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真・東風吹かば⁈  作者: ケロボッチ


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尾張編 【5】

 コケコッコー!


 夜明けとともに飛び起きた。


 鶏の鳴き声で起こされるのは苦手だ。


 寝ぼけながらも朝食を食べていくうちに、次第に覚醒するのが一番いい。


 東雲姉妹は忍びの者としてあるまじきことに爆睡している。


 お約束の寝相の悪さで二人とも半裸に近い。


 朝からサービスシーン満点と言いたいが、残念ながら小胸の方は認定されなかった。

 ここに双葉と小胸による認定されない、最強のツーマンセルが結成されたのである!


 朝食は別室にすでに用意されているとのこと。


 行ってみると翔平がすでに席についていた。


 ほとんど寝られなかったようで目が赤い。


 まずいな、このままでは大事な戦力が使い物にならなくなるやもしれぬ。


 翔平が大胸の餌食になるのは、もはや時間の問題だろう。

 いっそのこと早いうちに、、、


 いやいやいや、いくらロリショタが合法な時代だとしても、それはまずいんじゃないか。

 

 さておき、この時代に生まれたかったと少しでも思ったそこのあなた!

 相当やばくね?


 金沢の馬屋で3頭の馬を交換してから堺の町へ向かうことにした。


 昨日に続く強行軍だったが急がずにはいられない。


 堺の町に着くと座で交易を済ませて馬屋に行くと、例の髭面の馬屋の親父が馬の世話に余念がない。


 双葉たちに気づくと

「よう、あんたかい。いつもいいときに来るな。飛び切りいい馬を2頭用意してあるぜ。もちろん買うよな。」


「無論、買いますとも。見たうえで値段の交渉を。」


「そりゃそうだ、こっちに来な。」


 案内された馬房の中には2頭の黒毛の若駒。


 まさしく漆黒と呼ぶのにふさわしい。


 闇夜に溶け込むと見えなくなりそうだ。


 なんでも馬では珍しい双子だそうで、まさに東雲姉妹に似つかわしいじゃアーリマセンカ、アーリマオンセン。


 失礼、韻ヲフンデミマシタ。


「素晴らしい!でもお高いんでしょ?」


「そりゃあ、これだけの馬だ、安くは売れないぜ。


 だが、あんたは今や一番のお得意さんだ。


 今後も買ってもらえるなら特別に勉強して2頭で...

