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19/31

✒ 不穏な動き 1


──*──*──*── 朝食後


 キノコンが作ってくれたひさ(びさ)い和食を堪能した。

 プリテは異世界に転移召喚されて5年りに和食を食べて、嬉し涙を流していた。

 どうやらプリテの(ひの)(もと)の和食とるいしているみたいだ。

 ちなみにプリテに “ 陰陽師アイドル ” の事を聞いてみたけど、知らない事が分かった。


 プリテの(ひの)(もと)には、怪異のたぐいや異形のたぐいは存在しないらしい。

 妖怪やらつくがみって存在は知られているけど、あくまでも空想上の産物でしかなくて、小説,漫画,アニメ,ドラマ,映画とかの中でしか登場しないんだとか。


 どうやらセロとオレが知ってる≪ にっぽんこく ≫とは似てはいるけど違う世界みたいだ。

 怪異のたぐい,異形のたぐいは存在しないなら “ 陰陽師アイドル ” のシュンシュンを知らないのもうなずけるってもんだ。


 朝食モニングあと、セロはプリテに新しい衣装をプレゼントした。

 大人の女性を思わせる上品な紺色の上質な生地に、セロが〈 (原質)(みなもと) 〉で構成した糸── 砂糖菓子で作られているらしい ──を使って縫われた〈 大陸神クワルチンク 〉と〈 大陸神クワルチンクの化身 〉の複雑つ繊細で美しい刺繍がほどこされている。

 砂糖シュガー林檎アプルの大樹と砂糖シュガー林檎アプルも刺繍されている。


 砂糖シュガー林檎アプルの大樹の下──、〈 大陸神クワルチンクの化身 〉の前で妖精王と妖精妃がひざまずき、砂糖シュガー林檎アプルたくされている様子が刺繍されている。

 どうやら物語になっているらしく、妖精族は人間がきらような禁忌的な存在ではなく、〈 大陸神クワルチンク 〉に認められた最初の種族であり、繁栄をもたらす砂糖シュガー林檎アプルの大樹の下で、〈 大陸神クワルチンクの化身 〉から妖精王と妖精妃が、幸せを象徴する砂糖シュガー林檎アプルたくされている──という内容らしい。


 セロ、やり過ぎじゃないか??

 幻想的で神秘的な衣装に着替えたプリテは、モジモジしている。

 紺色の衣装の下から見えるのはったレースが上品な清楚感のある白い衣装だ。

 セロの吟遊詩人の真っ白いコートも凄いけど、〈 大陸神クワルチンクの化身 〉のつかいであるプリテの為に用意された衣装も負けてないと思う。


マオ

つかいの衣装としては豪華だな~~。

  王族が使ってる生地より上質だよな? 」


セロフィート

「 当然です。

  〈 大陸神クワルチンクの化身 〉は、あらゆる種族の王より上位の存在です。

  〈 大陸神クワルチンク 〉と言っても過言ではないですし。

  〈 大陸神クワルチンクの化身 〉のつかいに安っぽい法衣を着せられますか 」


マオ

「 ついさっき迄 “ 衣装 ” って言ってたのにな~~ 」


セロフィート

「 ワタシは初めから “ 法衣 ” と言ってましたけど? 」


マオ

「 嘘け!

  髪と瞳の色も変えるんだよな?

  なにいろにするつもりなんだ? 」


セロフィート

「 キノコンの色に合わせます。

  髪は鮮やかな蜜柑色,瞳は山吹色にするとしましょう 」


マオ

「 キノコンと御揃いにするんだな。

  その方がつかいっぽく見えそうかな? 」


キノコン

「 お日様の色ですエリ 」


マオ

「 そだな……。

  紺色と白色と蜜柑色と山吹色の組み合わせってなんかミスマッチだな…… 」


 キノコンが少しだけ嬉しそうだ。

 セロが古代エンシェント魔法マジックを使うと、プリテの髪が鮮やかな蜜柑色へ、瞳が山吹色に変わった。

 

マオ

「 髪と瞳の色が変わっただけで随分と印象も変わるんだな。

  これならひのもとじんとは思えないだろうし、聖女教会もプリテだって気付かないんじゃないか? 」


セロフィート

「 そうですね。

  こわいろも変えときましょう 」


聖女:プリティンクリス

「 そんな事も出来るの? 」


セロフィート

「 プリテさんのごえは変わりません。

  プリテさんの知り合いがプリテさんの声を聞いても別人の声に聞こえるだけです 」


聖女:プリティンクリス

「 そんな事が──。

  異世界ってほんにファンタジーに溢れてるのね~~ 」


セロフィート

「 プリテさんは〈 大陸神クワルチンクの化身 〉のつかいとして、旅を楽しんでください 」


マオ

「 異世界を旅行する感じか?

