0.とある日常から始まるプロローグ
始まったばかりですが宜しくお願いします。
今は放課後。
この国立二野坂学園は部活が盛んなので学園内は運動部の掛け声や吹奏楽部の音色が聞こえてくる。
そんな中、俺、菊原陸は死ぬ気で走っていた。
この一文だけを読むと、俺は部活に必死に取り組んでいて文武両道の優秀な新入生に見えるだろう。
しかし、俺は運動部には所属していない。ましてやここは生徒会室前の廊下、つまりは校舎内である。良い子のみんなは廊下を走ってはいけないと小学校の頃に先生に習っただろう。
では、なぜ運動部にも所属していない俺が廊下を走っているのか?
それが気になる人は俺の後ろから走ってくる女の子を見てほしい。違う、それは手芸部のマネキンだ。俺が言っているのはそのマネキンを蹴り飛ばして俺に差し迫ってくる金髪ツインテールの高校三年生だ。
そう、俺はその先輩に追われているのだ。
理由?実はそれがよくわからないのだ。いや、理解出来ないわけではないのだが、ちょっと手に持っているものがなんというか現実離れしているというか・・・。
と、いろいろ考えているうちに・・・
「うお!」
なんと先輩が追いついてしまったのだ。自慢ではないが俺は足が遅い。二つ下の妹よりも遅い。
俺の首根っこを掴んだ先輩はそのまま俺を押し倒した。
普通だったらとてつもなくうらやましいシチュエーションなのだが、今はとてもそんな状況ではない。俺は必死で先輩の手を振り払って脱出しようとするが俺は体力がない。
一方、先輩は力が強いので俺を押し倒したまま片方の手をスカートのポケットに手を入れた。
そして、この一連の騒動の引き金ともなったあの言葉を笑顔で発したのだった。
「私は陸?私たち、友達だよね?ね?」
そう彼女、花園美保生徒会長は俺にポケットから取り出した果物ナイフを向けてくるのだった。
いったい、何が起きたというのか。
まず、俺がこの学園に入学してくるところから語る必要があるようだな。