27話 変身II
「えーーーーーーっ」
目を開けたらそこには予想外の光景が待ち受けていた。全員が人間の姿になってる!ていうかみんな顔面偏差値高すぎじゃない⁉︎
みんなにはちょっと私の横に立たないでほしい。
街中を歩いたらきっと男女問わず集まってくるに違いない。
容姿はエフはやんちゃな少年って感じがする。夏休みとかにこん虫採集とかしてそうだ。八重歯もあるし…普通と違うのは袴を着てるとこぐらい。青い髪に水色の綺麗な目を持っている
クロエは大人の女性だった。大きくてクリクリした目、ツンと尖った鼻、少しウェービーな真紅の髪の毛は綺麗な濃い赤のカチューシャで留めてある。巫女服だから舞を踊ったら一瞬で世界中の男性が恋に落ちるだろう。
ミトは…予想通り可愛い少女だった。ミントグリーンの髪に白に限りなく近い黄緑の目。ミトも巫女服を着ているが、可愛い刺繍がされていて、アレンジされている。
トリ、ガイア。ガイアは大人の男性で肩につくほどの長さの銀色の髪に銀色の目、神社の神巫?の服装だ。普通にアイドルになったらファンがやばいことになりそうだ。人見知りなんて玉にキズな気がする…
みんなの容姿やばすぎる中、1人顔面偏差値が低い私…ものすごく居心地が悪いんだけど…
それよりも私は今日何回驚いて叫んだ?喉がちょっと痛いけどまあ大丈夫だよね!?
「やっぱこの服可愛くなーい。刺繍しても全然ダサいし!」
クロエよりもミトの方がオシャレに気を使うみたい。
「じゃあパーティを始めましょ〜」
「ってかエフ?何する予定なの?」
「えーっとまずはやっぱりケーキでしょ!」
「みんなケーキなんて作れるの?」
「ふっふっふ材料さえあればケーキを作るなんて簡単なことさ!」
「とか言いながら結局作ったのクロエとミトじゃないの?」
「ぎくっ」
「そう言えばそうね!エフは役に立ってなかったじゃない」
ミトの言葉にミトが反応する。
「ぼっ僕材料持ってきたじゃん!」
「いや…私が持ってきましたよ?エフはただリディアからもらったお小遣いを自分のためのお菓子に注ぎ込んでたじゃないですか」
「うう〜ってかガイアもじゃん!何もやってないじゃーん」
「いえ、ガイアはかまどを作ってくれましたよ?」
「うぐっ」
「エフ戦闘不能、勝者私、クロエ、ガイア〜」
「「イェーイ勝ったー」」
「やった…?」
「くっそ〜」
謎の勝負に勝って素直に勝利を喜ぶミトとクロエ、素直に喜んで良いのか迷うガイア、ただただ敗北が悔しいエフ、それぞれになんて声をかければ良いのかわかんない私…
とにかく私が言えることは…
「みんなケーキありがとうね、エフも気持ちを込めてくれたんだね。ありがとう!」
「やっぱりリディアはいいこと言う〜どこかの誰かさんとは違うなー」
「「何ですってー?」」
「まあ確かにリディアは正しい」
あれ?もしかして私、また喧嘩(戦争)を起こすようなこと言っちゃった?やばいかもしれない。
「ねえねえみんな...戦争はいつでも出来るんだし、今からケーキを食べて楽しもう?」
ありがとう!ガイア!戦争はいつでも出来るんだしってのはちょっと怖いけど、空気を変えてくれた。後でなにか感謝の品をガイアにあげとこう。
「ジャジャーン!お待ちかねのケーキでーす!」
「ワーオ」
思わず変な声が出てしまった。
まあそれほどすごいケーキだったとは言えるけど。
きれいに積み重なっている三段ケーキに、散りばめられた宝石のようなフルーツの数々。きれいに生クリームが塗られ、てっぺんには15本のロウソクとチョコプレートに書かれた “happy birthday” の文字
「すごいすごい!みんなありがとう!!!ただ...こんなに多くは食べられないよ〜」
「多分だけど...ダイジョブだと思う。きっとエフが2段ぐらい食べるから...」
「なるほどだけど...それだけで納得しちゃうのはなぜかしら?」
「まあエフは大食いですからね〜」
「うんうん」
ミトがクロエに同感してる。まあ私も同感だけど
「「「「じゃあいただきまーす!」」」」
みんなでケーキを切り分けて食べていく。エフは上に乗っかっているケーキを2段食べている。残った一番下のケーキをみんなで切り分けて食べる。主役の私よりも食べているエフをみんながシラけた目で見る。私は少食なので(一週間に一個のパンで凌ぐということをやっていたら嫌でも少食になった。)一番食べている量が少ない。
「ねえねえリディア〜主役が一番食べなくてどうするの〜」
ミトが痛いところをついてくる。
っていうか息がお酒臭い
「それはごもっともだけど...ミト、お酒のんだ?」
「飲んでらいよ〜」
「絶対飲んで酔ってるじゃん」
「お酒ってどれのこと?」
ガイアが聞いてくる。
「えーっとこの世界ではお酒は15歳になってからしかだめなんだっけ...ってうわ!ここにある飲み物全部アルコール10%以上じゃない!」
「あるこーる?」
「ほら~りでぃぁも飲め〜」
「アルコールに酔いたくないからやだ!」
「わがまま言うな〜」
「あらあらもう酔っちゃったの?エフも飲んじゃだめだからね?」
「えへへ~もう飲んれるよ〜」
クロエもガイアも飲んでいるのに酔った様子はない。きっとこの2人はお酒に強いんだろうな〜
前世では病院でベッドの上からしか外の景色を見たことはなかったからなあ。お酒も当然病院食には出されないし。
少しどんな味かは気になるけどパーティの主役が酔ってしまうなんて無理だ。
今度飲むときはめっちゃくちゃ弱いアルコールから始めなきゃだし、建国する予定なのにお酒飲んで酔っている暇なんかない!飲むのは無事に建国できてそのパーティをするときぐらいかな?
子供の姿をしたエフとミトが眠っちゃってる。やっぱり子供の寝顔ってかわいい!
そういえば懐かしいな...同じ病室だったけど私より5歳くらい幼かったのに逝っちゃった双子たち。その子たちの寝顔も可愛くて、おしゃべりしているときが私の19年の人生で1番楽しくて幸せな時期だった。あの子達は同時に生まれて同時に死んでしまった。その子の名前はたしか...
「リディア?どうかした?」
急にガイアから声をかけられる。びっくりしたー
「ううん大丈夫だよ。ただエフとミトの寝顔が可愛かっただけ」
「まあたしかにかわいいよねーいつも生意気だけど」
生意気かな?クロエにとってはそう感じるだけなのかも
「じゃあ2人が起きるまで好きにしてて。どっちにせよ続行不可能だから。」