  まぁ、キノコンがてくれるから怪物モンスターの群れに襲われても心配ないよ。

  戦士妖精も労働妖精もキノコンの粒羅な瞳が光ってるし、悪さは出来ないだろうしな~~ 」


聖女:プリティンクリス

「 悪さって? 」


マオ

「 えと………… 」


セロフィート

ただの例えです 」


キノコン

「 聖女プリテの身の安全はボクが保証しますエリ。

  聖女プリテには〈 大陸神クワルチンク教 〉のチラシを配布してほしいエリ 」


聖女:プリティンクリス

「 チラシの配布?

  そんなのでいの?

  チラシ配布なら任せて!! 」


セロフィート

「 次は馬車を改良しましょう 」


マオ

「 馬車馬も変えるんだよな? 」


セロフィート

「 プリテさん、キノコンとともに観光を楽しんでてください 」


聖女:プリティンクリス

「 えっ?

  観光?? 」


セロフィート

「 ≪ アスクナルガ ≫にたばかりなのでしょう。

  たまには過ごしてもいでしょう 」


マオ

「 それもそうだな!

  その姿で観光してみるのもいんじゃないかな?」


キノコン

「 聖女プリテ、出掛けるエリ! 」


聖女:プリティンクリス

「 あっ、うん…… 」


 キノコンはプリテの手を引っ張っると《 馬車駐車広場 》からプリテを連れ出してくれた。


セロフィート

「 貴方達も今日きょうは自由行動です。

  羽目をはずさない程度に楽しんでなさい 」


 セロが戦士妖精達に言うと、戦士妖精達も《 馬車駐車広場 》から出て行った。






セロフィート

「 さて、始めるとしましょう 」


マオ

「 お、おぅ 」


 とは言ってもオレはもっぱら見ているだけだけどな~~。


 セロは古代エンシェント魔法マジックを発動させると〈 うま()にん(ニン)ぎょう() 〉と〈 うつわ()にん(ニン)ぎょう() 〉を1体ずつ召喚した。


セロフィート

「 〈 うつわ()にん(ニン)ぎょう() 〉は馭者けん商人としてキノコンに同行させます。

  おもに馬車の管理を任せます 」


マオ

「 教会内で商売もするんだっけ?

