11話 大切な人
小さい頃はみんな優しかった。
この世界では顔面偏差値は低い方だったけど(前世日本ではまあまあ高い方かな?)顔面偏差値なんか関係ないとばかりにめっちゃ甘やかしていた。
実はお兄様はシスコンで私のことをたくさん甘やかしてくれた。
まあサンジェリル公爵家の女の子でもあるからだろうけど。私も天才というほどではないが頭もいい方だったしね。
でも頭の良さなんか関係ない。この世界では才能が全てなのだ。
才能が現れるのは7歳の誕生日まで。それが過ぎたらもう才能は現れないとされている。7歳の誕生日、私に何か才能は現れなかった
『なんだあいつは結局無能だったのか。今までアイツに費やしたお金はどうする!』
『なんて事を言うの‼︎才能なしだから何?中途半端な優しさを与えるなんて最低よ!あなたは親失格だわ!!』
『しかしサンジェリル公爵家に無能はいらない。むしろいてはいけない!』
『なんでそんな事を言うの!リディアは私達の子でしょう?ならちゃんと責任を持ってあの子を育ててあげないといけないでしょう!』
『才能なしなんて公爵家にはいらない』
『はぁ。もういいわ。あなたには何も通じないってことがよく分かったわ』
翌日、みんなの視線は冷たくなっていた。お母様以外は…一度母にもう大丈夫だと伝えた。お母様の体調が悪くもうすぐ天に召されることがわかっていたから。少しでも安心して行けるように。意味はなかったけど。そして私が8歳の頃。お母様は天に召され、お母様のお葬式で私は泣いた。医者によると原因はストレスによる病気だったらしい。わたしは泣いていたのにお兄様とお父様は泣かなかった。それどころかお母様の遺体に向かって罵声を浴びせていた
『才能なしなんか庇うからこんな事になるんだ。仕方ない。きっとお前もリディアを庇った事を悔やんでいるだろう』
『我が母ながら愚かだな』
私は自分の目と耳を疑った。あれだけ優しかったお兄様とお父様はいなくなってしまったのかと。それから私の大好きだった家族の形はなくなっていた




