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第13話『素材採取』

 あれから三日が経過した。俺たちは今日もギルドの掲示板の前でスライム討伐クエストの貼り紙をとろうとしていたのだが、俺はミーナに口を挟んだ。


「今日は素材採取をやってみよう。薬草とクテリファ草の素材採取クエストの二つだ!」


「いいよ。面白そうだね。やろっか!」


 流石は好奇心旺盛で無鉄砲なだけある。未知の体験への好奇心は子供並みだ。そういう無邪気なところがミーナの可愛いところだ。


 俺はパーティーリーダーのミーナに貼り紙と冒険者カードを渡した。ミーナはそれらを受付に提出して、パーティーによるクエスト登録が終わった。


「よし。行くか!」


「うん!」


 こうして俺たちはいつもとは一風変わった初心者用の素材採取クエストを受注したのであった。


 ☆☆☆


 クエストを受けた俺たちはいつもの裏山に辿り着いた。そこでまずは薬草十個の採取から済ませることにする。


 俺はミーナに内緒で検知の魔法を使い、周囲にある薬草を全て把握して、一気に十本集まっているところを発見した。


 ミーナに声をかけた。


「ミーナ。俺の予感ではあっちに十本くらい薬草が生えている気が……」


 その時、ミーナはぼーっとしながら、俺に尋ねた。


「クレイ。実はね。わたしは数年前にこの裏山でワイバーンに襲われたの」


「ああ。奇跡的に助かったって話は聞いている」


 実際に助けたのは正体を隠した俺なのだが、ミーナの奴、どうしたというのだろうか。


 そこでミーナは思い出語りを始めた。


「奇跡的じゃないよ。実は魔剣士スロウ・ディストラクションって、冒険者に助けられたの。あの人一体何者なのか、いまだによく分かってないの。でも恐ろしいくらい強かった。まるで勇者であるかのように……」


 そりゃ序盤の村の人には強く見えるわな。実際世界的に見たら中の上だけどな。


 俺は自分の正体がバレていないことに安堵して、ミーナに適当な言葉を返した。


「そうか。おそらくそいつが意外と聖剣祭の勇者だったりしてな」


 ミーナはくすりと笑った。


「もしかしたらそうかもね。ごめん。ついうっかり思い出話しちゃったね。素材採取しようか!」


「おう! それじゃ。俺に着いてきてくれ! 前にスライム討伐クエストで薬草が集まっているポイントを見かけたんだ!」


「うん! 是非案内して!」


 ミーナに言われるまま、俺は薬草が集まっているポイントまで移動を開始した。


 しばらく歩くとすぐそのポイントまで辿り着いた。


 ミーナは感動したように笑った。


「わぁ。本当に十個あるね。流石はクレイ。観察力だけならSランク冒険者だね!」


 なんだか照れ臭いが、目立つのは嫌なので、俺はあくまでモブとしての自分を語った。


「そんなことはない。俺なんてただの平凡な冒険者だ!」


 ミーナはくすくす笑った。


「将来有望の間違いじゃないの?」


「買いかぶり過ぎだ。それよりクテリファ草を探すぞ! いいポイントを知っているからな!」


「ふーん。さてはクレイったら情報屋から素材場所の情報買ったでしょ?」


「さて、なんのことかな?」


「やっぱりね。どうりで手際がいいと思った。じゃあ早速いこっか!」


「ああ」


 実は情報屋も何も索敵魔法の効果なんだがな。だが、このまま情報屋から素材場所の情報を買ったと思って貰った方がやりやすい。


 俺は再び十個クテリファ草のある場所を発見した。そこへミーナを連れていくために声をかけた。


「こっちだ。情報通りならな!」


「うん。じゃあそこまで連れてって!」


 俺たちが移動していると、急に目の前にゴブリンが二匹現れた。俺はミーナに戦闘態勢を告げた。


「敵だ。陣形を取れ!」


「りょーかいだよ!」


 俺はすぐに銅の剣を抜き、【身体強化】で肉体を強化して、一気にゴブリンを二匹仕留めた。


 その手際の良さにミーナは拍手した。


「うわぁ。クレイってやっぱり凄いよね。流石はブレイおじさんの息子さんだなぁ」


「別に。このくらい父さんに鍛えて貰っている兵士なら誰でもできる」


「それでもやっぱり凄いよ。あと一か月もすればEランクになれるんじゃないの?」


「流石に新人が一か月でEランクは目立ち過ぎだろ。半年は待つべきだ」


「もう。クレイってば本当に慎重なんだから!」


「お前が無鉄砲過ぎるだけだ。さあ。もうすぐ目的地だ。行くぞ!」


「はいはい。どうせわたしは無鉄砲ですよ。ふーんだ!」


 本当に俺の推しは子供っぽい。もう少し大人の自覚を持って欲しいものだ。でも新卒の頃の俺もそんな感じだったか。


 そして、そのまま無言で歩くと、クテリファ草の場所まで無事辿り着いた。俺は本数を確かめる。


「二、四、六、八、うん、十本あるな。これでクエスト達成だ!」


 ミーナはクテリファ草を採取して、袋に入れると、懐中時計で時間を確認した。


「まだ三十分しか経ってないよ。早すぎじゃないかな?」


 俺はミーナの肩に手を置いた。


「仕事は早く終われば、早く終わるほどいいんだよ! さあ。行くぞ!」


「うん! 早く帰ってアップルパイでも食べよう!」


 こうして俺たちは素材採取クエストを達成した。報酬は銅貨二十枚だったので、半分で分けた。


三十分で一万円とか冒険者美味過ぎだろと内心ツッコミまくりながら、俺はそのあとミーナとアップルパイを食べたあと、自宅へ戻り日課のトレーニングに勤しんだ。


スローライフ最高。そう幸せを噛みしめながら、トレーニング後にたっぷりと昼寝を満喫したのであった。

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