独立編 【4】
かつての名物屋敷の前まで来てみると前の面影はなくひっそりしている。
あの賑わいは夢か、幻だったのか?
と思わせるぐらいの変わりように、少し寂しを感じながら歩いていく。
町衆は徐々に双葉に気づき始めたようだ。
少し歩いた先の茶店の縁台に腰をを下ろし、茶と団子を頼みおわるときには、双葉の周りに大勢の人だかりができていた。
貰い湯に来ていた娘たちや屋敷前での見物客たちだ。
「おお!皆の衆、久しゅうご無沙汰だな。」
「双葉様、急にいなくなるなんてあんまりじゃございませんか⁈」とか
「今どちらに住んでいるのですか?戻ってきてくださいよ!」
口々に声をかけてくる。
手のひらで皆を制し、「あの頃は皆に随分世話になった。それにとても楽しかった!」
「こっちこそ、あの頃が夢のような心地で懐かしくて...」
涙ぐむものさえいる。
異状な歓迎ぶりと言ってよい、これほど皆に慕われていたとは思わなかった。
「そうだ、美濃のはずれにあるわっちので里で大浴場や屋敷兼宴会場を建設するのだが、人手が足りない!
住み込みで手伝ってもらえれば、賃金や賄い、うまい酒も出すぞ!」
「当然いきます!」「お手伝いします!」「行かいでか!」と後を絶たない。
「里には他にも畑仕事、賄いや給仕の手伝いなど仕事はたくさんある。
男女問わず来てくれればありがたい。 里に移住してくれるなら家も用意しよう。」
「引っ越しの準備しなくちゃ!」 「また、楽しくなるぞ!」と大騒ぎ⁈
「里に行きたい者は明日の昼に、ここに集合してもらえば案内します!」
皆大急ぎで散っていった。
まさかここにいた全員が引っ越してくるんじゃないだろうな?
「双葉さん、わちきたちじゃだめかいな?」
「おお!どこからわいたか、色っぽいお姉さん⁈」
以前に給仕として特別に増えた、それはそれは色っぽいツーマンセル!のお姉さん方じゃありませんか⁈
相変わらずフェロモン全開⁈
「人をボウフラみたいに言わないでおくんなまし⁈
わちきたちじゃ不服かいな?」
「滅相もござらぬ、まさに千人力!鬼に金棒!臥竜鳳雛を手に入れた劉備玄徳の気持ちがよく分かった気がします!」
「それはよくわからんけんど、安心しておくんなまし! わちきらの役目は十分心得てますよ!
要は、蜘蛛の巣にかかった獲物を骨抜き、メロメロに⁈で合ってるかいな?」
「合ってるかいなです! さすが話が早い!
ちなみに、これより京の町で夕餉を取ってから里に向かうのですが、よければご一緒しませんか? 荷物などは後で運ばせますので!」
「あの...あたいらもご一緒して良いですか?」
二人のお姉さんの後ろに隠れていた?娘っ子が二人、顔だけ出して尋ねてきた。
顔に見覚えがある。藤吉郎に指名されて名物屋敷の賄い係をしていた料理自慢の二人で間違いない。
味平一人では負担が大きかったので、これって〈渡りに船〉であってます?
よく見ると小柄でかなり若い! 美人というより可愛い⁈
嫁や恋人ではなく、妹にして「お兄ちゃん」と呼ばせたいタイプである⁈
しかもよくよく見れば二人は瓜二つではないか?
双子なのか?うかつにも屋敷にいたときは気付かなかった。
現時点で、不足しているロリ...チミッコ枠が強化できるのは間違いない。
しかも双子はこの時代でも珍しく、それゆえの価値が上乗せされる、例外もあるが...
マニア憧れの〈義理の妹、その上双子シスターズ〉として売り出せば、、、
「双葉さん?」
妄想モードに入っていた双葉は「はっ!」と我に返る。
よだれを吹きながら
「おお、すまんすまん。 もちろんご一緒して良いですですとも!」
「やったー!」二人息ぴったりのガッツポーズで大喜び⁈
「三平さん! 一足先に更科に向かい、味平に人数が大幅に増えたことを知らせてきてくれ!
