28話 プレゼント
「「ふあ~おはよ~」」
30分ほどしてからエフとミトが起きてきた。
「うん。おはよ」
「全くふたりとも!いつもお酒はダメ!って言ってるでしょう」
「うんうん」
「えーせっかくだしー」
「そーだそーだー」
「だからといって〜おかげでこっちは30分も待ったんだから!」
「えっ嘘」
「嘘じゃないよ...」
「まあいっか。じゃあ次はお待ちかねのプレゼントターイム」
「「「イェーイ」」」
「そんな!恐れ多いよ!誕生日パーティーまで開いてもらったのに...」
「「「あま~い」」」
「「びくっ」」
突然の大声に私とガイアはびっくりしてしまう
「これまで誕生日パーティーを開いてもらえなかったんでしょ?ならこれまでの分も楽しまなきゃ!」
「い...いやあ8歳まではお母さんに開いてもらったから...」
「もう!細かいことはいいの!」
「わ...分かった」
「分かればいいの!」
ミトの圧に押された...
「じゃあまずは僕から!」
エフの誕生日プレゼントってなんだろう?お菓子とかかな?
「僕の誕生日プレゼントはこれ!水の精霊と加護!」
「水の...精霊?加護...?」
「うん!まず加護はねえ僕みたいに天候が操れるようになるよ!あと精霊さんたちはね!リディアを守ってくれるよ!」
「てっきりお菓子とかだと思ってた」
「ガビーン」
「まあ仕方ないんじゃないですか?エフはいつも大食いですから」
「ひ...ひどい」
「日頃の自分を恨んでください(にっこり)」
「はーい」
あ~せっかくの楽しい雰囲気がエフのせいで台無しだ〜
「では次は私です。」
クロエのイメージがつかみにくいから何かわからないや
「私の誕生日プレゼントは、この可愛いお洋服たちと加護でーす。ついでにいつものお礼に炎の精霊もプレゼントしちゃいまーす。」
やっぱりクロエはかわいいお洋服とかが好きみたいだ。というかいつものお礼が精霊たちとは...私なんかのために精霊はいるのかな?
「可愛くてきれい...」
「あ...今からこの服に着替えてくださいね?」
「え...いや今?」
「はい精霊さんたち!かかれ〜」
「えっちょちょいまち!」
「待たない!かかれー」
「いや!エフとガイアがいるから〜」
聖獣には実際に性別はないのだろうが、男性の姿をしているので結構恥ずかしい。
「じゃあ隠してあげるね!」
クロエが有言実行して光のカーテンで私を隠す。
「ほいじゃあ問題がなくなったので遠慮なく。いいですよね?」
「もう好きにして...」
諦めの境地にたった私はもう思考放棄した。
その後私はまた服を脱がされ、新しい服を着た。服に似合うアクセサリーをつけさせられた。前にもシュリにこんな感じのことをされた気がした。デジャヴだ...
「ど...どうかな?」
「すごいきれい!やっぱリディアは何を着ても似合うね〜」
「う...うん僕もきれいだと思う...」
ガイア...照れて言うのかわいいし嬉しい!
フリフリがついててお嬢様らしさ全開の服だけど...白色だから、上品さも持ち合わせている。肩までの髪はおろして、私の目の色の落ち着いた黄色のリボンで止めている。さすが女子力の高いクロエだと改めて認識させられる。
「3番目あたし!あたしはね、加護と、お菓子と、精霊さん!」
「わあありがとう」
お菓子は私の好きなブランドのクッキーだ。どこでそんなことを知ったのか...
「これで私とリディアとミトでお茶会をしませんか?」
「イイねそれ!!」
「私も賛成!」
「あの...盛り上がってるとこ悪いんだけど...僕のプレゼント...」
「あっごめん」
話が盛り上がってしまった。今度からは気をつけよう
「僕のプレゼントはこれ...よかったら受け取って...?」
ガイアからのプレゼントだけはきれいに箱の中に入っている。紐を頑張って開けると
中にはペンダントが入っていた。
「あとついでにこれも...」
といって人差し指で私のおでこを押す。
「これで加護できたから...」
「ありがとう!」
「後で精霊も送っとくね...」
「僕も!」
「私も後で送っておきますね」
「あたしもそうする!」
ペンダントは雫型の宝石に銀色に光るチェーンがついている。宝石は、角度によって色の変わる不思議な宝石だった。
「わあ!すごい!そういえばこれなんて言う宝石なの?見たことないけど...」
「ええと...わかんないや。これ僕が作ったから...」
「え?」
「僕は大地を操る聖獣だから宝石も作れるよ」
ガイアもすごい能力持ってるんだな〜。かっこいい!
なにか問題があってお金がなくなったときにはこの宝石を売って路銀を稼ぐしかないな。
「はあ...はあ...」
気がつけば、ミトがつらそうにしている
「ミト?大丈夫?」
「大丈夫だよ...た..ぶん。ただこれ以上は時間止めらんないかも...」
「ああ〜もしかしてミト力使いすぎちゃって疲れちゃったの〜?ミトは弱いな〜」
「ならエフが代わりにやってよ...結構疲れるんだよお」
時間を止めるのが無理?じゃあ
「ごめんね。私はもう戻るね。そうしたら力使わなくて済むでしょう?」
「うん。せっかくなのに...ごめん」
「ううん。大丈夫だよ!じゃあお大事に。ガイアも元気でね!」
「じゃあね!」
聖界に来たときのように、あたりが白く光る。眩しくて目を閉じてしまう。
光が収まってきて、私は目を開ける。そこはやっぱり宿だった。
「本当に時間変わってない...」
気がついたら、クロエに(無理やり)着させられた服ももとに戻っている。夢だったんじゃ...と思うもペンダントはちゃんと首にかかっている。
まだ起きるには早い時間だけど、私の目ははっきりと覚めてしまった。
「眠たくないけどもう二度寝しよっ」
クロエもエフも寝ている。寝てこんな考えを吹き飛ばしてしまおう!寝る直前、思い浮かんだのは前世で一緒だった双子の顔。
「どうかまた前世の双子たちに会えますように...」
そこで私は寝てしまった。この願いがすぐに叶うことを私はまだ知らなかった。




