八発目 紅い子供部屋の鏡(上)
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そこは暗かった。
そこは、何処までも、暗く、黒く、闇かった。
「何処だここ?」
俺は何故かここにいた。
知らない場所だ。
来たはずの無い場所。記憶もここに来た事は無いと言っている。
しかし、感覚が知ってる、否、知ってるはずだと語りかけてくる。
「と言うか、さっきまでとは全然違うな」
そう、さっきと言うか、気絶するまでいたあの樹海と全然違う。
樹海も暗かったが、樹海の暗いは、木陰だったのに対して、此処は月が出て居ない夜みたいだ。
辺りを見渡して分かった事だが、此処は子供部屋みたいな大きさだ。
何故解ると言うと、壁等が紅く、薄く発光し、まるで血が光っているかのような幻想を抱かせているからだ。
その光は、何とか部屋全体見渡せる位の光だった。
「うん?
鏡?」
部屋を観察していると、隅にかなり大きな鏡が置いてあった。
この子供部屋に、はかなり異質な存在だが、部屋が紅く染まっているので、違和感がほとんどなくなっている。
危険さと、知的好奇心比べれば圧倒的に知的好奇心が勝った。
「何が映るかな?」
少しわくわくしながら、鏡を覗くと、そこには俺が映っていた。
え、何、普通だって。
残念だな、映っていたのは俺でも、男の俺だった!。
何だか少し見なかっただけでかなり懐かしい。
暫く見ていると、鏡にまるで、水面みたいに波紋がいくつか出来た。
「?」
不思議に思い食い入るように鏡を見る。
鏡の波紋が重なり合い、俺の姿が見えなくなる。
『主が今回の封印の人柱かや?』
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鏡は、いつの間にか波紋が止み、鏡には、香が作った盾モドキに映っていた女版の俺によく似た姿が映っていた。
違う点は髪が黒色なのと、服装が着物だったのと、頭に角があったのと、目が紅い事だった。
え?俺の服装はどうだったって?
それは秘密だ。
思い出したくも無い。
香と色が違うだけで女物の黒のワンピースを着ていただなんて絶対思い出したく無い。あれは恥ずかしい。
『ほう、そのような恰好をしておったのか、趣味かや?』
いや、目が覚めたらすでに着せられていたみたいな状態だったのよ。……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
え?
『どうした?』
とりあえず俺は、ちょうどそこにあった布を鏡に掛けた。
『おい、主よ、って何故布を掛けるのだ
ぬーしーよー、布を掛けないで欲しいのじやが』
「俺は何も聞こえないし何も見なかった。
よし出よう」
『まっ、待つのじや主よ』
何も聞こえない。何も聞こえない。
『ここは、主の精神の中じや。
じやが、ここは唯一妾が支配する空間。
出口は無いに等しいのじや。
だから早くこの布を退けるのじや』
面倒に思いながら、このロリの言う事が本当ならば、機嫌を損ねさせたらもっと面倒な事になりそなので布を退けてやるとするか。
「これでいいかロリ」
『誰かロリじや
この姿は代々封印の人柱に似るようになってるのじや。本当の姿はもっと、ぐらますなんじゃ
しかし、主よ、魂は男なのに身体は、おなごとは。
性転換手術でも受けにモロッコにでも行ったのかや?』
「ふざけるなよロリ」
俺は、少し怖い顔をするとロリは少し怯えた顔をした。
脅かし過ぎたか?少し反省。
「そう言えばロリ、何て名前だ?」
そう聞くと、ロリはいきなり元気になった。
『よくぞ聞いてくれたのじや
妾の名は天の邪鬼。
太古の昔に神と渡りあった古き鬼よ』
と、ロリ改め天の邪鬼が言う。
無駄に自信が溢れてる。
「そうか、それは凄い鬼だな」
そう言うと天の邪鬼は機嫌を良くしたようで上機嫌になっている。しかしただ褒めただけでは面白くない。
『そうじやろ
妾は、最強の鬼じやからの』
「それじゃその最強の鬼はどうしてまだ封印されているのかな?うん?」
意地悪な問いを掛ける。
『そっ、それは力が封印されているからで。
封印の解除方法が契約する事なのじや』
と、天の邪鬼は少し慌てながら答えた。
「契約か、それじゃ俺と契約するか?」
俺は基本女性には優しくしているのだよ、と、内心で呟く。
『どこがじや、さっきまでいじめておった癖に。
それと妾と本当に契約するのかや?』
「あぁ、お前さえ良ければ、だがな。」
『何故ほぼ初めて会ったばかりの鬼と契約出来るのじや?
