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✒ 大陸の昔話 4


セロフィート

「 マオはだと思います? 」


マオ

「 えぇ~~?

  オレが聞いてんのに……。

  う~~ん…………妖精族に使役され奴隷になってた人間達がなか(なか)戦えなかったから──とか? 」


セロフィート

「 それも有ります。

  妖精族に使役され、奴隷として生きていた人間達は、それなりに幸せな暮らしをさせてもらえていました。

  人間のように奴隷に対して酷い扱いや仕打ちは無かったのです。

  奴隷として生きていた頃よりも明らかに暮らしがきびしく、つらかった事からもと奴隷達が団結,結束し、王族や貴族に対して反旗をひるがえしました。

  ≪ アップラシュナ王国 ≫のあちこちで内乱が勃発したのです。

  王族や貴族はもと奴隷解放軍として戦った者達の子供や子孫達でした。

  奴隷解放軍のめん(めん)は “ 奴隷 ” という言葉だけを鵜呑みにし、実際に奴隷達が暮らしをしていたのか一切合切らなかったのです。

  もと奴隷達は “ 奴隷 ” の烙印を押されはしたものの、妖精族から手厚い保護を受けて暮らせていました。

  妖精族が許さなかったのは一部の心無い王族と貴族達だけでしたし。

  なにも知らない人間には寛大で、温情も有りました。

  4000年もながきにわたり続いた理由が分かります 」


マオ

「 “ 奴隷 ” もだけど、 “ 人間り ” って言葉も悪いイメージしかしないもんな。

  奴隷だった人間にしてみれば住み易くて暮らし易かったんだな。

  奴隷として生きていた頃がなつかしかったのかな……。

  じゃあさ、もと奴隷達からしたら、もと奴隷解放軍達がした事は、迷惑この上無いおけないだった──って事になるのか?

  『 余計な事しやがって! 』ってみたいたな? 」


セロフィート

「 間違いではないです。

  もと奴隷の中には≪ アップラシュナ王国 ≫から出て、妖精族に寝返り、仲間になる者もたぐらいです。

  怪物モンスターに苦戦する人間とは違い、妖精族は怪物モンスターを片手で倒せてしまえるほどの強さを持っています。

  人間にとって怪物モンスターは脅威の存在でしたけど、妖精族にとって怪物モンスターは脅威ですらなかった。

  妖精族に寝返ったもと奴隷達は妖精族と対等な立場で受けれられ、共存共栄をする仲間となりました。

  原質が異なり、種族も違う妖精族と人間がともに手を取り合い、協力し合いながらもと奴隷解放軍だった王族と貴族達を相手に戦いました。

  妖精族の目的は人間にらわれ、≪ アップラシュナ王国 ≫のかに幽閉されている妖精王の娘(カルセドニア)の救出です。

  妖精族は是が非でも妖精王の娘(カルセドニア)を取り返したかったのです 」


マオ

「 でもさ、≪ アップラシュナ王国 ≫は健在じゃんか。

  妖精族を使役してる訳だし 」


セロフィート

「 妖精族が強い事には明確な()ゆう()があります。

  勇者と聖女の手に依り、妖精王,妖精妃がたれてしまっても、次代の王である妖精王の娘(カルセドニア)かろうじて生きていたからです。

  砂糖シュガー林檎アプルも聖地すら失ってしまった妖精族にとって妖精王の娘(カルセドニア)いのちづなでした。

  人間に妖精王の娘(カルセドニア)を殺される前に、妖精族の存続の為にもなんとしても救出したかったのです 」


マオ

「 だけど、妖精族は妖精王の娘(カルセドニア)を救出する事が出来なかった?? 」


セロフィート

「 そうです。

  愛しい両親を目の前で勇者と聖女に殺害された妖精王の娘(カルセドニア)は、抵抗する事も出来ぬままらわれ、幽閉されました。

  妖精王の娘(カルセドニア)は両親を失った事で妖精王に昇格し、新たないのち宿やどしていました。

  妖精族ともと奴隷達に依り勃発する激しい内乱が起こり続ける中で、勇者と聖女の子孫は妖精王の娘(カルセドニア)が次代の妖精王を身籠っている事に気付いてしまったのです。

  利用しない手はないでしょう。

  妖精王の娘(カルセドニア)は幽閉をかれ、別の部屋へ移されました。

  部屋を与えられた事で妖精王の娘(カルセドニア)への扱い方も変わりました。

  手厚い扱いに変わり、親切にされるようになり、妖精王の娘(カルセドニア)も戸惑った事でしょう。

  今迄の非礼な態度や扱いに対しても深く謝罪された事で、妖精王の娘(カルセドニア)は人間を信じてしまいました。

  つかの穏やかな生活を送った妖精王の娘(カルセドニア)は、とうとう次代の妖精王となる赤子を出産しました。

  妖精王の娘(カルセドニア)は赤子を抱く事も出来ぬまま、殺害されてしまいました 」


マオ

「 殺された!?