当初6人の予定を《《約》》20人として、酉の刻(午後6時)に襲撃するとな!」
イナゴの群れの本質を隠そうともしない!
「承知!」 陸上では活躍の場が少ない河童は、必要以上に張り切って京の町に走る。
水中での活躍の場がこれからも当分ないとは知らぬままの〈陸に上がった河童〉であった。
清州の町の馬屋で必要な数の馬を借りて、京の町へ向かう。
魅力的な美女5人(双葉は男子扱い)を連れた一行は道中、注目の的であった。
何者だろう? 旅芸人の一座か?
いや、人買いに買われた遊女に違いない! 後をつけて場所を突き止めて...(じゅる!)
面倒くさいので放っておくことにした。
一行が京の町、更科に着いたのはちょうど申の刻(㊟午後4時)になったばかり。
後ろには長ーい行列ができている。
噂に尾ひれが数十枚付いて、
「きょう開店の風俗店の宣伝パレードらしいぞ!」 とか「初日は半額で大サービスらしい!」など情報源は何処からなのじゃ?
とツッコミたくなるのをぐっと堪え《こら》て、切り返す⁈
「我ら一行は蕎麦屋に飯を食いに来ただけで、風俗店を開くわけではない。
しかーし、ここに集まった助平の中の助平な皆の衆に吉報がある⁈
美濃の町近くに?新しく大浴場が造られる予定!
そこにはここにいる五人の美女、美少女に負けず劣らず大小さまざまな美女が助平達のために全力でおもてなしを...
「大小って何のことじゃ?」 双葉の言葉を遮り大声で叫ぶ輩。
話の腰を折られてもにっこり微笑みながら
「これは失礼、舌足らずであった。 大小とはもちろん...【胸に決まっています!】
「おお!胸に決まっているのか⁈」 「そうだそうだ!胸以外考えられん!」
手のひらで静かにするよう促して
「業界内では常識?ですが無理もない。 説明しましょう。
正確には、大中小のそれぞれに、上中下が組み合わされて9段階に分類されます。
上から大の上といえば巨乳!これを一類、小の下が無乳!これが九類となります。
これでご理解いただけたでしょうか?
ではそこのスケベ顔のあなた、中の中は何類ですか?」
「んと...5類?」
「ピンポーン! 正解です! 真ん中の五類がイメージできれば勝ったも同然⁈
では、そちらのエロ顔丸出しのお兄さん、自分の好みが何類か言ってください。」
「八類!それ一択です⁈」
「下の中,微乳ですね?」
「ピンポン、ピンポーン!」
「なかなかのロリ...チミッコ一択とは、なかなか隅に置けない変態ですね⁈」
「照れるな⁈」
「褒めてないし!」
「ちなみに当店?では一類は二人、八類は一人在籍登録があります。」
「おおー!」
「まさにこの世はエロに関しては無法時代!
当人同士の合意があれば、ロリ、ショタ、BLさえ合法と言えましょう⁈
皆の衆、どうか自分の好みに誇りをもって堂々と宣言してください。」
順に指をさして「はい、あなた!」 「二類!」
「あなたは?」 「六類!」
「今ちょうどここに六類がいます! ご覧あれ!」
ついさっき雇ったばかりのくノ一、中の下の胸元をがバッ!と広げ丸出しに⁈
おおー@@! おおおー@@!
サービスシーン炸裂に 何人かのスケベは鼻血ブー⁈ (㊟谷岡ヤ〇ジ先生ごめんなさい!)
「そんじょそこらの六類とはわけがちがいますぞ!
形といい、張りといい当代随一の美乳と言っても過言ではありません!」
双葉が指ではじくとプルンプルン!
どこの何をはじいたかはご想像にお任せします⁈
おおー! もう感嘆の声を上げるしかない。
「さて、皆の衆! 先にも述べたように美濃の近くの里に近々、大浴場を造る予定があります。
そしてそこに大勢の美女がいる。 だからどうした? で終わればただの与太話⁈
ここからが肝心! 耳をかっぽじって聞いてケロ⁈
ぶっちゃけ、皆の衆に来てもらって銭を落としてほしいのじゃ⁈
大浴場での美女との混浴! ガン見し放題!
腕利きの料理人による豪華な食事! 食べ放題!
