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真・東風吹かば⁈  作者: ケロボッチ


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放浪編 【6】

 竹中半兵衛宅の奥座敷で、双葉と半兵衛は向かい合って座っている。


 勘三は少し後ろに控えて座った。


 まだどちらも一言も発せずお互いを見つめている。


 双葉は半兵衛の澄んだ目を見て全てを見透かされそうな気がした。


 この人物には噓は通じないだろうと。既に双葉の正体が女であることも見破っているかもしれぬ。


 「当家の主、竹中半兵衛重治と申す。まずは手土産ありがたく頂戴いたす。」


「それがしは東風双葉と申しまする。後ろに控えているのは薬袋勘三でございます。


 本日は竹中殿に教えを乞いに参りました。」


「若輩の私などが一体何を教えられるのでしょう。」


「師は齢で選ぶものではないと思いますれば是非に。」


「ならば申されよ、何を知りたいのか。」


「誰が天下人になりえるかを教えて頂きたい。」


「わかろうはずもないが、ふざけているわけでもなさそうだ。

 どういうことかな。」


「はい。われらは戦国の世を憂いております。


 人を殺める戦ほど嫌いなものはございませぬ。


 戦のない太平の世を迎えるには、天下人による日の本統一以外はありませぬ。


 われらがその方を助けることで、戦乱の世の終わりが一日でも早くなればと。」


「戦国の世で武士たるものが戦を嫌いだと公言すれば、卑怯者、臆病者のそしりを受けるのが当然のこと。


 にもかかわらず今の話。どうやら本気のご様子と窺える。

 ならばこちらも、それに答えるのが礼儀ゆえ知る限りの事は話しましょう。」


「誠でございますか!是非ともわれらに道筋をご教示ください。」


「とは申しても、雲をつかむような話。どこから、いや誰から話せばよいか。」

 半兵衛は少し思案して、落ち着いた声で話し始めた。


「現在、都を支配しているのは三好長慶。近畿一帯から四国にまで勢力を広げている。

 しかしながら天下統一の意思など微塵も感じられない。


 逆に三好家を討伐する意思と実力のある者こそ天下人に相応しいかと。

 

 九州や東北地方にも実力を備えた大名がいない訳ではないが、いかんせん都から遠すぎる。


 中国地方の毛利元就は優れた才覚に加えて、実力もあるが惜しむらくは上洛の意思はないようだ。


 軍事力に秀でた双璧、上杉謙信と武田信玄はお互い牽制しあって、どちらかに傾くまでは動けまい。


 関東の北条家も名門だが、上洛する気はないと見る。


 となると、残るは東海一の弓取りこと、今川義元。大軍を率いて近く上洛の噂がある。

 しかし名門の驕りが目立ち公家かぶれの家風。


 跡継ぎの氏真も凡庸なれば簡単に事が運ぶとも思えぬ。」


 半兵衛は言葉を切って間をあけた。


 そのあとおもむろに

 「織田信長。尾張のおおうつけに賭けてみてはいかがでしょうか。」


「驚きました!宜しければ理由をお聞かせください。」


「一つは大大名は新参者など必要とされませぬ。


 もう一つ、あの道三公が斎藤家は信長の前に轡を並べるであろうと予見したことです。」


「それほどの器量でございまするか⁈」


「今はまだ弱小大名にすぎませぬが、本人の資質は他の有力大名を凌駕すると感じています。 


 無論大名以外にも無名で天下人になり得る俊傑もいるやもしれませぬが、それは今は知りようもござらぬ。」


「信長殿に欠点や弱みはありませぬか。」


「気性が激しすぎる故、無用の衝突を起こしかねない。


 何より今川家の上洛が近いことが脅威。」


「上洛はいつ頃と予測されましょうか。」


「5月の初旬ではないかと。」


「そんなに早く! 一ヶ月もありませぬぞ。」


「準備を急ぐ必要があります。」


「どのような準備をすればよいでしょうか。」


「まともに戦えばまず勝ち目はありません。


 奇襲で総大将を討ち取るのみ!


 そのためには本陣の場所の情報が不可欠で、

 優秀な偵察部隊の編成こそが最重要です。」


「素晴らしい! ですが他にもまだまだありそうですね。


 打てる手は全て打ちたい、


 何卒、あらん限りの方策を教えてください。」


「ならばもう少し。


 向こうから攻めてくるのだから、決戦の場は尾張の近くになるはず。


 地の利は織田家にあります。


 鳴海城が攻められているうちに、間道を使って迂回し、本陣に忍び寄ることもできましょう。


 あと織田家を慕う領民に予め手はずを整えて置き、義元本隊が通りかかる際に祝いの酒などを献上させて、足止めをする。


 それぞれの村に配下を置いておき、今川勢に見せかけた偽伝令で早馬を使って位置を知らせる。


 これですべて、あとは織田信長に天運があるかどうか。」


「感服しました!心より感謝いたしまする。


 必ずや、今川義元を打ち破って報告に参上します。」


「吉報。楽しみに待っています。」


 双葉たちは深々と頭を下げ竹中宅を辞した。


 もう迷いはない。

 織田信長に賭けてみる!


 もちろん織田家に伝手つてはないが、心配ない。


 海よりも広い人脈を持つ翔平がいれば会えない人物などいない。


 で、誰に会いたいの?と聞いてくる翔平センセに恐る恐る

「...織田信長。」


「大丈夫、会えるよ。」


 会えるんかい!とツッコミを入れてしまった。


 すぐに尾張に向かう前にお気に入りの下呂温泉に寄って行こうかと鑑三に相談すると、今は十三がいないので認定されないから公費が無駄になるとほざきやがった。

 

 納得がいかないまま尾張に向かった。


 ―以下に続く―


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