40話 9年前(ティロン視点)
メリー・クリスマス!
40話9年前(ティロン視点)
昔から、パーティは嫌いだった。たくさんの大人が俺にへりくだるああいう場は。第一皇子という身分のせいで、俺は昔から1人ぼっちで、対等に話せる友がほしかった。従者だってどこか線引きされていることに気づいていた。
でも、人混みも、パーティももううんざりだ。
『風にあたりに行ってくる。』
従者にそれだけ言い残して庭に出る。もう疲れて、少し散歩しようとした瞬間、どこからか泣き声が聞こえてきた。
声を頼りに歩いていくと、ドレスをきた女子が木の下でうずくまって泣いていた
『どうしたんだ?』
『あ...』
その少女は驚いていたようだった。
『私、友達が1人しかいなくて...お父様もお母様もお兄様も忙しいし...』
その少女は、さみしくて泣いていたようだった。そんなことより、ただの友人のように、知り合いのように話してくれたことに、俺は内心、新鮮な気持ちと、嬉しい気持ちがごちゃ混ぜになっていた。
『お前、名前は?』
『リディア...リディア・サンジェリル...』
『リディア、寂しいなら俺が話し相手になってやる。』
『ほんと…?』
『ああ。』
『ありがとう...!』
俺が初めて、人のことに興味を持った瞬間だった。初めて、人の笑顔が可愛いと思った。
『俺はティロン。ティロン・デオ・タリカだ。リディアって呼んでもいいか?俺の事もティロンと呼んでくれ』
『うん!もちろん!ティロン!』
『どうした?リディア?』
『ふふ、いや、ティロンっていい名前だなーって思って』
『!……………ありがとう』
『どういたしまして!あ、これ見て?』
そう言って彼女が指差す物を見ると白く小さな花だった。庭師によって剪定されるわけでもなさそうな、たまたま種が零れ落ちて生えたであろう見たことない草花。でもそれが輝いて見えた。
『この花はね?カスミソウって言うの。花言葉は幸福、感謝、清らかな心、無邪気、親切らしいよ。君みたいだね!』
そこからは、あまり良く覚えていない。覚えているのは、幸福感で満たされる感覚だけだった。
***
リディアが王城に来る3ヶ月程前のこと、突然、リュフトの双子が現れた。でもその1日後...彼女らは王城を半壊させてドサクサに紛れ、逃げた。
父上は、使えるものは何でも使う主義。リュフトは王城で保護して外に出したくなかったようだ。
『ティロン。ルナとソルを捕まえて連れ戻してこい。』
『...はい』
正直言って面倒臭い。でも、父上には逆らわないことを誓っている。
双子の目撃情報が出た街に行き、教会に人がいるのなら双子の事を聞いてみようと思ったときだった。
ドアを開けて入ってみる。誰もいない捨てられた教会など珍しくない。
でもそこにいたのは、9年前と同じ、何故か顔を青ざめさせたリディアだった。
【五感共有】を使い、リディア視点で見てみると、【千里眼】で探していた双子を見て、【念話】で俺がきたことを伝えていた。
9年ぶりの友達との再会に嬉しく思いながらも、一つだけ残った【天使】という可能性に驚きを必死で隠す。
わざとカマをかけて見ればあっさりと崩すことができた。
王城に着き、剣による手合わせをすると、リディアは俺に勝ってしまった。近衛騎士団長から直々に指導を受けている俺を負かしてしまったリディアに、もっとたくさんの興味を持ってしまう。
その後倒れてびっくりしたけど。
意識が戻った後、話を聞いてみればまさかの初めてで剣を、あの光で作ったらしい。
リディアには何回驚かされたのだろう?もっと驚かせてほしい。
俺に人間性というものを与えてくれたのもリディアだった。ずっと、一緒にいていたいとも思う。
さあ、次はどうやって驚かせてくれるんだろうか。楽しみだ。




