33話 変装
「で、問題は、僕達が帝国から追われてるってこと。多分もうすぐ指名手配?されると思う。」
「何やらかしたら指名手配されるのよ...」
「別に何もしてないよ?ただただふつーに城から脱走したら、指名手配された。それだけよ?」
「じゃあ変装するしかないね。」
「「変装...!スパイ?みたい!!」」
「よくスパイなんて言葉知ってるわね。まあそれは置いといて、その髪色は目立つ!」
「確かに」
「目の色も」
だから、バレないように変装するわけだけど、どうすればいいんだろう。
「ねえねえリディア〜」
「どうしたの?エフ?それとリディアじゃなくて花澄って呼んで」
「おっけーかすみー」
「私もですね。花澄…なかなか聞かない名前ですね」
「あははははは…」
まあ私達が転生者ってことは死ぬまで秘密にしとこう。バレたら色々と説明がめんどくさい。
「まずは髪の毛を染めて色を変えよう。」
染めるなんて高等テクやったことないが、まあ才能でなんとかしよう。月華は月からの使者を連想されるような黄色がかった白色の髪に、透き通るような冬の空のような色。
逆に陽翔はとても明るい太陽をイメージさせるような赤っぽいようなオレンジっぽいような髪色をしている。陽翔の目は、燃えさかるような炎の赤。
この世界ではまあ日本とはかけ離れた髪色をしている人は結構いるが、元の顔の良さもプラスすると本当に目立ちそうだ。ほとんどの人が金髪碧眼なのもあるんだろうけど。それで言えば私もイレギュラーの中に入るだろう。
ベージュの髪色に黄色い目、年齢の割には小柄で多分前世でいう小学6年生?ぐらいだろう。もう15歳なのに。満足に食べさせなかったあの家のせいだな。うん。アイツらが悪い。決して私がもともとチビってことはありえない。
「どうする?設定は、この3人は兄妹で、みんなで見聞を広めるために旅をしている。ってことにする?」
「「それが一番手っ取り早そうだね」」
「じゃあ色、変えてくよ。」
「「はーい!!」」
まずは陽翔、きれいな髪色を変えるのはちょっと申し訳ない。本人は喜んでるけど。
新しい才能を作ってみた。人の髪色と目の色を変える専用の才能。正確には、幻術で別の色に見せるんだけど絶対に日常生活では使わないやつ!まだ作りたてだから効果時間は短いけどまあ練習したらそこうち慣れるでしょ。
そうだね...みんなで前世風に茶髪で焦げ茶の瞳にしよう!ここにいる3人全員の色を変えた頃には結構時間が経ってしまい、もう日が暮れ始めていた。
「どうする?この街はちょっと危なそうだけど。移動するか、明日の早朝に急いで別の街に移動するか。」
「今日は色々あって疲れたから。もう休みたい。」
「月華に同意」
「そうだね、教会にはベッドとかがあるし。」
「「「おやすみ〜」」」
今回は3人全員ではもってしまった。明日、早起きできるかな?
この3人で決めた選択を後悔したのは、明日の早朝だった。




