19話 妹(ウィリアム視点)
千里眼の能力を使ってようやく見つけ出したのにまた逃げられた…もどかしい。
だがここは街中だ。舌打ちなんかしたらやばい。記者まで付いてきやがった。千里眼の能力は集中しないとダメなのに周りのゴミがうるさいな…。いけないけない。優等生を演じなければ…まあいい。あとは千里眼で見ればいいし速く父上にこの事を報告しなければ。
「すみません、今日はもう行かなければ」
「「えー」」
「「そんな〜」」
周りについてくる女はいつも地位または金目当てだ。公爵家という地位に千里眼などを持っている俺をゲットしたらそりゃあでかい顔ができるだろうな。俺はおそらく政治家になるだろう。宰相になる可能性が現時点で一番ある。そりゃゲットしたいだろうな…
いや今はあの妹を探さなければ。俺をこんな面倒な事に巻き込みやがって、あの妹…次会ったら気を失う程度じゃ済ませねえ
その頃リディアは兄の思いなど知らずキャンプファイヤーの暖かさでぐっすり眠っていたのであった
深夜サンジェリル公爵邸にて…
「只今戻りました父上」
家に帰ってアイツのことを報告せねば
「あぁウィリアムか?何か情報は入ってきたか?」
「ええ父上偶然にもコーペルト伯爵領で会いましたよ。記者や女性が集まって話しかけられませんでした。その間に見失ってしまって…申し訳ありません」
「いやそれが分かっただけでもよかった。となると今いるのはこの辺りか?ウィリアム、確認できるか?」
…
「見えましたが…このあたりではなさそうですよ?」
「何故それが断言できる?」
「彼女は今林の中で寝ているようでした。この辺りは都会でそんな隠れることができる林など…あと何か龍と狐のような物がいる気がします。それは何なのかわかりません。」
「狐と龍?意味不明だな?もう一度確認できるか?」
「それが…急に見えなくなって…」
「才能の使いすぎか?まあいいどうせ時間はたっぷりある。今のうちに外の景色を目に焼き付けておけばいいさ。もしここに連れ戻したら2度と外の景色は見せないからな…クックック」
「ふふふふふそれもいいかもしれませんねふふふふふ」
「くくく」
「ふふふ」
二つの不気味な笑い声は闇夜に消えていったのであった