べらぼうにうまい酒を美女のお酌で飲みながらの大宴会! 飲み放題!
歌に踊りにお笑い芸! 抱腹絶倒! 騒ぎ放題!
さらに追加オプションでは口には出せない○○放題!
決して安くはない、安くはないがそれ以上の価値を保証しましょう⁈
その名も〈極楽浄土!浮世体験⁈改〉の予約券の販売をを明日の昼に、ここで開始します!
内訳は総額2000貫の一割200貫で先着50名様限定。
2ヶ月後に施設完成予定ですので完成しだい、順に5名ずつ案内します。
予約解消は更科の店主に言えば返金するように話を通しておきますので。
ご清聴ありがとう!」
極楽浄土!なんちゃらて聞いたことあるよな?
確か清州の名物屋敷で評判だったぜ!
じゃあ信用できるな!
へそくりはたいても行きたいかも!
皆の衆はそれぞれ散っていった。
が、逆に興味本位の見物客が集まりだしている。
双葉たちは更科に入ろうとすると入り口に張り紙が
「本日、酉の刻より貸し切りにつき、通常営業はその前までとさせて頂きます。」
ふむ、準備万端かな。
中に入ると小梅がテテテと寄ってきて
「双葉さん!あれなんとかしてくださいな⁈」と。
見れば奥の席に十三、大胸、村正の三人が座っている。
村正は退屈そうに頬杖をついたまま静かに座っていたが、乳揺らしシスターズの二人は客が蕎麦を食べるさまを前かがみになってガン見している。
目は血走り、よだれも少々...
お客さんもたまったもんじゃないな。
「小梅さん、すまんが三人に握り飯と茶でも出してやってくれないか?」
「出そうとしたのですが、もうすぐご馳走が食えるから我慢すると、、、」
「あれではほかの客に迷惑がかかる、出せば食うから頼む。」
「あい!」
「あ、ちょい待ち! このチミッコ二人は味平の手伝いをしてもらう、料理の腕は保証する。」
「じゃあ、厨房に入ってくださいな、こちらです。」
「りょ!」二人同時に声を揃えて。
「じゃあ、わちきら二人は配膳とお酌でもしましょうかいな⁈」
店の前の見物客がおそるおそる入ってくる。
「おいでなせ、何が食べたいのじゃ?」
「ざるを一枚おねしゃす。」
「お酒はいらないのかい?」
「お酒はいらないことはないです。」
「あいよ、少しお待ちなせ!」
「喜んで!」もはやどちらが客かわからない。
どうやら、お酒を頼めば色っぽいお姉さんがお酌をしてくれるようだ。
表の見物客が店に殺到し、たちまち満席になった。
もちろん注文はお酒一択! お姉さん目当てがバレバレである。
双葉は一類《巨乳》(大の上)二人に
「握り飯を食い終わったのなら席を開けて、お客さんにお酌をしてまわるのじゃ。
少し胸元を明けてサービスしてやれよ!」
「了解道中膝栗毛!」これはやりそうかな?
後、半時《約一時間》で酉の刻になる頃、漫遊一座が更科に到着した。
ようやくつなぎの忍びからの指示が届いていったん切り上げての集合。
今のうちに更科の店主に話を通しておこう。
かくかくしかじかでいきさつを話すと、店に来る客も増えそうだからと
承知してもらえた。
あと看板娘の小梅にはつなぎの忍びからの伝言を預かってくれないかと
頼み込んだところ快く引き受けてくれるという。
ただし一回の伝言につきお土産一個が条件だ。
とりあえず銀時計を渡すと大喜び!
これ一個で10回分の伝言にしてくれると言う。
これで誰がどこにいるのか、どこに向かうのかが把握できる。
小胸が見当たらないので聞くと、味平に指示された追加の食材を買いに行ったと。
まもなく戻るはずとも。
そろそろ酉の刻になる。
店の中の酔っぱらいを追い出して、店の中をかたし、手分けして掃除をする。
そのとき、納屋助左衛門とつなぎの忍びが店の中に入ってきた。
これで全員が揃ったことになる。
ご先祖様の加護があったに違いない。
これから新人の歓迎会と顔合わせが始まる。
―以下に続く―




