第3話『初めてのユニークスキルの習得』
あれから半年の時が過ぎた。魔石の色は紫。【初級剣術】スキルはカンスト。【初級無属性魔法】スキルも本日カンストした。
ユニークスキル【究極突破】はまだ習得できないので、おそらく【破壊】も無理だ。まずは【深淵】のユニークスキルを獲得しようと思う。
そのためには禁書庫に行かなければならない。確か禁書庫のカギは父の書斎にある。
おそらく父に話をしても取り合ってくれないだろう。それに父は現在出張中である。待っていたら一週間くらいかかってしまう。
ならば取る選択肢はひとつだけだ。俺は母にバレないように父の書斎に忍び込んだ。
確かゲームの知識通りなら、父は自分の机の中に禁書庫のカギをしまっていたはずだ。
こそこそと机の中を探していると、あっという間に禁書庫のカギを見つけた。
思ったより簡単なミッションだったな。俺は悪いことをしているとわかりつつも、主人公補正で四年半後の聖剣祭で聖剣を抜かなければ、モンスターに襲撃されるなど、何かと面倒臭いことに巻き込まれるに決まっている。
それが主人公補正の恐ろしいところなのだから。これはスローライフな日常を謳歌するための保険である。
そして、そのまま屋敷の離れにある図書室へと潜り込む。たくさんの本が立ち並び、埃っぽい臭いが鼻の穴をくすぐる。
魔導書の類もたくさんあり、アビス系を習得したら他の魔法も習得に時間を割くのもありかもしれない。
しばらく歩いていると、ひときわ大きな本棚を見つけた。ゲームでは確か、この本棚の一番下の棚にカギ穴があるはずだ。
俺は本をどけて、カギ穴を調べた。すると、奥の方にいまのカギがちょうど嵌りそうな穴をみつけた。
迷わずカギ穴にカギを挿入して、ぐるりとまわす。その途端、本棚が動き出し、禁書庫の扉が開いた。
「……よし」
小声でガッツポーズをとりながら、俺は禁書庫の階段を降りていった。
それにしても長く使われていないようで、かなり古びている。
俺はかび臭い階段を降りきると、そこでボロボロの扉を見つけた。
これはまさに原作ゲーム通りだ。本来なら終盤に父に禁書庫のカギを貰うサブクエストが発生するのだが、今回はそれをすっ飛ばしている。
というか父の書斎に潜り込むとか、バレたとしても子供の悪戯だと怒られるだけで済む息子だけの特権である。
禁書庫の扉を開けると、大量の本棚が立ち並んでいた。お目当ての【深淵の書】は禁書庫の一番奥にある。
ゆっくり母や執事にばれないように進むと、【深淵の書】がある金ピカの本棚を見つけた。
俺は【深淵の書】を取り出すと、さっそく読み始めた。
その文字は何て書いてあるかチンプンカンプンだったが、何故か身体がそれを自然に吸収していく感覚を覚えた。
三時間後。全部読み終わると、体に知識がしみ込んでくる感じがした。
俺は感覚的にユニークスキル【深淵】を獲得したことを悟った。
「……よぉぉぉぉぉぉぉし」
俺は再び小声でガッツポーズした。俺は【深淵の書】をすぐ本棚に戻し、禁書庫から出て、入った証拠の隠滅を図った。
父はいないし、執事やメイドも母のお茶会に参加しているだろう。
俺は父の書斎に潜り込み、カギを元の場所へと戻した。
そして、早速【深淵】を試すために、家の裏庭にまわり、さっそく初級のアビス系の魔法を上空に行使することにした。
「深淵の闇よ。穿て。アビスバレット!」
放たれた虚無の弾丸は上空で霧散して消え去った。
「で、できた!」
俺は遂に一つ目のユニークスキルを習得した。でもここで発動までのラグを考えた。
これはもう一度図書館にいき、無詠唱魔法の本を読んで、【無詠唱】スキルを習得すべきかもしれない。【無詠唱】スキル自体はユニークスキルではなく、エクストラスキルなので習得が困難なだけで、普通の図書館なら本が置いてある。
次の修行は無詠唱魔法に決まった。魔力を魔石に込めつつ、無詠唱魔法の練習をしよう。
そう決めて鍛錬に励んだ。




