1 村民総会
領が始まって最大の大干ばつだ。マリエールは隣の領の湖から水を汲み領民の渇きを癒やした。農作物や家畜には水が回せない。
1 村民総会
村の危機だ。村の水源であった池が枯渇したのだ。今辛うじて村民が命を長らえているのは、5歳の少女であるマリエールが隣の領地の湖から水を運んでいるからだ。領主であるマリエールの父親はこの村の存亡の危機について議論するため村民総会の開催を提言した。この村は元々水の便が悪い。しかし今迄池が干上がってしまう事はなかった。今年は例年にない干ばつだ。マリエールは村の各地に水がめを設置して村人に供給している。村人の渇きはなんとか凌いでいる。領主は、
「問題は農作物や家畜に回す水がない事だ。このままでは農作物は枯れ家畜は死んでしまう。」
マリエールは困ってしまった。
「給水の回数や量を増やすのは難しいです。距離は結構ありますしアイテムボックスの容量も限りがありますので限界です。」
村民総会を前に領主がマリエールに問うた。マリエールの答えは非情だった。マリエールが悪いのではない。5歳の少女に村の命運をかけている事時点でもう間違いだ。領主は、
「そうだなこの村は廃村だ。せめて村人が水のあるところまで辿り着くまで水を供給してやってくれ。」
マリエールは頷いた。
村民総会で領主はマリエールがこれ以上水の供給を増やすのは出来ない事、従って農作物や家畜に回す水はない事、この村は廃村するしかない事を語った。村民の落胆は大きかった。村民の一人は、
「俺はここに残る。生まれ育った故郷だ。ここで死ねるなら本望だ。」
と言い出した。賛同する声が高まった。マリエールが二手に別れられないいじょう全員がこの村に残る以外の選択はなかった。領主は
「全員この村で死ぬ事になるがそれでいいのだな。」
泣き出す者もいたが村を捨てても生きて水のある場所に辿り着ける保障はなかった。
村民総会の決定をマリエールは聞いた。マリエールはとにかく水を運ぶ事だけが自分に出来ることだと思った。たとえそれが徒労に終わろうとも。マリエールは自分の力のなさを思い知った。5歳にして辛い現実を知った。領主は、
「何もお前のせいじゃない。我々の選択だ。」
マリエールは返す言葉がなかった。
その後村の家畜が数を減らし続けた。農作物も減っていった。領主一族の食事も貧しくなった。遂に村に食べ物がなくなった。マリエールは水を汲みつつ魔獣狩りをして村民の食料を補った。
マリエールは限界を越してアイテムボックスに水入れ続けたのでアイテムボックスの容量が増えたのが判った。さらに様々な魔法がマリエールの身についたのが判った。具体的には攻撃魔法と収納力だ。つまり上空から魔法を放ってオークを倒し上空にいたままオークが収納出来る力だ。アイテムボックスの容量はさらに増して水瓶が足らず池に水を入れた。オークが多く村にもたらされた。一度は死ぬことを覚悟した村民達も増えていく池の水を頼って農作業を始めた。もたらされるオークと農作物で村は再生した。
領主はマリエールに、
「マリエール、ありがとう。お陰で村は再生した。」
やがて村に待望の雨が降った。池の水位が一気に上がって川が流れ出した。
マリエールの水汲みの仕事が終わる頃、マリエールの能力は万能になった。マリエールは領主に、
「水の問題は解決しましたが、疲弊してしまった村の再建が必要です。何を先ず優先しましょうか。協力します。なおこれまで狩ったオークの魔石は私のアイテムボックスにありますから幾らかの金になるはずです。」
領主は、
「私の元に寄せられる要望だと家畜だろうか、しかし生きたまま家畜を運ぶ方法と手持ちのお金が心許ない。」
マリエールは、安心しろと言うように。
「心配ありません。私のアイテムボックスは生きた物を入れられますから。それに魔石がありますから問題ありません。若い牛や馬、豚や鶏でしょうか。希望を聞いてみないといけませんね。」
希望は聞いてあった。マリエールは受け取った。マリエールは、
「明日隣の領に行ってきます。数日かかるかも知れません。買い付ける量が多いですからね。心配しないでください。上手くやりますから。」
何しろマリエールは万能の能力者だ。万能の魔法使いだ。全てを知り尽くした者だ。
隣の領で15歳の容姿になって冒険者ギルドにやって来た。受付に行って受付嬢に冒険者登録の申請をした。そしてオークの魔石を10個買い取りして貰った。受付嬢は、
「この魔石はどうしてあなたが持っているのですか。」
と聞かれた。マリエールは自分が討伐したものだと言うと、
「普通Fランクから始まりますが、あなたが10頭オークを討伐したなら、Dランクから始めましょう。買い取りはしましょう。小金貨2枚です。小銭の方がいいですか。」
小銭で用意して貰った。オークの常時依頼を受けた。討伐証明は魔石だ。魔石は沢山持っている。冒険者ギルドの近くに転移点を置いてこの冒険者ギルドに瞬間的に来れるようにした。
次は牧場だ。色々な家畜がいる。複製魔法をで複製して仮死状態で亜空間に入れる。生き返らすには復活魔法だ。希望の物は全て揃え、牧場主に豚を頼んだ。これは解体も頼んだ。領主への土産だ。
村に帰って、一軒一軒回り家畜を配った。村民達の喜びがマリエールの喜びだ。家畜も揃い村は活気が出た。後収穫が上手くいったら一段落だが干ばつの影響が何処まで出るかが心配だ。今年の収穫量が減るのは仕方ないことだと諦めめて飢えない対策をする方が賢明だ。幸いと言うか何と言うかオークの数が干ばつが去って増えてきた。このままでは農地や家畜に被害が出る危険がある。討伐隊が結成された。メンバーは領主一族と村の若者だ。リーダーはマリエール、お互いの力量を見極めるために先ずは全員参加で討伐に向かう。防具、武具は全員分複製魔法で用意してある。完全武装でオークを討伐する。目的地はオークが一番多くいる場所だ。作戦も立てた。討伐に長けた領主一族と農民がチー厶になって討伐する事になった。討伐開始だ。やはり領主一族は武器の扱いに長けている。農民は危なっかしい。人数が多い分人間が優勢だが、オークジェネラルとかオークキングがいれば形勢は逆転するだろう。案の定オークジェネラルと思しき個体が現れ形勢は逆転した。人間が倒される場面があった。幸いな事に命に別状はない。オークジェネラルはマリエールが葬った。倒された者には回復魔法をかけた。オークジェネラルがいるという事はオークキングがいる可能性が高いという事だ。今日の討伐が終わってオークキングの存在の可能性が高い事の報告を領主にした。領主は、
「オークキングにはお前以外勝目がないだろう。もしバラバラで討伐に行き、オークキングに出会ったら皆殺しにあう危険性が高い。オーク討伐は週一回、全員で討伐に行く。お前も一緒だ。」
効率は悪いが領主命令だ。従うしかない。マリエールは、
「判りました。早くオークキングに出会えるのを願うばかりです。」
マリエールはオークキングとの戦闘をシュミレーションしてみた。
村民総会で村民は村に残る事になった。マリエールは水を供給し続ける決意をする。限界を越えた容量の水を収納し続けた結果、アイテムボックスの容量が増えた。




