✒ 双子勇者 ~ 弟勇者と仲間に勇者パーティから追放された兄勇者は、リハビリを頑張る ~
キノコン
「 エカロトル──、御早うエリ。
身体の調子は、どうエリ? 」
エカロトル
「 キノコン様!
御早う御座います!
お蔭様で、すっかり良くなりました!
早く身体を動かしたいぐらいです 」
キノコン
「 それは好都合エリ 」
エカロトル
「 好都合…ですか? 」
キノコン
「 寝た切りで鈍った身体を解すエリ。
エカロトル──、コレを着るエリ 」
エカロトル
「 こっ…これは──!? 」
キノコン様がササッと取り出されたのは、体操服と短パンのセットだった。
………………一体何処から出したんだろう??
もしかして、某ネコ型ロボ◯トみたいに “ 四次元ポケ◯ト ” みないな便利道具でも持ってるのか??
キノコン
「 体操着に着替えたら表へ出て来るエリ 」
エカロトル
「 分かりました 」
寝間着を脱いで、キノコン様から受け取った体操服と短パンに着替える。
脱いだ寝間着を丁寧に畳んでから宿泊室を出る。
宿屋の外に出ると、親子連れや年寄りが集まっていた。
エカロトル
「 えぇ~~~~。
今から何が始まるんだろう?? 」
キノコン
「 エカロトル、来たエリね。
其処に並ぶエリ 」
エカロトル
「 は、はい! 」
集まっている人達も一定の間隔を保って並んでいる。
オレが並ぶとキノコン様は「 ラ◯オ体操の歌──エリ! 」と言い出した。
ラ◯オ体操の歌!?
何でキノコン様が、ラ◯オ体操の歌を知ってるんだ?!
──っていうか、この人達はラ◯オ体操を歌えるのか?
抑歌詞を知ってるのか??
一体何処からか出したのか──、キノコン様の分身体がオルガンの前に座っている。
オルガン、弾けるのか!?
キノコン様の分身体が器用にオルガンを弾き始める。
まごう事なくオレの知っているラ◯オ体操の曲だ。
「 新しい 」から始まる歌詞だ。
いや、何で知ってんの、マジで!!
何で完璧に歌えてるんだよ?!
此処、異世界だよな!?
オレの知ってる日本じゃないよな??
キノコン様の分身体が弾く曲に合わせて歌が終わる。
子供の頃に早起きさせられて、したくもないラ◯オ体操を強制的にさせられていた小学生時代でも、ラ◯オ体操の歌を歌った記憶はない。
ラ◯オから聴こえて来る歌を聞き流していたぐらいだ。
歌った事はないけど、ちゃんと歌えたんだから大したもんだと思う。
キノコン
「 ラ◯オ体操・第1を始めるエリ! 」
朝っぱらからラ◯オ体操の歌を熱唱する意味が有るのか分からないけど、歌が終わるとラ◯オ体操・第1だと!?
えっ──集まってる人達、ラ◯オ体操が出来るのか??
マジかよ……。
異世界の住人が、朝っぱらからラ◯オ体操・第1をかますだと?!
ファ……ファンタジィィィィィ~~~~!!!!
キノコン様の分身体がオルガンでラ◯オ体操・第1の曲を器用に弾き始めた。
何で当然の様に弾けるんだよ??
タンタカタカタカ♪ タンタカタカタカ♪ タカタカ♪ タカタカ♪ タカタカタン♪ タン──という馴染みの曲が始まる。
今はもう懐かしい曲に合わせて、集まっている人達が一斉にラ◯オ体操・第1をし始めた。
キノコン
「 次はラ◯オ体操・第2を始めるエリ! 」
ラ◯オ体操・第1が終わると続いてラ◯オ体操・第2が始まる。
キノコン様の分身体が器用にオルガンを弾き始めると、軽快なリズムの曲が流れる。
タンタカタン♪ タンタカタン♪ タカタカタンタカタン♪ タンタカタン♪ タンタカタン♪ タカタカタン♪ タン──という曲に合わせてラ◯オ体操・第2が始まった。
キノコン
「 今日のラ◯オ体操は終わりエリ。
順番に並んで判子を押してもらうエリ。
判子を貰った人はキノコンから参加賞を受け取るエリ 」
ラ◯オ体操に参加した人達は、懐かしい体操カードを持って2列に並んでいる。
キノコン様の分身体が左右に立っていて、体操カードに判子を押している。
キノコンの判子だ。
体操カードには【 からだ元気! イキイキ体操 】って書かれている。
体操カードに判子を押してもらった人は、別のキノコンから参加賞を受け取っている。
どうやら可愛いパンダさんクッキーが貰えるらしい。
何でパンダさんクッキーなんだろう?
其処はキノコンクッキーじゃないんですか??
キノコン
「 エカロトル、君の体操カードも用意したエリ。
今日の判子を押したエリ。
後で参加賞を渡すエリ 」
エカロトル
「 有り難う御座います……。
あの……何で朝からラ◯オ体操なんですか? 」
キノコン
「 運動を始める前に身体を解すのに、ラ◯オ体操は適してるエリ。
エカロトルが知っていて良かったエリ 」
エカロトル
「 異世界人がラ◯オ体操してる光景って、何だか異様ですね… 」
キノコン
「 その内、慣れるエリ。
今からエクササイズを始めるエリ!
今日はアウターマッスルを徹底的に鍛えるエクササイズをするエリ 」
エカロトル
「 アウターマッスル……ですか?