  なんでだよ? 」


セロフィート

かす必要が無くなったからです。

  人質は1人れば十分です。

  無垢な赤子──次代の妖精王を手にれた人間が、赤子を利用して妖精族に対してなにをしたのか──。

  マオには想像が出来ます? 」


マオ

「 ………………妖精王になった妖精王の娘(カルセドニア)は殺害されてないし──、あっ!

  妖精王の娘(カルセドニア)の死体をさらして、妖精王になった赤子を妖精族に見せ付けたとか?

  『 お前達が助けたい妖精王はわれ(われ)の手の中にるんだぞ! 』とか『 でも此方こっちの都合で妖精王を殺せるんだぞ! 』って見せ付けて脅迫したとか? 」


セロフィート

く分かりましたね、マオ。

  強大な能力ちからを保持する妖精族を無抵抗にする為には、新たに妖精王となった赤子を利用するしかなかったのです。

  もと奴隷解放軍だった王族と貴族達は、妖精王を人質にし、内乱をめさせる為に、自分達を裏切り妖精族に寝返ったもと奴隷達を妖精族に殺させました。

  妖精族はつぎ(つぎ)ともに戦ってくれた勇敢な(もと)間達(奴隷達)を殺害しました。

  妖精族のいのちづなである妖精王を失う訳にはいかなかったからです 」


マオ

「 ………………仲間同士で殺し合いをさせるなんて、当時の人間は卑劣な事を考えるんだな…… 」


セロフィート

ざわりで裏切り者のもと奴隷達を妖精族に始末させたると、内乱も起きなくなりました。

  妖精族は妖精王を人質にされている為、人間に手出しが出来ません。

  王族は赤子の妖精王の能力ちからを封印し、身体からだに奴隷紋を刻みました。

  それにより、妖精族は戦う為の能力ちからを失ってしまいました。

  無力になった妖精族はつぎ(つぎ)らえわれ、王族,貴族に使役されていきました。

  こうしてすべての王族,貴族が妖精族を使役した事で、≪ アップラシュナ王国 ≫では1人に1体は妖精族を “ 使役しなければならない ” という国法が出来ました。

  それから約500年、いまだに国法は大事に守られています 」


マオ

「 ……………………じゃあさ、≪ アップラシュナ王国 ≫のかに王族の奴隷にされた妖精王がるって事だよな? 」


セロフィート

「 そうなります 」


マオ

「 セロ、助けよう! 」


セロフィート

「 はい?

  です? 」


マオ

って──。

  だってさ、そんなのあんまりじゃんか!

  妖精族が王族の奴隷である限り、妖精族は無力なままなんだろ?

  戦う力だって無いんだろ?

  取り戻してやりたいじゃんか 」


セロフィート

「 放っておきなさい。

  マオとワタシには関係無い事です。

  今迄のはなしお伽噺です♪ 」


マオ

迄ガッツリと話しといて『 お伽噺です♪ 』はないだろ!

  だったらなんでオレに話したんだよ── 」


セロフィート

「 マオは優しいですね。

  自分に関係無い妖精王を “ 助けたい ” なんて──。

  マオが助ける必要はないです。

  ≪ クワルチンク大陸 ≫

の事は、持ち主である〈 コウ 〉に任せればいです 」


マオ

「 “ 任せる ” って言ってもないじゃんかよ! 」


セロフィート

セロフィートは〈 コウ 〉の手助けをしません。

  妖精王の事は諦めてください。

  ≪ アップラシュナ王国 ≫での観光を楽しみましょう♪ 」


マオ

「 …………こんなモヤモヤした気持ちで楽しめると思ってんのかよ…… 」


セロフィート

「 マオなら大丈夫です。

  ワタシもますし♪

  これでも見て機嫌をなおしてください 」


 そう言ってセロが出してくれたのは、背中に妖精の羽をやしたキノコンの砂糖菓子だった。

 舐めたり食べたりしたら死ぬ方のな!


マオ

「 綺麗だな…………。

  それに可愛い(////)

  セロ──、これは絶対に売れると思う!

  イケるよ!

  ガッポリも出来るよ!

  当然、色違いの用意も出来るんだよな? 」


セロフィート

「 勿論です。

  大きさ変えて用意が出来ます 」


マオ

「 セロ、サーカスをした近隣の≪ 集落 ≫や≪ 村落 ≫の中央にさ、銅像みたいにデカい砂糖菓子を設置したらどうかな?

  “ 幸せを呼び込む砂糖菓子 ” ってフレーズを最大限に利用しよう!

  飲料水に使える清潔な水が湧き出る噴水を作ってさ、真ん中に砂糖菓子を設置するんだ!

  水って()の生活に欠かせないだろ?

  井戸の水が枯れても噴水の水を使えばいし! 」


セロフィート

「 それぐらいなら構いません。

  噴水はキノコンに作らせましょう。

  砂糖菓子は転送魔法で送り、キノコンに設置させればいですし 」


マオ

「 そうだな!

