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反乱で処刑された若き領主、気づいたら過去に戻っていました。  作者:


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土の下で育つもの

じゃじゃ芋は、半年で収穫できる作物だ。


前の人生で知っている。

だが、それは「条件が整っていれば」の話でもある。


植え付けから、数か月。


畑には、はっきりとした変化が出始めていた。


芽が揃い、葉が広がり、地表は青々としている。

背丈は高くないが、葉の厚みがある。


「……悪くないな」


畝の端に立ち、俺は静かに呟いた。


肥料を入れた区画と、そうでない区画。

一目で違いが分かるほど、葉の色が違う。


農家たちも、最近は畑を見る回数が増えた。


「坊ちゃま、この作物……」


誰かが言いかけて、言葉を飲み込む。


まだ、結果は出ていない。

掘っていない以上、確信には早い。


「収穫は、まだ先です」


そう告げると、農家は頷いた。


「葉が黄色くなってから、ですな」


「はい」


この時点で掘るのは、ただの好奇心だ。

急ぐ理由はない。


俺は、種芋の量を思い返す。


十キロ。


仮に五倍取れれば、五十キロ。

それだけあれば、次につなげる。


だが――


「期待しすぎるのも、良くないな」


数字だけを追って失敗したのは、前の人生だ。


土は、嘘をつかない。

だが、人は、期待で判断を誤る。


だから、今は待つ。



畑を離れ、屋敷へ戻る途中。


倉の前で、足を止めた。


小麦袋が積まれている。

今年は、まだ平年並みだ。


だが、二年後。

豊作の年が来る。


その翌年には、暴落と暴騰。


「……今のうちに、保管だな」


乾燥パスタは、まだ試作段階。

量産には時間がかかる。


なら、それ以外の手も考えるべきだ。


倉の中に入り、空き具合を確認する。


「思ったより、余裕がある」


前の人生では、

「足りない」と思った時には、もう遅かった。


今は違う。


余裕があるうちに、備える。


保存方法。

袋。

湿気。


領地の問題は、戦より先に、倉から始まる。


「……父に、相談するか」


即決はしない。

だが、報告はする。


勝手に動かない。

結果を積んでから、話す。


それが、今のやり方だ。



その夜。


部屋に戻り、簡単な記録を付ける。


葉の状態。

区画ごとの差。

農家の反応。


紙に書きながら、ふと思う。


じゃじゃ芋が育っているのは、土の下だ。

だが、同時に――


人の意識も、少しずつ変わっている。


「変わるのは、作物だけじゃないな」


畑で遊んでいるだけに見えるだろう。

土を弄っているだけの、子供に。


それでいい。


信じさせる必要はない。

結果が出るまでは。


収穫は、まだ先だ。


だが――


この領地では今、

確実に「待つ価値のある時間」が流れていた。

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