ。」
どうやら巫女はこのまま二野坂学園までついてくるようだ。
「母は仕事が忙しいゆえ、妹である巫女には付き添う義務があるのです。」
「で、本音は?」
「ただ、一度で良いから二野坂学園の校舎を見てみたいからだよ。」
なんでも二野坂学園は英国風の造りになっているらしく中庭を中心にコの字型をしているらしい。
校舎はレンガ造りであり、中庭にも噴水やバラ園などがあるそうで、女性に人気だとか。
「昨日学校で今日二野坂学園に行くことを自慢したら『一緒にいきたいな』とか『写真とってきてよ』とか色々期待を背負ってきているんだからね。」
「そんなこと俺は知らん。自己責任でお願いします。」
てか、今日のメインは俺であって巫女はおまけ程度だぞ。
とかなんとかいっているうちに、上野駅の特急ホームに電車が入線してきた。
俺たちはこの後一時間半ほど電車にゆられ、関東の北をめざす。
「ほらお兄ちゃん。はやく乗って。」
「お、おう。」
出発時刻までまだ時間はあるし、指定席だから急ぐ必要は皆無だと思うのだが。
「巫女、そんなに急ぐ必要あるか?」
「だって、寒いじゃん。」
それはごもっともです。
「それにせっかくの休日に早起きして、マジで眠いんだから。付き添ってあげているだけ、感謝して欲しいなー。」
その後学園の最寄り駅に着くまでの間、こってり巫女を絞り上げておいた。