  キノコンの──じゃなくて〈 大陸神クワルチンク 〉の信者を増やそう! 」


セロフィート

「 はいはい。

  ついでに教会も乗っ取っりましょうか?

  ≪ アップラシュナ王国 ≫には “ 勇者教 ” や “ 聖女教 ” を信仰する宗教が多いですし 」


マオ

「 妖精族から奴隷を解放した救世主だから、信仰の対象として宗教に利用されてるんだな 」


セロフィート

「 “ キノコンじる ” をせんじた薬膳茶を飲ませれば、大抵の病気は完治します。

  信者を横取りして、勇者教会と聖女教を廃業させましょう♪ 」


マオ

「 楽しそうだな。

  まぁ、いけど……。

  ところでさ、チラシ(宣伝広告)と引き換えに渡す非売品はなににするんだ? 」


セロフィート

「 砂糖菓子で作った王家の勲章にします。

  “ 妖精サーカス団 ” は王家に敵対していない事をアピールします。

  先ずは王家に見事な勲章を献上する必要がありますけど 」


マオ

「 セロの事だから、早速〈 うつわ()にん(ニン)ぎょう() 〉を向かわせてるんだろ? 」


セロフィート

「 ふふふ…。

  マオには、お見通しでしたか 」


マオ

「 セロは抜かりないだろ。

  どうせ、反対する貴族の頭ん中を古代エンシェント魔法マジックいじくり回して賛成させるだろ~~ 」


セロフィート

「 “ いじくる ” なんて言葉が悪いです。

  “ 改竄する ” と言ってください 」


マオ

「 同じだろ… 」


セロフィート

「 違います。

  それにワタシは無闇に記憶を改竄したりしません。

  記憶障害が起きて廃人になっては使えませんし 」


マオ

「 記憶障害??

  廃人??

  記憶を改竄するって、そんなにヤバいのか? 」


セロフィート

「 当たり前です。

  そう(そう)頻繁には出来ません 」


マオ

「 ………………セロもようやちょうを覚えてくれたんだな~~ 」


セロフィート

「 はい?

  ワタシはちょうしてますけど? 」


マオ

「 ……………………………………そだな… 」


セロフィート

「 随分とけましたね 」


マオ

「 気の所為じゃないかな??

  それよりさ──、サーカスを見ながらばらを満たせる食べ物とか欲しくないかな?

  一口サイズで食べ易いなにか! 」


セロフィート

「 それもそうですね。

  スイーツを売り込んでガッポリするチャンスです。

  おおいに利用するとしましょう 」


マオ

「 オレはさ、プチシューとかミニドーナツとかベビーカステラとかかくりシフォンあたりがいんじゃないかと思うんだよな。

  一口サイズならクズがポロポロと落ちたりしないだろ?

  飲み物は紅茶にしてさ、スイーツに合う紅茶をあらかじめ決めといて、マックンナルドみたいにセット売りするんだ!

  貴族も使うだろうから紙コップのガラは高級感を出す為にお洒落にしてさ。

  スイーツカップや紙コップにキノコンのマークをれるとか──、ポイ捨てされないように仮装させたキノコンに回収させたり、出ぐちきんだけじゃなくて、あちこちにも回収BOXボックスを設置しとくとか 」


セロフィート

「 はいはい。

  参考にするとしましょう。

  プチシューの中身は色を変えてもいですね。

  ミニドーナツ,かくりシフォンも色と味を変えましょう。

  ベビーカステラはキノコンの形にでもしますか 」


マオ

「 小分けのバームクーヘンもいかな?

  あんまり種類が多いと御客も困るかもだから、5つぐらいにしといた方がいかな? 」


セロフィート

「 初めの1年は5種類で様子を見るとしましょうか。

  公演中に滞在するあいだ、キノコン達には地元民に寄り添い、親切,丁寧に相手を尊重しながら接しさせます。

  地元民の心をわしづかみ、勇者教と聖女教の信者を引き入れます。

  地元民に理解の出来る範囲の正しい教えを〈 大陸神クワルチンク 〉の使徒として説いてもいでしょう 」


マオ

「 セロ、信者を横取りする以前に本気で潰す気だな? 」


セロフィート

「 教会を乗っ取ろうなんてしてません。

  名義変更して借りるだけです♪ 」


マオ

へんは分からないから、全面的にセロへ任せるからな! 」


セロフィート

「 はいはい。

  楽しい滞在期間を過ごせそうですね♪ 」


マオ

「 ははは…………そだな… 」


 不安の方が多いかもだな~~。

  でも、仮になにか起こってもセロがなんとかしてくれるもんな!


 オレは妖精の羽をやしたキノコンの砂糖菓子に目を向けた。

 セロいわく、ひかりに当てると七色に光るらしい。


 販売するなら “ 砂糖菓子 ” って名前は変更した方がいと思う。

 流石に食べる馬鹿はないだろうけど、名前をに受けて舐める馬鹿はるかも知れないしな。

 どんな名前がいかな?

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