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真・東風吹かば⁈  作者: ケロボッチ


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尾張編 【13】

 墨俣築城で美濃攻略の拠点ができたとはいえ難攻不落の稲葉山城に加え


 大垣城や曽根城などの支城による万全の防御態勢が斎藤家の強みだ。


 そんな中奇妙な噂が双葉の耳に届いた。


 稲葉山城を家臣の竹中半兵衛が乗っ取ったという。


 なんでも当主の斎藤龍興の放蕩三昧を諌めるための所作らしい。


 信長は藤吉郎に稲葉山城ごと竹中半兵衛の調略を命じた。

 さすがに打つ手が早い!


 だが双葉は半兵衛のあの私利私欲では決して動かないであろう真っ正直な性格ゆえに、調略はできないだろうと予見する。


 ここは一つ藤吉郎に会って助言しておくのがいいやもしれぬな。


 双葉たちは六人全員で藤吉郎の屋敷に急いだ。


 屋敷にはすでに藤吉郎の姿はなく寧々が出迎えてくれた。


 双葉にテテテと寄ってきて、手を取りブンブンと振り回しながら

「ようこそ、双葉様⁉」と満面の笑みでの挨拶。


 似たもの夫婦か!


 自分と同じかそれ以下の小さい胸をもつ寧々は反比例の法則による絶大の好感度を双葉からすでに獲得している。


「ついさっき美濃に向かったところなので、急げば追いつけるかと。」


「承知した。ではこれにてご免!」


 あっけないぐらい簡単に追いついた。


「おお、双葉殿! 奇遇ですな。」


 奇遇なわけないないだろ、ふつう。


「途中まで同行しても良いですか?」


「ぜんぜんおけ〇《まる》でござるよ。」

(桶〇とは?)


「ちなみに今回の竹中半兵衛どのの調略は確実に...」


「確実に?」


「失敗します!」


「ガーン⁈ そうなのぎゃ?」


「そうなのぎゃでござる。」

 ついつられてしまったぎゃ。


「下手をすれば会うことすら難しいかと。」


「信長様直々《じきじき》の主命ならばそれは困る!


 にゃんとかにゃらにゃいか、双葉殿?」

 動揺して噛みまくる藤吉郎。


「にゃんとかにゃります。」つられまくる双葉。


「ここにいる翔平に手土産の好物団子を持たせて同行すれば

 会うことぐらいならできるかと存ずじます。」


「それは凄い! だが会えても調略が無理ならあまり意味がないか⁈」


「いえ、意味はありますよ。 稲葉山城乗っ取りは主筋の龍興に対する諫言を行動で示したとの事。 

 ならば近いうちに城を返上するかと。


 ですがあの龍興の気性なら竹中殿を疎んじる公算が大きい。

 調略はそれからがよろしいかと!


 その時のための今日は顔つなぎと思えば十分意味はありましょう。


 決して無理強いはせず、好印象を与える振る舞いに徹してみてはいかがでしょうか?」


「素晴らしい⁈ この藤吉郎感服しました!」


「交渉の使者に危害を加える竹中殿ではありませぬが、城を出た後の斎藤家の家臣はその限りではありません。


 護衛に東雲姉妹と東郷十三をつけますのでご安心ください。」


「重ね重ねの配慮かたじけない。」


「まだまだ受けた恩の倍返しには遠く届きませぬ。」


(十二分に届いてるし、おつりがくるぐらいだぎゃ。)


「それがしと勘三はここから別行動です。 後ほど清州でまた!」


謝謝シェシェ再見サイジェン!」と藤吉郎の謎の挨拶、まあなんとなく意味は分かる。


 双葉と勘三は勘三の炭焼き小屋に寄り薪炭を運べるだけ持って隠し蔵元に薪炭を納め格安で酒を買い求め、蜂須賀砦に向かった。


 蜂須賀砦の門の前に立つと誰何すいかなしに門が開いた。


 双葉の顔は墨俣の件以後蜂須賀衆に知れ渡っているようだ。


 頭領の小六、いや今や木下藤吉郎の股肱の臣に特級酒を渡すと大いに喜んだ。

 これに勝る手土産はあり得ないのだ。


 「墨俣攻略の報告の際にここの砦と蜂須賀の里を我らに据え置きにと、信長様に進言してもらい認められたことには一同感謝している。


 木下藤吉郎の家臣ではあるが、望むことあればできる限りの協力はさせてもらう!」


「わっち(お孝)の里の警護を引き続きお願いできればそれで充分です。」


「確かに引き受けた、安心して任せてくだされ!」


「かたじけない。 今から里に向かうのですが、一緒にいきませんか?」


「うむ、一度その里を見ておきたいし同行しよう。」


 小六と数人の家来を伴って双葉たちがわっちの里に着くと、目ざとく権三が駆け寄ってきた。


 小六を見て少しビビった権三は

「頭領自らお越しとは何かまずいことでも?」


「いまは頭領ではなく、織田家足軽大将木下藤吉郎の配下じゃ。


 この里は東風殿の預かりとなり我らが引き続き警護する。

 異存はあるか?」


「依存などあろうはずがないよね、あんた!」


 いつの間にか現れたわっちの里の実質的な支配者、お孝が哀れな旦那〈以下哀旦〉に問いかける。


「もちのろんでおじゃる⁈」突然の鬼嫁...もとい愛妻の登場に言葉遣いがおかしくなる哀旦。


「小六殿、新種野菜の種の盗難防止を兼ねて、里の防御柵を強化したいのですが手伝ってもらえませんか?」


「手の空いてるものに極力手伝うように伝えておく。」


「助かりますわあ、兄貴い!」さながら兄貴分にお小遣いをもらったチンピラの返事のようである。


「兄貴いはやめてくれ! 双葉よ、ここの里がおぬしの生命線で相違ないな?」


「相違ございませぬ!」


「ならば蜂須賀党がある限りこの里には誰にも手を出させはしない!」


「頼もしき事、この上ない!」


 双葉はお孝に「以前から住んでいる里の者は良いとして、新たに里に入るものは慎重にお孝さん自身で選んでもらいたい。


 新野菜をできるだけ長く独占販売したいゆえ、種の流出だけは避けたいのです。」


「わっちは人を見る目があるから任せなよ。今まで見誤ったのはうちの旦那ぐらいじゃわ。」


 少し不安になったが、任せるしかない。


「最初の収穫では種を増やし、次の収穫から野菜を販売する段取りでいきます。」


「分かったぞなもし。 先を見据えて畑も増やしておくよ。」


 これで今回の目的は全部達成できた。

 清州にもどるとしよう。


 これでまた一歩野望に近づいた⁈ かも?


 ―以下に続く―


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