4 協力者
町長の役場で聞いた子どもの声は孤児の声だ。マリエールは孤児からアイデアを求めるため孤児院に出向いて協力者を仰いだ。
4 協力者
時は遡る。町長とマリエールが話しをしていた時に子どもの話し声していたのは町長の家族の話し声ではない。孤児院の子ども達の声だ。町長が孤児院長も務めている。孤児院の子ども達に会わせてもらうことになった。町長に連れられて孤児院に向かった。孤児院は昼食の時間だ。この時間は10歳までの子どもがここにいるはずだ。マリエールは孤児達の正面に立った。子ども達から無遠慮の視線を浴びてヒソヒソ話しが漏れる。
「なんだ生意気な奴だ。あんなところに立って、新入りか。」
この世界では7歳から見習い仕事が始まり、10歳までは週の半分ほど働き、10歳からはそれが全ての日になり15歳になると正式に採用される仕組みだ。だから孤児院は15歳までとなる。マリエールは、
「私はマリエールと申します。領主の娘です。この街の東の砂漠に農業や工業や商業を行う場所を作るつもりです。完成の暁には一緒に働いてくれる信頼のおける人を採用したいと思っています。それまでの間もここに出入りしますので興味のある人は話しを聞いてもらったりアイデアを出してもらっりして、人間関係が出来た方が採用しやすいと思い声をかけました。週に一度は顔を出しますので気楽に声をかけて下さい。何か質問ある人は挙手して下さい。」
アレンは興味を持った。挙手してあてられた。
「アレンと言います。7歳でもう見習い仕事をしていますが、お嬢様の事業に参加する事は可能でしょうか。それからお嬢様の元でどんな仕事をするのでしょうか。」
マリエールはニッコリ笑い。
「正式の採用でない限り、仕事は選択出来ます。私が話しを通します。あなた方に求めるのはどのような商品を作ればどんな人達がどのくらい買うか、値段設定どうすれば最大利益が得られるか、一緒に考えてくれるパートナーを探しています。特にあなた方の立場なら一般市民が何を求めるかという支点で発案して欲しいと思います。貴族の立場なら自分で考える事が出来ます。」
アレンは俄然やる気になった。
「お嬢様、俺はやりたいです。週に一度ならなるべくこの曜日に来て下さい。色々アイデアを考えますから話しを聞いて下さい。お嬢様の話しももっと聞かせてください。」
マリエールは同じ年のいい人材が見付かったものだとほくそ笑んだ。
アレンとマリエールは新商品のアイデアを次々と出した。マリエールはアレンは転生者だと思った。
マリエールは2007年生まれの山本香織高校3年生だった。白血病だと判ったのはまだ幼い頃だ。母親に泣きながらはっきり伝えられたのは10歳時だった。それほど長くない命と判って俄然勉強に励んだ。私立中学に入学して医学部を目指した。自分の病気を治すために。入学試験を受ける前に命が尽きマリエール4歳となった。転生するとアイテムボックスとフライの魔法持っていた。既に干ばつの被害は始まっており、水汲みの仕事は直ぐに始まった。一年以上その仕事は続いた。マリエールの死因はインフルエンザだ。
アレンという少年はマリエールの呼び掛けに応じ積極的にアイデアを出す。これは転生者だと思った。マリエールと同じように。




