表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真・東風吹かば⁈  作者: ケロボッチ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/45

尾張編【2】

 夜明けとともに目が覚めた双葉だが、寝ぼけていても鼻はきく。


 朝食の支度がすでに始まっているようだ。


 匂いにつられて、ふらふらと調理場の方へと歩いていくと、昨日とは違う二人の係が同時に「おはようございます」と挨拶をしてきた。


 挨拶を返すと、「もうすぐ用意ができますので」とありがたいお言葉。


 二人ともかなり小柄で踏み台の上に乗って調理している。

 子供?じゃないにしてもかなり若い。


 銀シャリに味噌汁、海苔に生卵、焼き魚に沢庵と梅干。

 

 夕食の係から、かなり多めに用意しておくようにと言付けがあったとのこと。

 ありがたくて腹の虫が騒ぎ出す。


 木下様が自ら料理の達者な係を選び、十分な給金を出すからくれぐれもよろしくと仰せで。


 至れり尽くせりだな、今度礼を言わねば。


 勘三も起きたようで、のっそのそとやってきて席に着くと、順に朝食の膳が運ばれてくる。


 いただきます。

 たくさん召し上がれ。


 二人の娘がそれぞれ給仕についてくれた。


 10杯目のおかわりを平らげたところで、腹八分目でおいておくことにした。


 その代わりに昼飯用に握り飯を10個ずつと竹筒のお茶の用意を頼んだ。


 風呂係から今日も沸かすかどうか聞いておいてほしいとのこと、少し考えて今日は沸かさなくていいと伝えてくだされと答えた。


 連日であの騒ぎはまずいかも。何か手をうったほうがいいかな。


 日課のケロの世話を済ませて、これも日課の鍛錬を始めると勘三も傍らで筋トレを始めた。


 体が温まったところで二人は素手による申し合いをする。


 体格的にはるかに勝っている勘三が双葉に手も足も出ない。


 幼い頃から母から武道を習い、13歳で東風流の免許皆伝の腕前になった。

 

 目の前でひっくり返っている勘三をぼんやり見ながら、しばしの間物思いにふける双葉だった。


 我に返り勘三が起き上がるのに手を貸してやると、苦笑いしながら立ち上がった。


「今日の助言をお願いします。」


「そうさな...考えるな!感じとるのだ⁉」


 どこかで聞いたことのあるような...燃えよ、チョロゴン?


「水浴びをして、着替えてきます。」すごすごと勘三。


「お見事ですぞ、双葉殿。」振り返ると藤吉郎が拍手喝采!


 どうやら途中から見ていたようだ。


 興奮して双葉の両手を取ってブンブンと振り回す。


 こういう無邪気さが藤吉郎にはある。


 なんでも迎えに来たら、思いもかけぬ鮮やかな双葉の武術が拝めたと喜んでいる。


 今日もやることが多く、時間がいくらあっても足りない。


 ゆえに、早い時刻から招集がかかったとのこと。


 朝食の係の娘が弁当とお茶を持ってきて、藤吉郎にも挨拶をしてから帰っていった。


 勘三が戻るまで藤吉郎と話すことにした。


 縁側に座ると藤吉郎の方から「聞きましたぞ、夕べは大変だったそうな。」と切り出してきた。


 ずいぶん、耳が早いなと少し感心すると、昨日の見物客が藤吉郎の家に、酒目当てにやってきて話したのだという。


「そのことで相談がありまする。」


「何なりと。」


「できるなら風呂は毎日入りたいのですが、毎晩あの騒ぎになるかと思うと、いささか気が引けて頼みづらくて。


 せめて見物客が半分ぐらいなら少しはましになるかと。」


「簡単なこと。万事拙者にお任せください。」


「もらい湯の分までとなれば、薪代もかかりましょうし、それがしが出しますので。」


「それには及びませぬ。十分な費用の許可がでておりますれば。」


「薪なら私の出番です。小屋にまだかなり残っているので取って参ります。」戻ってきた勘三が申し出た。


「ならば運び手を揃えておきます。」


「何から何まで痛み入る。感謝の言葉もありませぬ。」


「拙者の役目ならば当たり前のこと、礼には及びませぬ。」


「受けた恩義は倍返しが家訓なればいつか必ず。」


「ほう、ならばその日を楽しみにしておきまする。」


 木下藤吉郎、思った以上に頼れる人物だな。


 ―以下に続く―

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