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反乱で処刑された若き領主、気づいたら過去に戻っていました。  作者:


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受け止める器

もう、迷いは無かった。


覚悟は決めた。

後は、進むだけだ。


机の上に広げた地図を見下ろす。

赤く印を付けた村が、三つ。


「……ここも、ここも、持たせる」


呟きながら、配置を書き込んでいく。


各三箇所の村には、追加で人を当てがう。

物資だけでは足りない。

配る手、診る手、話を聞く手——人が要る。


レオン達が拾い上げて来る人間は、間違いなく増える。


「保護民……いや」


一度、言い直した。


「住む場所を失った人間、だな」


呼び方を変えた所で、現実は変わらない。

だが、こちらの意識は変わる。


彼らは“流れて来る荷物”じゃない。

一人一人、止まる場所を探しているだけだ。


「……数は、かなり来るだろうな」


南町の受け入れ能力を頭の中で弾く。

住居。

食料。

仕事。


一箇所に集め過ぎれば、必ず詰まる。


「だから、受け流す」


南町は終点じゃない。

通過点だ。


回復出来る者から順に、生活に乗せる。

動ける者は仕事に回す。

定着出来る者は残し、出来ない者は——次の場所へ。


「川と同じだ」


溜め過ぎれば、濁る。

塞げば、溢れる。


必要なのは、堤防じゃない。

流れを管理する事。


「……誰かが嫌われ役になるな」


検問。

割り振り。

制限。


感謝される仕事じゃない。

だが、やらなければ全てが止まる。


俺は、ペンを走らせ続けた。


配置。

優先順位。

緊急時の切り替え。


気付けば、書類の山が一段高くなっている。


「……」


ふと、手を止める。


これだけ動かせば、必ず目立つ。

王政にも、隣領にも。


だが、もう引かない。


「受け止めると決めた」


それは、救うと約束したのと同じだ。


助け切れなかった者の責任も。

間に合わなかった後悔も。


全部、背負う。


俺は最後に一行、書き足した。


——詰まった場合、判断は全て俺が行う。


逃げ道は、最初から書かない。


椅子から立ち上がり、窓の外を見る。

南町の灯りは、以前より増えている。


人が集まれば、問題も増える。

だが同時に——可能性も増える。


「……やってやるさ」


小さく息を吐く。


これはもう、流れを止める話じゃない。

流れを、受け止め切る話だ。


俺は扉を開け、次の指示を出しに向かった。


夜は、まだ終わらない。

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