あの頃の事は既に忘れさしたはず。
妾の術は、未だ解けていないはずなのじやが』
天の邪鬼が何か言ったが、最後の方がほとんど呟くようになったので聞こえなかった。
「女の子を助けるのに理由は要らない。それに俺は家族が女だらけでな、そこでの教育は『困っている女の子が居たら全力で助けること』なんだ。だからお前も助けてやるよ」
『残念じやがそれは無理じや
妾はこの鏡から出れぬようにと妾に触れないように呪いが掛かっておる』
本人は自覚していないだろうが、天の邪鬼が泣きそうな顔をしている。助けて欲しいのに助けて欲しいと言えない。そんな表情をしている。
そんな顔は見たくない。何故かそんな感情が出てきた。その感情に従うように鏡に手を押し付ける。
すると鏡に波紋ができた。
更に鏡に手を押し付ける。
すると、手が鏡の中に入って行く。
『へ?何故じや?』
天の邪鬼が驚いているがそれを無視して手を伸ばす。
俺の手が天の邪鬼の手に触れた瞬間天の邪鬼の手を掴み半ば強引に引っ張る。
スポン
と、言う擬音が似合いそうな程アッサリ抜けた。
「抜けたな」
「何故じや?解せぬ、何故妾をあの鏡の牢獄から引っ張る事が出来た?
あれは神しか解く事がでにぬと言うのに
主は一体何者じや?」
「俺はただの一般市民だ
それより、これで晴れて自由の身になった訳だが。
契約するか?」
「分かったのじや、しかしただ一方通行のように恩を押し付けられたら鬼の名折れじや。じやから、主の望みを何か叶えてやるのじや」
「それじゃあ、一つ約束してくれよ」
「なんじゃ?何なりと申すがよい」
「人は殺さぬように、だ」
「ふむ、主が望むなら、それに従うのじや。
後、今の妾には肉体が無いのじや、たから借りの肉体が出来るまで主に世話になるのじや」
「は?」
「だから主に世話になると言っているのじや
よろしくじや主よ」
「仕方無い、よろしくな天」
「あま?、尼か?」
「違う、天の邪鬼だから、天だ良い名だろ」
少しシニカルに笑ってみる。
「ふん、まだまだじや
と言いたい所じやが、主が考えたにしては中々良い名じやな。
それと、その笑い方は余り似合わぬな」
「そう」
か、と続ける前に天にキスされた。
「これで契約完了じや
後、主の神力の大部分を制限させてもらうのじや」
「何でだ?」
「今回主が倒れたのは、人の身の限界までに膨れている神力を無理矢理使った事による肉体と精神の疲労なのじや」
「…………そうか」
「じやから妾が、主の神力の半分を主が神力の扱いに慣れるまでは預からして貰うのじや」
「慣れるまでの間凄い戦力下がると思うのだが?」
正直半分の力では不安だ。
「仕方ないのじや。
ふむ、なら主に『鬼の力』を貸してやるのじや」
『鬼の力』か。何だか危なそうだな。
「主よ。
今、『鬼の力』は危なそう、とかどこぞの玉なしみたいな事は思ったじやろ」
「何を失礼な。
まあ、どれくらいの力なんだ天」
「そうじやな。
七日間で世界を灰塵にする事が出来る位じやな」
「何処の巨神兵だコラ」
冷静に突っ込んでみた。
「今回もきちんと読みにきたか、関心だぞ愚民ども」
はい、ありがとうございます。
日陰です今回はどうでしたか?
「今回は私は出ていないぞ、どういう事だ作者」
いやーどうしてですかね?
「殺るぞ?」
すいません、次回には出ると思うので勘弁を
「むう、まあいい、その代わり次回は出すのだぞ」
多分…………………………………………
それでは次回で会いましょうさよなら。
「また逃げたな、ふむ、次回もみるのだぞ」