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落ちこぼれの建国計画  作者: 花倉もも
二章:帝国
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36話  謁見

敬語がおかしくなっているかもしれませんが、許してください。

「面をあげよ」

「初めまして、クラファ王国サンジェリル公爵家が娘、リディア・サンジェリルと申します。平民落ちしているのにも関わらず、帝国の英雄と呼ばれるとお方にお会いでき、光栄に存じます。」

現タリカ帝国皇帝、ニコラス・オデス・タリカ、たった1代で弱小国を帝国と呼ばれるまでに国を育て上げた英雄(私からしたら化け物)だ。その手腕は見事で誰も逆らえないほど冷徹、との噂がある。

「別にそうかしこまらんでも良い。こっちにおいで、お菓子をあげる。」

冷徹?どこが?めちゃくちゃ優しい甘々なおじいちゃんじゃん!

…いや、違う。この目は私を見極めようとしている。本当に公爵家出身なのか、本当に【天使】を持っているのかを。一応公爵令嬢だったから、腹のさぐりあいには慣れてる。

【鑑定】!

差し出してくれたクッキーを鑑定という才能で確認する。

うん。やっぱり、自白剤入りだ。ちょっと怖い。冷徹という噂は事実のようだ。

「お気遣い痛み入ります。ですが、ご遠慮させていただきます。」

「ほう...」

どうなんだろう、これは合ってるのかな?

「そう言わずにこちらのクッキーでもいいぞ?」

【鑑定】!

今度は麻酔入りだ。どんだけ薬使ってるのよ...

「はっはっはっ面白い!王城で暮らすと良い。わしのことは気軽に、ニコラスとでも読んでくれ。」

やべっ顔に出てた?

「恐れ多いです。あとできれば王城から出していただきたいのですが...」

「だめじゃ」

「そこをなんとか」

「だめじゃ」

ちっだめか。なら王城を半壊させて逃げ出すか。

「部屋に通してやれ。ああ、久しいのう。ルナもソルも」

「「ちっバレたか」」

「バシルにあってやってくれないか?あいつがちと壊れてしもうて」

「「ご遠慮させていただきます。」」

「言っておくが、拒否権はなしじゃ」

めっちゃ悪魔皇太子とそっくりなことをいっている。やっぱ遺伝なんだな〜

「じゃあ連れて行け。」

「やだ~」

「助けて...リディア...」

あ、引きずられて行っちゃった。

「ふう。さて」

背後から殺気!?

慌てて左に体をひねる。第一皇子が剣をこっちに突き刺していた。しかも毒塗りだ。致死量もある、恐ろしい毒。こんな物を使うなんて何を考えているんだ?【気配探知】の才能をずっと使ってて助かった…

「君が本当に【天使】か確かめさせてもらう。すまんのう。ちょっと息子に付き合ってくれ」

「何言って...うわ!?」

あのバカ王太子が剣を抜いて私に向かって振り下ろしてきた。でも、私だってただただボーっとして旅してるだけじゃなかったもん!

【身体強化】とクロエにもらった加護を応用して、光の剣を作る。初めてだけど上出来!【聖武】(せいぶ)とでも呼ぼう。武術の基本は、ガイアに教えてもらった。女の子一人旅だからって言ってたけど、まさかここで役に立つなんて。

「面白い。」

あの、悪魔フェイスをなんとかしてほしい。せっかくの皇太子という身分が台無しだ。

「ふっ!」

皇太子が剣を振り下ろしてきた。早っ!

「フッ。まだまだぁ!」

ガギン!ガギン!と剣の応酬が続く。予想はしてたけどいちいち攻撃が重たいなあ!もう!

相手はまだ余裕そうなのに、こっちは腕がきつい。女子に向かってなんてことしてるんだ、こいつは!

「あっ!危なっ!うわあ!?」

「遅い!」

ちょっ!剣のスピード、まだまだ速くなるんだけど!?ふざけんな!一撃も重くなってきてるのに...

「はあっ......ふざけんな…」

「なんだ?もう終わりか」

煽られてる!すごい腹立つ。せめて一撃入れたい。

『リディアは体が柔らかいからそれを利用できればいいんだけど...』

ガイアの言葉を思い出す。柔らかさ。柔軟。剣。そうだ!なら...

わざと隙を見せる...振りをする。

「フッ」

やっぱり乗っかってきた!ここで!

3...2...1...!


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