 400貫でどうだい?」


「物は相談だが、あと1頭欲しい。そのお代も含めて分割払いにしてもらえないだろうか。1級酒を一壺付けますので。」


「それで手を打とう。あんたは信用できる。

 で、あと1頭は手に入ったらうちで預かっておけばいいのか。」


「できれば清州の町の名物屋敷まで届けてもらえると有難い。」


「ようがす。これで交渉成立だ。」


 なにやら東雲姉妹がもめている。


 2頭の馬は瓜二つでほとんど変わらぬのだが、僅かに大きさが違う。


 大胸が大きい方の馬を取ろうとしたのが小胸には気に入らない。


 だって、あたいの方が胸のある分重いしと。


 ほとんど理由になってない。


 小胸が怒るのも無理はない。


 双葉が当分は交代で乗るようにと。 二人同時に「イエス、ボス!」

 ボスはやめて。 ストップハンド⁉


 とりあえず、今川上洛対策本部の丹羽宅に戻ることになった。


 新たに手に入れた2頭の若駒は、あの秋風と同等の値段だけのことはある。


 難なくケロに遅れることなくついてくる。


 今更だが堺の馬屋の親父の馬眼に敬服するしかない。


 僅かに大きい方が黒雲、他方は紫雲と名付けられた。


 この時、まさしく後の双竜は乗るべき雲を手にしたのだった。


 丹羽宅に着くと門番二人に会釈で通させてもらい、勝手知ったる奥座敷へと進んだ。

 部屋の中には丹羽長秀と東海龍之介の二人だけがいた。


 藤吉郎たちは任務に出向いている。


 長秀は双葉に「随分と早く戻られた。して首尾は?」


「飛び加藤こと加藤段蔵は生憎不在で、代わりにこの二人を雇いました。」


「双葉殿の判断ならそれが最善手かと。で、経費はいか程必要でしょうか。」


「月に200貫でござる。」酒は蔵元から無償で手に入る。


「ほう、かなり高額だな。」


「忍びの者の仕事は命がけゆえ、言わば命の値段かと。」と双葉。


「承知しました。経費として当家で出します。名はなんと?」


「二人ともに東雲忍、使い分けは大胸...いえ黒と紫でござる。」


 こういった話は龍之介からすべて信長様に筒抜けなんだろうな。


 うかつなことは言えぬ。


 「両名明日より任務に就きまする。」


 今後の事を少し打ち合わせして、丹羽宅を辞した。


 三日ぶりの我が家、名物屋敷に着くと門前に立て札があった。


 どれどれ。

「屋敷見物禁止などと無粋なことはせぬ。だがあまりにも人数が多すぎるゆえ、制限を設ける。


 自分の誕生日が偶数日なら偶数日は見学してもよい。奇数日なら奇数日に。


 良心に従いこのことを守るべし。 


 管理責任者 丹羽長秀 」


 なるほど、これなら見物客が半分になるな。これは藤吉郎の所為に違いない。


 屋敷に入ると留守居の使用人が飛んで来て、夕餉の係と風呂の係を呼びに行くと言って屋敷から出て行った。


 居間に入ると掃除洗濯雑用係の娘が「お早いお帰りで、旦那。」


「うむ、予定よりかなり早く戻れたが、旦那はやめて。」


「では、改めまして...お帰りなさいませ、ご主人様!」


「それ、ちょっといいかも。」


「では、その旨屋敷の女子衆には伝えておきます。」


「いや、それには及ば...伝えておきなさい⁈」


「かしこまりました、ご主人様!」


(ご主人様!この響きはオケツがこそばゆいが、それがまた何とも言えず病みつきになりそうで怖い。)


「忍両名は明日から任務に就いてもらう。


 今日は風呂に入ってから夕餉を取り十分に休養するといい。」


「合点承知、親分!」


「親分はやめて。頼んだぞ。」


 風呂が沸くまでまだ時間がかかるだろうし翔平に稽古をつけておくのがいいかな。


 柔軟体操を念入りにするのが東風流の流儀だ。体を柔らかくして瞬発力を蓄える。

 速さこそが命!

 

 翔平はなかなか筋がいい。


 毎日鍛えればかなり強くなる気もするが、護身用の技を覚えさせるつもりだ。


 東雲姉妹も鍛錬に加わり4人はいい汗をかいた。


 一区切りついたところに風呂が沸いたとの知らせ。


 例によって全員で入ることにした。


 大胸がいるので今日の認定は大丈夫、太鼓判が押せる。


 東雲姉妹は滅多には風呂に入れないらしく大はしゃぎだ。


 よほど気に入ったのだろう。


 問題は明日以降だ。


 大胸が任務で不在、十三もまだ戻れないとくれば双葉が当てにならない以上、もらい風呂の娘たちだけが頼みの綱だ。


 風呂から上がると表にはすでに娘たちの行列ができていて、もちろん今日も見物客が大勢押しかけてきている。


 屋敷の前の桜並木がそろそろ満開なので花見をかねて集まるのであろう。


 なんでも娘たちがよく見える桜の木の下は場所代を取られるそうだ。


 一ヶ月ぐらい先まで予約が詰まってるとも。


 桜が散るまでは仕方ないか。


 部屋に戻りくつろいでいると、夕餉の支度ができたという。


 皆腹が減って目が回りそうだったので、我先に席に急ぐ。


 3日ぶりの我が家の飯だ。


 見ればこれまでよりも豪勢な料理が大量に並んでいるじゃアーリマセンカ。


 刺身に天ぷら、尾頭付の鯛、うなぎの蒲焼に鶏のから揚げ、茶わん蒸しにたけのこご飯、味噌汁に香の物等々。


 給仕係の娘が4人、声を揃えて

「どうぞ召し上がれ、ご主人様!」


 かなり色っぽい娘が二人増えてる。


 ここは極楽浄土なのか?


 なんでも藤吉郎の手の者が見物客から集めた場所代で賄われたという。


 (また藤吉郎に借りが増えたな。倍返しも大変だぞ、これは。)


 満腹でひっくり返り動けない4人に娘たちの膝枕付き。


「お尻ぐらいなら触ってもよござんすよ。」


 双葉と翔平についた色っぽい姉ちゃんは、サービス過剰!


 東雲姉妹の方が触ろうとすると「あんたたちはダメ!」


「よいではないか、よいではないか。減るもんじゃないし。」

 と悪ふざけが過ぎる。


 居間に戻ると東雲姉妹は改まって双葉の前に座った。


「双葉殿、伏してお願い申し上げる。なにとぞ我ら二人、雇い続けてはもらえまいか。

 今日の夕餉は素晴らしかった。もう里の飯に戻るのは御免じゃ。


 風呂も最高に気持ちよかった。何度でも入りたいのじゃ。」


「今回の任務を見事果たしたなら、雇い続けることを約束しましょう。」


「おぉ!今川伝令隊の旗印、必ずや手に入れてみせまする。」


 屋敷の外では花見の宴も盛り上がっているようで、ときおり歓声が聞こえてくる。


 相も変わらず賑やかなことこの上ない。


 今日も一日の終わりが訪れようとしている。


 振り返ってみれば何とも頼もしい仲間が増えたことになる。


 これでまた一歩野望に近づいた⁈ かも?


 ―以下に続く―


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