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落ちこぼれの建国計画  作者: 花倉もも
二章:帝国
35/39

35話  馬車の中で

「はあ...」

第一皇子がため息をついているが、ため息を付きたいのはこっちだっつの!何疲れたみたいな顔してんだ!疲れてるのはこっちだよ!

「ため息を付きたいのはこっちだよ...」

陽翔に関してはもうすでに本音が出てしまっている。

「それで?なぜお前たちは王城を抜け出した?こっちは王城半壊されたんだため息ぐらいつかせろ」

「「うっ...」」

ああーそりゃ指名手配されるわ。王城半壊は流石にやばい。

「王城半壊させたんなら...」

「喜ばしいことに、もうすでに修復作業は終わっている。抜け出せるとでも」

「そんな...」

「ちぇっ」

「もう直ったなら今度は半壊じゃなくて全壊させても良かったのかな?今回実際にやってみよっかな〜」

二人共恐ろしすぎることを呟いている。おかしいな、前世はもっと純粋でピュアで可愛かったんだけどなぁ

時間って怖いなあ

「ああ、前回あんな事があったにも関わらず私達が対策を考えていないとでも?」

「思いません」

「リディアはまだ物わかりがいいほうだったか...」

「名前で呼ぶのやめてください」

「私も〜」

「右に同じ」

「はぁそんなことはなかったか。そんなことより、なぜ今は平民落ちしている?リディア。答えろ」

名前!!無視するな!

「あれ?もしかしてこれ拒否権は...」

「言っておくがないぞ」

「そうですか(ブチギレ)」

「で?どうなんだ?」

「答えてほしかったらまず自分のことを話したらどうですか。なぜあなたは私が【天使】を持ってることが分かったんですか!」

「私の名前はあなたではないちゃんと名前で呼べ」

「第一皇子様」

「また電撃を喰らいたいのか?」

「…」

「おーい。こいつに…」

「ああもうわかったよ!ティロン・デオ・タリカ様」

「呼び捨てでいい」

こいつ…ちゃんと考えてる?それとも頭のネジどこかにおいてきちゃった?

帝国からしたら簡単に潰せるであろう国の公爵令嬢だよ?確かに公爵家という地位は高い。

でも!でも!自分の国より強い国の第一皇子を、皇太子を呼び捨てにすることなんてできるかあぁ!

「はあ。私が許可する。ちゃんと呼べ」

「…ティロン・デオ・タリカ」

「ティロンだ」

ボソ「めんどくさ」

「リディア、お疲れ」

「お疲れ様」

「呼べ、これは命令だ」

命令…従うしかないじゃん

「何故そこまで名前を呼ばせたいんですか?」

「リディアが王城で暮らすから。それに堅苦しいのは嫌いだ」

「「「はあああぁ!!!!?????」」」

「うるさい驚かすな」

「驚かすなはこっちのセリフよ!!!何で私が王城で暮らさなきゃいけないの!?」

もう敬語もクソもない。まあ仕方ないだろう

「歴代の【天使】はその国の王城で暮らし、保護されるが慣わしだと知らないのか?」

「知らない」

「あとリディアに興味がある」

「…こいつぶん殴って王城半壊させよっかな」

「皇妃サマが私達にもそんな恐ろしいことを言ってたから王城半壊して逃げた」

「うんうん」

「やり過ぎだと思ってたけど全然そんなことなかった。むしろもっとやって良かったんじゃない?」

「でしょ?」

「じゃあ僕たちと一緒に」

「もちろん!全壊させよっ♡」

「それをさせないって言ってたのが聞こえてなかったのか」

「才能を封じ込める術?」

「その通りだ」

まあ頑張れば大丈夫、かな?

「はあ。まあいい。私の噂は知っているか?」

「えーっと確か実はマザコンだって噂?」

「違う」

「じゃあ実はブラコンだって噂?」

「違う!!!というかなんだその噂は!」

「えっ違ったの?」

「違う」

「新しい才能を持って生まれてきたって噂?」

「そうだ。私の才能は【五感共有】。その名の通り人の五感を共有したり見たりする才能だ」

「なるほど。ならバレても仕方ないや。」

「それで?お前はどうなんだ?」

「やっぱ言わなきゃだめ?」

「私は言ったぞ。」

「うっ」

「言え」

「はい...私は、7歳の頃に才能は現れなかった。でも半年くらい前に伝染病にかかってその時に【天使】という才能が現れたの。そこから私は才能なしでも才能持ちでも仲良くしていけるような新しい国を作りたいと思ったの。」

「...そうか」

数分後...

「着いたぞ」

「「えっ?」」

「王城だ」

「お城、でかっ」

本当にでかい。クラファ王国の城の5倍くらい?てか馬車の中で3回もため息つかれた。めっちゃ失礼じゃない?

「まず父上と母上に挨拶してもらう。3人ともだ。そこからルナとソルはバシル…弟に会ってもらう。」

「私は?」

「リディアはおそらく母上とお茶会だろう。ずっと女子会?がしたいと言っていたからな。」

「げっ嫌な予感しかしない。」

「まあ会えばわかる」

そして帝国で皇帝と皇妃の謁見が始まったのであった。

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