  商人は必須だよな 」


セロフィート

「 販売商品はすべて《 セロッタ商会 》から魔法マジカルサークルで転送させ、スタッフのキノコンが店内に並べ販売します。

  教会で〈 大陸神クワルチンク 〉の洗礼を受け、〈 大陸神クワルチンク 〉の信者にならなければ《 セロッタカンパニー 》で買えない品物ばかりです。

  《 セロッタベーカリー 》も《 セロッタファミレス 》《 セロッタ銭湯 》も同じです。

  〈 大陸神クワルチンク 〉の洗礼を受け、改めて信者となれば、《 大陸神クワルチンク教会 》で共有して使えるセロカードを渡します 」


マオ

「 えと、でもセロカ君を広めるのか? 」


セロフィート

「 今回はセロカ君ではなく〈 大陸神クワルチンクの化身 〉です。

  イラストは当然キノコンにします。

  信者証にもなっているセロカードに現金をチャージし、支払いをすべてセロカードのタッチで済ませます 」


マオ

「 随分とハイテクにするんだな~~ 」


セロフィート

魔法マジカルサークルを使えば簡単に出来ます。

  セロカードに現金チャージをすれば領収書が出ます。

  銅貨1枚に1ポイント付くようにします。

  銀貨1枚なら100ポイントです。

  チャージが出来るのは銀貨1枚からにします。

  今回は現金へのキャッシュバックはせず、1000ポイント貯まると自動的にセロカードへチャージされるようにします。

  信者証として使いますし、本人しか使用の出来ないようにします。

  仮に無くしても持ち主に戻るように防犯魔法も掛けます 」


マオ

「 それなら安心して現金をチャージして使えるな! 」


 なんて事をセロと話しているあいだに、〈 うつわ()にん(ニン)ぎょう() 〉は馬車馬と〈 うま()にん(ニン)ぎょう() 〉の入れ替え作業を終えていた。

 馬車馬は《 馬車駐車広場 》で引き取ってもらえるらしい。


マオ

「 セロ──、(ひの)(もと)なつかしがるプリテを≪ にっぽんこく ≫に連れて行くって事は出来るのかな? 」


セロフィート

「 出来ますよ。

  プリテさんには怪異のたぐい,異形のたぐい慣れてませんから驚くかも知れませんけど 」


マオ

「 プリテも知ってる和食だったし、時代は違うかも知れないけど、雰囲気は似てるんじゃないか?

  たまにはさ、近代的な暮らしを体験させてあげたいよ。

  プリテが(ひの)(もと)に帰れる日がになるか分からない訳だしさ 」


セロフィート

「 裏野ハイツの一室を開けましょう。

  キノコンがれば被害に遭う事もないでしょう 」


マオ

「 そだな。

  『 ≪ にっぽんこく ≫で暮らしたい! 』って言い出しちゃうかも知れないけどな!

  ≪ にっぽんこく ≫には連れて行けても、プリテの(ひの)(もと)へは連れて行けないのは残念だな…… 」


セロフィート

「 仕方無いです。

  ワタシでもプリテさんの(ひの)(もと)の時間軸は分かりません。

  プリテさんを(ひの)(もと)へ帰す事は古代エンシェント魔法マジックでも出来ません。

  妖精王の召喚魔法ならプリテさんを(ひの)(もと)へ帰す事が出来るでしょう。

  強制的に多勢召喚されたプリテさん達を(ひの)(もと)へ帰す為には、妖精妃の誕生を阻止する王族,貴族達に騙され、利用されている聖女達の洗脳をいて此方こちら側にがえさせる必要があります 」


マオ

「 洗脳をく?

  奴隷解放軍だった王族や貴族達の子孫達がだよ、自分達にとって都合の過ぎる歴史を──、右も左も分からない聖女達に教えて学ばせたからって、洗脳されるもんかな?

  プリテなんて、あっさりと自分の意思でがえったじゃんか。

  大丈夫なんじゃないか? 」


セロフィート

「 マオ、催眠術に掛かり易い人,掛かりが浅い人,まったく掛からない人がように、洗脳も同じです。

  プリテさんは比較的、洗脳に掛かりにくい体質だったのでしょう。

  残りの29名がプリテさんと同様、洗脳に掛かりにくい体質とは言えません 」


マオ

「 そっか。

  でもさ、洗脳をくよりもセロが聖女達の記憶を改竄したら簡単じゃないのか? 」


セロフィート

「 マオ……。

  記憶を改竄なんてしたら廃人になり兼ねませんけど? 」


マオ

「 うぅ…………。

  “ やり過ぎたら ” のはなしだろ?

  やり過ぎなければいんじゃないか? 」


セロフィート

「 加減がむずかしいのに……。

  マオからげんは取りましたし、おおを振って記憶の改竄が出来ます♪ 」


マオ

「 その言い方はめてくれよぉ!

  あっ──、そうだ!

  記憶を改竄しなくても、睡眠スリープ魔法マジックで眠らせてさ、裏野ハイツに転移させたらいんじゃないかな?

  がえらなかった聖女達を暫く彼方あっちで暮らさせれば、洗脳もけるんじゃないか? 」


セロフィート

「 マオの提案ですし、考えておくとしましょう 」


マオ

「 セロ(////)」


セロフィート

「 ──馬車の改良も済みました。

  馬車の中を見てみます? 」


マオ

「 見てみたい!

  どんな感じになったんだ? 」


 オレとはなしながら馬車の改良を済ませるなんて、流石セロだな。

 全部古代エンシェント魔法マジックで済ませたんだろうけどな!

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