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真・東風吹かば⁈  作者: ケロボッチ


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放浪編 【4】

 道すがら、元親分格の権三が言うには、この辺り一体にある野武士の集団のまとめ役がいて、そのおかげというか、ここいらでは戦がめったに起きないらしい。


 蜂須賀小六正勝その人だ。一度は会ってみたい人物だな。


 野武士もどきの住処はなんら普通の村と変わりがない。


 小さいながらも田畑もあり、元百姓の面目躍如である。


 権三の家に入るなり、カミさんらしき女性が権三に平手打ちを連発!

 ビビビの嫁だ。


「あんた、わっちのいないときに隠し蔵元を襲いに行ったって?


 いい加減にしないといつかひどい目に合うよ。」


「ひ、ひどい目なら、今まさにあってますけど?」

 然りだ。


「女将さん、それぐらいで。気を失っては困る。」


「だれだい? あんたたち、見かけない顔だね。」


「どうやら権三さんより女将さんと話した方がよさそうだ。」


「まあわっちがこの里を仕切ってるのはた確かさ。で、話って?」


「この者たち、今日限りで野武士はやめてまっとうに働くと誓ってくれた。

 その上で頼みたいことがある。」


「あんた、本当かい?嬉しいじゃないの! ささ、あがってくださいな。」

 打って変わって上機嫌の女将さん。

 

「で、頼みってなにさ。」


「この里にはまだ畑を増やす土地があるようなので、新しい野菜を二つほど作ってもらいたい。無論報酬は出しますゆえ。」


「その新しい野菜とは何ぞなもし?」


 懐から紙に包であった種を取り出して

「故郷の筑前の国にいたときに、困っていた南蛮人を助けたお礼にもらったものです。


 こっちはカボチャ、もう一つはニンジンといいます。まだ日の本ではほとんど作られていなくて、栄養もありとても美味しいと。」


「わっちらでもつくれるかいのう?」


「簡単にできますし、すべて教えますので安心してください。」


「悪い話じゃないし、やってもいいよ。いいよね、あんた!」


「喜んで!」完全に尻に敷かれているな。


 双葉は種の取り方から、育て方、売るときの注意事項までびっしりと書き込んだ手作りの冊子を渡しておいた。

 

 近いうちに戻ると伝えて里を後にした。


 双葉たちは、いったん炭焼き小屋のケロを引き取ってから、堺に依頼の酒を届けることにした。 


 残りの酒は里でしばらく預かってもらう。1級酒を1壺は謝礼として飲んでもいいと。


 炭焼き小屋に戻ると双葉たちを見つけたケロが例によって嬉しそうにはしゃいでいる。

 あれでも結構可愛げがある。


 さすがにケロに3人は乗れないので井ノ口の町で馬を借りることにした。


 買うなら堺の馬屋が断然いい。


 確か京の座の主人が紙20箱ほしがってたな。ついでに買っていくか。


 こうゆうところがなかなかにそつがない。


 座で紙を仕入れて、馬屋で二人に馬を借り与えて、3人は京に向かった。


 京に着くまでずっとケロが先頭を走った。


 何人なんぴとたりとも前には行かさぬと。 何馬か。


 走りずめで借りた馬はさすがに息を切らしていたが、ケロだけは名前のごとくケロッとしていた。


 座に入り紙20箱を渡すと驚いた様子。こんなに早く納品するとは思ってなかったのだろう。


 仕事の報酬を少し上乗せしてくれたようだ。有難い。


 そろそろ日が落ちる。


 今日はここで宿をとることにしよう。 うまい酒もあるし今夜は宴会だ!


 上京し2日目にして同志が2人も増えた。


 これでまた一歩野望に近づいた⁈ かも?


 

 一夜明けた。


 部屋の中は悲惨だった。三人ともあられもない姿でひっくり返っている。


 満点のサービスシーンである。


 おかしい。


 これだけサービスシーンを増やしてもPVが伸びない。


 やはりラッキー助平られクラスでないと駄目なのか。


 もしくは映像化が必要なのかも?


 まあ、この責任は双葉にあるのは間違いない。

 

 どう間違いないのか説明してもらおうじゃないか。むにゃむにゃ。


 寝ぼけながらもこの件に関しては、必ずツッコミを忘れない律儀な双葉である。

 

 夕べはたらふく食べた後、お待ちかねの宴会が始まった。


 隠し蔵元の1級酒は口当たりがよく文句なく美味しいのだが、相当きつい。


 3人とも酒には目がないのだが、実は強くない。


 十三などはお猪口一杯飲んだだけで、全身真っ赤に。


 茹蛸ゆでだこレベルである。


 勘三は大声で何か歌っているのだが、ろれつが回らずただうるさいだけ。


 双葉はもろ肌脱いで変な踊りを踊りだす。


 まださらしはほどけてないが時間の問題だろう。


 ほどけても認定はされないが。


 だから誰が何を認定するんだにゃ、ヒック。


 宴会というよりはサバトにちかい。


 このどんちゃん騒ぎは近所一帯に響き渡り、結果双葉たちはこのあたりの宿屋全てから出禁を食らったのも当然である。


 翌朝、宿屋の女将からこっぴどく、しかられた3人はすごすごと宿屋を後にした。


 3人とも記憶が飛んで何も覚えていなかった。


 3人は自分は悪くないとお互いに責任を押し付けあっている様子。


 だがこんな事をしている場合じゃない。


 まずは北野天満宮にお礼参り、堺の町に依頼品を届けて、報酬が入ったら約束の鉄砲を買う。


 そうそう先に馬も買わないと。


 北野天満宮に着いてお礼参りを済ませた後、いつぞやの宮司に出会えた。


「いい出会いがあったようじゃな。良きかな、良きかな。」


「貴殿のおかげで同士が二人も増えました。感謝の言葉もない。」


「お礼参りをする心がけがあればこそのお導きなのじゃ。


竹中殿にも会えると良いな。」


「美濃に何度も赴く用も出来ましたゆえ、必ずや会えると信じておりまする。」


「それは僥倖、精進なさるがよい。」


 深々と頭を下げ北野天満宮を後にした。


 堺の町の座に依頼の酒を届けると座の主人が


「こんなに早く届くとは思わなかったよ、大したもんだ。」


「運が良かっただけです。それと訳ありで、預り金がかなり余ったのでお返しします。」


「あんた、馬鹿正直だな。


交渉とか訳ありとか、自分の才覚で浮かせた分はそれも報酬の内ってもんだよ。


いいからとっておきな。」


「かたじけない。ではありがたく頂戴します。」


「ちなみに、いくらぐらい余らせたのかな。」


「半分の250貫です。」


「...やっぱり少し返し...いや、見事な手腕!


 またいい仕事があったらあんたに頼むよ。」


「是非に!」


 報酬を受け取り意気揚々と馬屋に向かう3人だった。


 ―以下に続く―

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