22話 節約
朝起きるといつも逆に起こしてくるクロエがまだ寝てた。
「おかしいな?夜更かしでもしてたのかな?まあいいや。エフー、クロエー、起きろー」
「むにゃむにゃ…あと5分…」
「はっいつの間に寝てしまったのでしょうか?」
「クロエ?珍しいね寝坊なんて。夜更かしでもしてたの?」
「ううん。ナンデモナイヨ」
「そう?なら良いけど」
「ってかエフー起きてください」
「もぉもうちょっと寝たかったのに」
「はいさっさと支度しちゃって」
「「はーい」」
やっぱりクロエとエフは息ぴったりだなー
支度を終えて朝ごはんを食べてからまた出発する
「もう冬だねーすごい寒いや...あっ雪が降ってきた。今年初雪じゃん」
「そうですね。でもエフはきっと花より団子体質なのでイーカラ侯爵領のお菓子でも考えてるんじゃないですか?」
「あったりークロエ正解!リディア、イーカラ侯爵領に着いたらたくさんお菓子買ってね!」
「さあ?どうだろねー」
「そんなー」
「あはははは」
「って言うか僕に乗って空を飛んで行かなくて良いの?」
「うん。タリカ帝国はクラファ王国にない才能がたっくさんあるからねー」
「なるほど」
才能のこともあるけど本音を言うとタリカ帝国にない美味しいお菓子とかもたっくさんあるからそれを見てみたいということだ。エフは食い意地がはっている子だからもしこの事を言ったら絶対に目的地のことを忘れてこの辺にとどまり続けそうだ。だから言えないなーと考えてたらもう街の堺まで来ていた。
私はザ・旅人といったような服装をしている。それに追加で平民がよく扱う4魔法。ここまでは全く不自然じゃない。だが...
「あの?どちらの出身ですか?あなたの髪色はクラファ王国の王家の髪色に見えますが?」
やっぱり引っかかった。私のベージュ色の髪は衛兵の言う通りクラファ王国の髪色だ。残念なことに私は公爵家出身。私のひいひいひいひいお祖父様が王弟だったとかなんとか...そのせいで私も少しだけ王家の血を引いている。
王位継承権は才能なしだから持っていない。
私は逆に嬉しいけどね?前世で読んだ本で王位継承権を巡って戦争したとか人が死んだとか殺し合ったとかヤバそうなことを書いてたからねー。
さてどうやって切り抜けようかな?名前を言うわけにも行かないし…あっそうだ!
「よく言われます。たしかに私はサンジェリル公爵領出身ですが、公爵家ではありません。たしか私の曽祖父がサンジェリル公爵家出身でしたが曽祖父の兄が公爵家を継いだようで。それからはずっと平民だったそうです。」
「なるほど。そうでしたか。疑ってすみませんでした。どうぞお通りください。」
「ありがとうございます」
ふう。第一関門(?)突破!よくやった!私!7歳の頃から完全に家に引きこもってたから完璧な社交ベタな私がここまで人と喋れたなー
「エフ、クロエ、私もう疲れた」
「えっもうですか?」
「リディア、流石にそれは早すぎるよ」
「そうだよね国を作るにはもっと多くの人と話していかなきゃいけないのに...」
もういいや
今はこれぐらいで十分でしょう?もう思考放棄させてくれよ〜
「まだお昼ですね。レストランにも入りますか?」
「いいねそれ!どのレストランにしようかな〜」
「楽しそうなところ悪いけどレストランにははいらないよ?」
「エッ」
「そんな〜なんでよ〜」
「節約節約」
「え〜でも~」
「ならエフはイーカラ侯爵領でおいしいお菓子食べたくないのね?べつにいいよ2人分買ってくるから私はお菓子食べれるね。服とか買うのも難しくなりそうだな〜」
棒読みだけど2人は衝撃を受けている。雷でも落ちたかのように静かに固まっている。フリーズした?
「「それはだめだよ!」」
「なら節約しないとね〜」
「します!しますから!」
「お願い〜お菓子〜」
「じゃあさっさとご飯たべますか」
2人(やっぱり2匹かな?)は首がちぎれるんじゃないかって心配になるぐらい首を縦に振ってる。
これはわたしが2人の扱い方をマスターした瞬間なのであった。




