一刈目(ひとかりめ) 譲れぬ戦い(上
番外の香編です
はあ、めんどくさい。
そんなことを内心呟きながら、相手の攻撃を避けたり逸らしたりしている。
相手の顔には焦りと疲れが浮かんでいる。
そろそろだな。
相手の攻撃の力が弱くなった所を身体のバネを使った渾身の力で相手の武器を弾き飛ばす。
今まで単調に避けたりしていただけなので相手は香の急な動きについていけず、結果として、香に武器を飛ばされた相手は尻餅をつき、首筋に鎌の刃を当てられた。
「そこまで」
停止の声が掛かる。
香は退屈そうに、相手は信じられないと言った顔で、互いに礼をする。
「凄いな。
騎士相手に三連勝だなんて」
私の隣で驚いているのは、あの樹海で助けられて、助けたと言うなんだか立場がややこしい女騎士で、私をこの演習場に連れて来た張本人でもある。
私が白の看病をしていると、この女騎士と魔術師が来た。名前は、女騎士がエリス・グラムで、魔術師がアリス・グラムと言ったな。二人は双子の姉妹らしくエリスが姉でアリスが妹らしい。
お礼を言いたいらしく連れて来られた。
後もう少し、白の寝顔を見たかったな。
いや、違うぞ寝顔が可愛いとかじやなく、余りにも間抜けで面白かったからだぞ!?
「コウ、次は私と少し手合わせ願おう」
エリスが聞いてくる。
「まあいいが……。」
このまま戦ったら私が勝つのは目に見える。火を見るより明らかだ。
え?何故かって?
何故なら私は死神だからな。
「どうしたコウ?」
「そうだ。エリスとアリスが組んで2対1でやろうか」
「アリスはどうする?」
「私は構いませんけど?」
「そうか、コウ、私たち二人がかりで自分より小さい者をいたぶる趣味はないのだがな」
ぷちん。
私の頭の何かが切れる音が聞こえた。
「はん、二人がかりで挑んで負けるのが怖いのか?このデカチチめ」
ぷちん。
「躾のなってない子供を躾るのは大人の義務だな。
この貧乳」
ぶち
「「ぶっ殺す」」
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「勝ちに行くぞアリス」
「姉さんは本当に大人気ないですね」
エリスとアリスが構える。
「精々私を楽しませてくれよ?」
何故か悪役ぽい香。
「それでは、双方構えて」
エリスが剣を自分の正面に構え。
アリスが杖を前に掲げ。
香が鎌を地面に触れるように下ろす。
そして双方の緊張感が最大限まで溜まった時。
「始め!」
戦いの火蓋が切って落とされた。
まだ風邪が治らない。
「馬鹿は風邪ひかないと言うのに、おかしい」
それは俺を遠回しに馬鹿と言ってるのかな?
「なにを言う、遠回しでは無く直接馬鹿だと言ってるのだ」
(泣)
「もう良いから早く寝て治せ。
そこ、深夜アニメをみるな」