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真・東風吹かば⁈  作者: ケロボッチ


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尾張編 【4】

 夜明けと同時に目が覚めた。


 チュンチュンと雀の鳴き声で起こされるのは嫌いではない。


 せっかく北陸地方にきたのだから、今まで縁のなかった蟹を是非とも味わいたかったが、蟹漁の時期はもう終わっていた。


 すでに蟹の口になっていたので昨夜の夕餉は味気なく感じた。


 毎年11月の下旬に蟹漁が解禁されるらしい。


 絶対にまた来るぞと固く心に誓う双葉であった。


 朝餉を済ませ弁当を受け取ると宿を後にして馬屋に向かった。


 翔平の馬を借りるつもりだったがケロについてこれそうな馬はいなかった。


 当然といえば当然か。秋風や冬風が異常なのだ。


 諦めて再びケロに二人が乗り直江津の町に急いだ。


 一晩休んだケロは元気一杯。


 途中で2、3回休んだだけで飛ばしに飛ばした。


 なんと昼前には直江津の町に着いた。


 ここから軒猿の里まではそれほど遠くない。


 少々山道になるが馬でも行けるらしい。


 里の入り口で誰何の声をかけられたが、翔平の顔を見て里入りを許可された。

 ここも顔パスかよ!


 頭の館に着くとすぐに面会が許された。


「おお、翔平久しいのう。

 金欠でおぬしの蔵元の酒も買えぬ有様じゃ。して、今日は何用か。」


「織田家の客分東風双葉が仕事を依頼したく参りました。」


「依頼内容を申されよ。」


「加藤段蔵殿に今川家の岡崎城から伝令隊の旗印を盗んでもらいたい。」


「ほう、段蔵に依頼か。生憎、あやつは私用で出かけておる。


 なんでも甲賀七人衆の頭、不死身の天邪鬼との因縁に決着をつけに行くとか。」


「不在なれば仕方のないこと。残念ながら縁が無かったか。」


 立ち去ろうとする双葉。


「待たれよ。お急ぎのご様子だが、提案を聞いてもらえる時間もありませぬか。」

(このまま返すと手土産らしき酒が手に入らぬし。)


「伺わせていただきます。」


「段蔵以外にも、その任務が果たせる適任者がいるとすればいかが?」


「適任者が他にもいるならお頼みしたいが。」


「まだ若いが忍びの技は一流、戦働きにも秀でており、個人戦はそれ以上。


 今川家との戦が終わるまで使ってもよい。


 会ってみてご自身の目で確かめますかな。」


「是非とも。」


 やってきたのは双葉よりも一回り小柄な忍び装束のくノ一だった。


 伊賀衆の手練れと戦うことになるやもしれぬ。大丈夫だろうか。


「腕前を拝見しても?」


「むろんじゃ。忍よ、おぬしの秘術を見せてやるがよい。」


「合点承知の助!」


 秘術!それは面白い。見せてもらおうじゃないか。


 双葉と対峙したくノ一は9つの印を切った。

「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前‼」


 煙玉により視界が遮られると、双葉は目を閉じて気配を探った。


 煙が次第に薄れていくとなんと!


 顔と姿が全く同じ、くノ一が二人現れた。


 これぞまさしく分身の術!


 噂で聞いたことはあるが、見るのは初めて。

 見事なものだ。


 すこし間合いを大きめにとり、影と実体を見極めようと観察する。

 ...違和感がある。


 どこだ? 何が違う?

 見破ったぞ! 秘術敗れたり⁉


 一気に間合いを詰め、同時に飛びかかってきたくノ一をふわりと地面に転がした。


 ここだ!ここが決定的に違う。


 二人のくノ一の胸をはだけると、一方はとても大きく、もう一方は双葉並みだった。

 久々ぶりのサービスシーン!


 他のものならいざ知らず、胸に関しては敏感な双葉であればこそ、見逃すはずもない!

 秘術がただの双子かい⁉ あぱれる君の如く突っ込まざるを得ませんと、感じざるを得ません。


 「お見事!よくぞ見破った。」と軒猿の里の頭。


「いえ、それがし以外なら易々とは見破れまい。」


 秘術が双子による張ったりとは、あまりにもお粗末であるが。


「戦に備えて、有能な忍びは多すぎることなどない。雇わせてもらおう。」


「では報酬だが、月初めに蔵元の2級酒を二壺と一か月につき100貫。こちらが受け取りに行くでどうじゃ。」


「1級酒二壺と200貫を渡しましょう。」


「おお!それなら永遠に契約を望みたいところだ。」


 くノ一二人は半ば酒で売られたに等しい。

 なんとも薄情な頭である。


「そういえば名はなんと申すのか。」


「分身の術を使う以上、二人とも東雲忍と申す。」


「二人同じ名だとまぎらわしい。そうさな...大胸と小胸でいいか?」


 うんうんとうなずく大胸と

「いいわけないじゃろうが!」と怒りの小胸。


「ちなみに、仰々しく九字を切ったりする必要があるのか?あの術に。」


「あれはその、言ってみれば...そう、雰囲気⁉」


 まあ、本人たちが気に入ってるなら好きにすればいいか。


 軒ざるの里を出るときに、二人の東雲忍は頭にもう戻ってやらないぞと捨て台詞を吐き故郷を捨てた。


 さすがに4人はケロに乗れない?ので直江津の町で馬を借りることにした。


 馬屋でましな馬を3頭借りて清州ではなく堺の町を目指す。


 往路で大幅に時間が稼げたので余裕ができたし、堺の馬屋はできるだけ覗いておきたい。


 あと、直江津の町の座では漆を買って堺で売れば利益がでそうだ。


 馬4頭になれば交易に使わぬ手はない。

 

 こまめな交易がかろうじて双葉の財政を支えている。手を抜くわけにはいかぬ。


 復路は日暮れ前まで目一杯進んで金沢の町で宿を取った。


 6畳ぐらいの部屋に4人は、少し手狭だが特に問題はない?


 大胸が翔平を気に入ったみたいで、何やら挑発しているようだ。


 忍び装束を浴衣に着替え、わざとらしく自慢の胸をチラ見せする。 


 翔平は真っ赤になってうつむいている。


 十三がいない分のサービスシーンを補ってもらえそうではあるが、過激すぎるとヤバイ気もする。


 ほどほどにしておけよ、大胸!


 明日も朝が早い。そろそろ寝るとするか。


 満を持して東雲姉妹が登場したが今は駆け出しの下っ端に過ぎない。


 後の凄まじい活躍はまだ先の話。


 忍野忍さん、胡蝶忍さんと共に日本3大忍しのぶとなるにはまだまだほど遠い。


 後に双竜と呼ばれ称えられる二人が加わった。


 これでまた一歩野望に近づいた⁈ かも。


 ―以下に続く―


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