キツそうですね 」
キノコン
「 運動不足を解消するエリ 」
オレはキノコン様に見守られながら、分身体のキノコンからの指導でアウターマッスルを鍛えるエクササイズを始めた。
ぶっちゃけ、何をしたらアウターマッスルを鍛える事が出来るのか──、オレには知識が全くない。
前世はスポーツマンとは無縁な生活を送っていたからだ。
スポーツ大好きな知り合いも居なかったし……。
だからって事じゃないけど、キノコン様が指導してくれるエクササイズ方法を信じて実践するしかないわけだ。
キノコンが親切,丁寧に教えてくれる。
い……癒されるぅぅぅぅぅ~~~~♥️♥️♥️
エクササイズしながら癒されるぅぅぅぅぅ♥️♥️♥️
ある意味、至福の時間だぁぁぁぁぁ~~♥️♥️♥️
午前中、たんまりアウターマッスルを鍛えるエクササイズを教えてもらった後は、キノコン様に温泉へ案内された。
温泉で汗を流して、髪と身体を確りと洗って出たら、キノコンから全身マッサージをされた。
気持ち良くて極楽へ逝っちゃっうかと思ったぐらいだ。
全身マッサージでリラックスした後は昼食の時間!
キノコンが作ってくれた出来立ての美味しい手料理を食べさせてもらえる。
健康の為に栄養やバランスが考えられたレパートリーが豊富な飽きの来ない美味しい料理を堪能した後には、薬膳茶とデサートを食べて口も心も満たされる(////)
勇者の一員として弟,仲間達と共に旅をしていた時には感じられなかった幸福感を犇々と感じる事が出来て、まるで天国に居るみたいな暮らしが出来ている。
何かもう勝手に勇者を剥奪された事や勇者パーティを追放された事に対して、感謝の気持ちさえ湧いて来る始末だ。
勇者パーティを追放されたお蔭で、夢のような暮らしを過ごせているもんだから、恨みの念とか絞り出そうとしても出て来やしない。
──有り難な、弟!!
──有り難な、仲間達!!
オレ、今、めちゃんこ恵まれた生活を送れてるから幸せだぁ~~~~♥️♥️♥️
お前等は使命を果たす為、勝手に好きなだけ頑張ってくれよな!
楽しい昼食が終わったら、食後の運動をする。
簡単なステップを教わって、ダンスを踊る。
最初は激しいキレッキレのオタ芸ダンスを見せられたけど、ハード過ぎて筋肉痛になり兼ねないから丁重に断った。
オタ芸ダンスなんて、前世でもTVでしか見た事がない。
向上心を何処かに落として無くしたド素人に踊れるかよ!!
そんな訳で、ド素人にも簡単に踊れて筋肉痛を起こし難いステップダンスを教えてもらう事になった訳だ。
食後の運動が終わったら、温泉に入って身体を清めた後、御遣いが着る法衣に着替えてから、キノコン様から直々に≪ クワルチンク大陸 ≫の歴史についてと神聖な〈 大陸神クワルチンク 〉の教えを学ぶ。
夕方までガッツリと勉強をしたら、楽しい夕食の時間!
法衣を脱いで普段着に着替えたら、またまた美味しい料理,薬膳茶,デサートを御馳走になる。
何と、今晩の料理はラーメン定食だった!!
透き通った透明なスープに前世で食べた馴染みのある麺の上に確り煮込まれたチャーシューと煮玉子とラーメンには欠かせないナルト,メンマ,細切り葱が入っていた!!
チャーハン,餃子,鳥の竜田揚げが付いたラーメンセットだ。
餃子の皮はラーメンの麺と同じ生地を使っていて、カリッとパリッとしている餃子をスープに浸して食べても美味かった(////)
チャーハンと竜田揚げの事も語りたいけど、前世で食べたチャーハンと竜田揚げよりも “ 格段に美味かった ” とだけ言っておこう。
お蔭で腹も心も満たされて幸せだぁ~~~~♥️♥️♥️
夕食が終わったら、キノコン様から直々に大陸語の読み書きを教わる。
入浴前にインナーマッスルを鍛えるストレッチを済ませたら、温泉に入り汗を流す。
入浴後にはキノコンから手足の爪のケアをされつつ、全身マッサージを余す事なく堪能ぉ~~~~♥️♥️♥️
手足の爪のケアんて前世でもした事なかったぞ。
遅くても22時にはベッドに入って就寝だ。
翌朝、起きるのが5時だからだ。
5時半には朝食が食べれるから、それまでに身支度を整える必要がある。
朝食の和食を味わいながら確り食べたら、6時半からラ◯オ体操に参加──。
キノコン様がオレの為に直々に作られたスケジュール表を見ながら、1日を過ごす事になるらしい。
エクササイズでアウターマッスルを鍛えて、ストレッチでインナーマッスルを鍛えたら、体術を教わる事になるらしい。
初めは受け身から入って、護身術を教わった後、少しずつ武術を絡めてながら稽古を付けてもらえるんだとか。
受け身や護身術は覚えておいて損はないと思う。
前世では習う機会がなかったからな。
武器を扱う武術なんておっかないのも習った事がない。
当たり前に怪物が跋扈してる世界だし、盗賊紛いな事をして馬車を襲う危ない奴等もゴロゴロと居る世界だ。
習っといた方が良いよな……。
オレ、何処まで頑張れるんだろう……。
お荷物や役立たずを卒業出来るぐらいには強くなれるのかな??
不安だけど、やってみるしかない!!




