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第一話・コマ割り空間を突き抜けてエルフの国へ

喰太郎(くいたろう)のバカぁ! 変態!」

 エルフ大好きの男子高校生──古米 喰太郎(こまい くいたろう)は、近所に住むクラスメイトの女子生徒『岡頭 シオ(おかずしお)』に突き飛ばされて、教室から次元を越えた。


「おわぁぁ⁉ なんだコレ?」

 ドンドンドンといった感じで、コマ割りされた世界の壁を突き破って別世界──異世界へと喰太郎は数枚のページを突き破って飛ばされて、最後の世界に落下した。


 岩山にめり込んだ喰太郎は、岩壁から体を引き起こして頭を痛そうにさする。

「痛てぇ、シオのやつ手加減なしだな……ここどこだ?」

 牧歌的な風景──放牧された牛の群れが見える高原。

 喰太郎は、自分の手の平を眺めて、ぶっ飛ばされて次元を越える前の感触を思い出す。


「なんだよ、シオのやつ……今日に限って、突き飛ばすなんて……尻を触る挨拶なんて、ちょくちょくやっているだろうが……いつもは、尻を触っても頬をヒクヒクさせるだけで、許していたくせに……あれっ、耳が」


 喰太郎は自分の両耳を触る。

 喰太郎の耳は尖ったエルフ耳に変わっていた。

「やったぁぁ、なんだかわからないけれど、エルフの耳になっている……ラッキー」

 エルフ大好きな喰太郎が、歓喜していると。

 ロールした牧草を背負った、一人のエルフ少女が丘を登ってやって来た。


 牛のような爆乳で、頭に牛角を生やしたエルフ少女が、喰太郎を見て言った。

「ここらじゃ、見んねぇ顔と変わった服装だな……どっこから来た?」

 喰太郎は、乳牛エルフ胸には興味を示さず、乳牛エルフの尾てい骨から生えていて、揺れている牛の尻尾に目が移る。

 喰太郎が言った。

「すまないけれど、後ろ向いて尻尾を見せて」

「こうだか?」


 乳牛エルフが、尻を向けるとムラムラした喰太郎が、ケダモノのように襲いかかる。

「うおぉぉぉ! 尻触らせろ!」

 襲ってきた喰太郎を、乳牛エルフは回し蹴りで撃破して、喰太郎は近くの木に激突した。


 喰太郎が激突した木の表面には、エルフの顔が浮かんでいて。

 エルフ人面樹から伸びた(つる)が、喰太郎の体を幹に縛りつけた。

 身動きが取れない喰太郎が、少し嬉しそうな顔で言った。

「うおっ、なんだこれ……エルフの顔が浮かんだ人面樹の蔓に絡め取られている……これは、これでいい」


 乳牛エルフが呆れた口調で言った。

「その木は、エルフに害を成す者を捕まえて、養分として溶かす肉食エルフ樹だべな……そのままだと、おめえは溶かされて骨になるべな」


「それは、それでいいエルフに抱かれて溶かされるなら本望だ」

「おめぇ、変わっているべな……そこで、樹木に抱かれて高原で白骨化していくのを見るのも、気分が悪いから……助けてやるべな、応援を呼ぶから少し待っているべな」


 乳牛エルフが角笛を吹き鳴らすと、ゾロゾロとエルフたちが集まってきた。

 乳牛エルフが、ほとんどだったが中に、(うろこ)がある、海洋エルフも数名混じっていた。

 陸に上がった人魚のような、海洋エルフの一人が言った。

「そいつが、怪しい男? 確かに純正のエルフ男じゃないみたいね……城にいる第三王子と同じ匂いがする」


「そうだべ、だから城の第三王子の所に連れて行くべな……なんか、こいつからは特別な力を感じるべ……海路を使って城に連れて行きたいから〝ツナ〟の漁村の協力が必要だべな」


 ツナと呼ばれた海洋エルフが言った。

「わかった……ここからだと陸路を使うより海路の方が早い、協力するよ〝ホルスタイン〟は親友だから」

 少し溶けはじめている喰太郎が、海洋エルフのツナに向かって言った。


「すまないが、後ろを向いて尻を見せてくれないか……頼む」

「お尻を? こう?」

 海洋エルフの薄い鱗に包まれた臀部を見た、喰太郎が興奮して叫ぶ!

「うおぉぉぉ! 人魚の尻みたいな鱗尻もいぃ! 尻触らせろ!」

 海洋エルフの口から発射された怒りの海水が、喰太郎の体を溶かしている溶解液を洗い流す。


 ツナが人面エルフ樹に言った。

「人面ちゃん、こんな最低男を溶かして食べるとお腹壊すよ……城に連れて行くから我慢しなさい」


 そして、蔓に絡まれ喰太郎が蔓に絡まれたままの、人面エルフ樹が切り倒された。

「倒れるぞ! 注意しろ!」

 喰太郎の顔面が、倒れた樹の方向で地面に激突する。

「んべっ」

 喰太郎の体は、そのまま人面エルフと一緒に御柱祭のように丘を下って砂浜に到着して、組まれていたイカダの中央に立てられた。


 乳牛エルフ数名と海洋エルフ数名が乗り込んだ、枝葉が茂る人面エルフ樹のイカダは出航して海路から、エルフの城へと向かった。

「いい風が吹いている、この調子なら明日の昼ごろには町に入れるな……遊び好きの海の魔物エルフが、ちょっかいを出してこなければ」

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