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反乱で処刑された若き領主、気づいたら過去に戻っていました。  作者:


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281/342

受けるか、踏み出すか

砦の作戦室。

地図の上には、西からの侵攻経路が赤く記されている。


破られた柵。

落ちた騎兵。

本隊の進軍路。


「……さて、どうするか」


エドワルドは腕を組んだ。


もう一度ここで受けるか?


砦は機能するし罠もある。

地の利もある。


だが——


「同じ手は、使えないな」


クラウスが頷く。


「次は慎重に来る。罠は警戒される。数で押されたら終わりだ」


今回の勝利は、奇襲と混乱。

二度目は無い。


「ならば……」


エドワルドは顔を上げた。


「兄上」


「ん?」


「少数部隊で強行偵察の許可を」


部屋の空気が一瞬止まる。


「……はぁ?」


クラウスが目を細める。


「逆侵攻するのか?」


「違います」


即答。


「強行偵察です」


「敵の本陣、補給線、兵数、配置」


「こちらから確認しに行きます」


レオンが口元を吊り上げた。


「ほぉ」


クラウスはじっと弟を見る。


「危険だぞ」


「承知の上です」


「戻れなければ?」


「戻ります」


間髪入れず答える。

沈黙。

クラウスは小さく息を吐いた。


「……無理はするな。敵本隊に突っ込むな。深追いするな。逃げろ」


「はい」


「なら許可する」


エドワルドは一礼した。


「ありがとうございます」


クラウスはぼそりと付け加える。


「お前は昔からそうだ」


「受けるより、殴り返す方を選ぶ」


エドワルドは苦笑した。


「守るだけでは守れないと、教わりましたので」


クラウスが小さく笑う。


「誰にだ?」


「兄上に」


一瞬、沈黙。そして小さな笑い。



エドワルドは振り返る。


「レオン!」


「はっ!」


「強行偵察を行う」


空気が変わる。


「人数は?」


「二十」


「多すぎると気付かれる!少なすぎると死ぬ」


レオンが即答する。


「団員十。民兵精鋭十」


「軽装備」


「クロスボウは携行」


「投石機なし」


「撤退最優先」


「その通りだ」


エドワルドは地図を指す。


「ここを越えれば敵領」


レオンの目が光る。


「……やっと攻めの匂いがしますな」


「攻めない」


「見に行くだけだ」


「はいはい」


だが二人とも理解している。

これはただの偵察ではない。

“力を示す偵察”だ。


夜。砦の外


選ばれた二十名が静かに整列する。


鎧は軽装。盾は無し。荷も最低限。


「目的は敵情把握」


エドワルドの声は低い。


「戦うな」


「囲まれたら逃げろ」


「誰一人欠けるな」


視線が交わる。


「我々は見に行く」


「西がどれほどの本気かを」


剣を抜く。


「出発」


静かに、影のように、二十の足音が砦を離れる。



クラウスは砦の上からそれを見ていた。


「……強行偵察、か」


横に立つ副官が言う。


「止めなくてよろしかったのですか」


「止めても行く」


クラウスは苦笑する。


「なら許可した方がマシだ」


遠ざかる影を見る。


「無茶はするなよ、エドワルド」


風が吹く。西の空は、まだ暗い。

受けるだけの戦は終わった。


次は——


敵の懐へ。

物語は、防御戦から機動戦へ移ろうとしていた。

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― 新着の感想 ―
「投石機なし」 カタパルトならそもそも持てるはずがなく、スリングなら持っている方が自然。
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