31話 双子
「もしかして陽翔!?月華!?」
「「やっと気づいてくれた!もうどれだけ時間かかるの〜」」
あはははは。全くおんなじ反応...前世のときと変わってないな〜ふたりとも、前世と同じ年頃かな?でもふたりともなんで教会なんかに?
「花澄お姉ちゃん!?怪我しちゃってるじゃない!なんてひどい怪我...すぐに治そう!」
月華が無理やり私の腕を引っ張って中に連れて行く。月華...なんで私が怪我してる方の腕を引っ張るの?めっちゃ痛いんだけど...陽翔も苦笑しながらついてきてくれている。苦笑してついてくる前に月華を止めてほしい。
「到着。相変わらずひどい怪我ね、腕も足も...満身創痍じゃん」
「ルナ、結構強めの回復しよ!!!」
「そうだねソル、薬用意しといて」
あ...誰もいない。言われる前にもう行動していた。さすが双子、考えることは同じだ...それにしても
「月華、回復の才能使えるの?」
「うん。私達はリュフトだから」
「すごい!」
リュフトとは、複数の才能を持って生まれた人のことを指す。何万分の一ぐらいの確率でしか生まれないのに、それが2人も!?
「でも、2人は保護されないの?」
「その事隠してるから秘密でね」
「おっけー」
リュフトはその貴重さから、王国(帝国)から保護される。
「ところでどんな才能持ってるの?」
「私はね、えーっとねえーまず、【回復】の才能に、【念話】と【読心】の才能かな?あと【呪い】だね。」
リュフトは2個才能を持っていたらもうやばいのに才能が4個も...?それより呪いって…実際にあるのは知ってたけど初めてそれを持ってる人にあったわ。
「ソルは私と同じで【回復】の才能に、【念話】と【読心】あと、【創薬】の才能だね」
陽翔もすごかった...ていうか
「ソルって陽翔のこと?」
「うん。今世では、私がルナ、陽翔がソルって名前なの。そういえば花澄お姉ちゃんは?」
「私はリディアだよ。これからも花澄お姉ちゃんか人前ではリディアって読んで!一応家出して逃げてきた形なので…」
「オッケー。私達のことも、一応陽翔と月華のままで...」
「ん?なんで?」
「あー...実は、一回リュフトは貴重って知らなくて国に保護されたんだけど...」
「抜け出したのね...」
きっと2人は、前世の影響から、行動を制限されることが大嫌いだろう。抜け出して、教会に隠れているってとこかな?
「そうなの!だからバレたくなくて…」
「分かった」
「ありがとう。花澄お姉ちゃん」
「あー!ちょっとちょっと!何勝手に2人で話進めてるのー!」
話に夢中になっていると陽翔が帰ってきた。「ソル、じゃなかった。陽翔、私達の事情とかは話しといた!あと私達がリュフトって事がバレないように私のことは月華って呼んで!」
「えー。もう全部話しちゃったの?僕だって花澄お姉ちゃんとお喋りしたかったのにー」
「安心して!今から花澄お姉ちゃんに話を聞くから。」
「あ。そうなの?よかったー」
「ということで、色々と教えて!」
こくり、と私は縦に頷く。
「えーっとまず、この世界では私の名前はリディア・サンジェリル。名前からわかると思うけど、クラファ王国の公爵家出身なんだけど、お父様とお兄様にいじめられるから家出してきた。」
「「ああ?」」
ビクっ
いきなりドスの聞いた声で返事をする2人にびっくりしてしまった。
「何なの、そいつら。ふざけんな?ちょっとそいつらを呪ってやりたいんだけど!?」
「いいね!それ!!!レッツ呪おう!!!!」
「ちょっと?ストップストップ!?駄目だよ人を呪ったら!」
呪いを持っている月華が言ったらシャレにならない!!
「えー何でさー?リディアも呪って欲しいとは思わないの?」
「おーすごい!この子達とは気が合いそう!」
エフがいきなり登場してきた。クロエも何も言ってないけど頷いている。
「「わっ」」
「こんにちは!僕はエフ!聖獣で好きなものは食べ物に、虫に、えーっと...」
「自己紹介は必要ないんじゃないですか?すみません、私はクロエです。私も聖獣なのでよろしくお願いします」
「「聖獣ってことは...」」
また声がハモってる。
「「リディアの才能は【天使】ってこと!!!???」」
「あたりです...」
バレた。普通に。エフ達のせいで。
まあいいや!こうなったら全部話しちゃえ!!ということで私のプランを話すこと数十分...
「へー!すごい考えだね!!」
「...」
どうしたんだろう急にソルが黙っちゃったけど...
「リディア!僕達のことも一緒に連れてって!!!」
「えっ!!」
「イイねそれ!私も陽翔に賛成〜!」
「おっけいいよ!」
私の意見は?なんでかってにエフが答えてるの?
まあ私も賛成だったしいいや。気にしない。平常心。
「けどここにいなくても大丈夫?」
「「普通に逃げ回ってるから一箇所にとどまらないほうがいいから!新しい国に教会作ってそこでお仕事してみたい!!」」
「うんそうだね!じゃあ一緒に旅しますか!」
「「イェーイ!」」
ここから私達5人(?)の冒険が改めて始まったのであった。




