十発目 王女の暴走/(チャージ)
目が覚めたそこは、ベッドの上だった。
そう言えば最近、起きたら口、が多いな。
なんだ、そんな仕様なのか?
あと、多分さっきまで居たであろう、樹海とは全然違うな、当然だが。はぁ、どこだここ?
当然のように出てきた疑問を解消するために少し頭を起こす。
すると、身体中と言って良い程にまとわりついている白銀の糸?を発見した。ついでに身体をみる。
驚く程細い手足とまだまだ発展途上の胸が見えた。言っておくが俺は断じてロリコンでは無い。断じてロリコンでは無い。(大事な事なので二回言いました)だから未発表の胸を見て変な気持ちにはならない、絶対に。
そして当然の如くこの体は健全な男子高校生である俺の身体ではない。
そして身体中にまとわりついている白銀の糸?を手で触り辿ってみる。
…………やっぱり、と言うべきか俺の頭に手が触れた。となるとこの白銀の糸?は自動的に俺の髪になる。ちなみに俺の髪は黒く長いが精々肩に届く位だ。しかしこの糸?には見覚えがある、悲しい位に。これは、香の髪の色であり、性別が替わった後の(ついでに身体も変わった)俺の髪の色だ。
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はぁ。やっぱり女のままか。うん分かっていたよ、白銀の糸改め、白銀の髪が見えた時に。
気分を戻して辺りを見渡すと一般市民には手が届かないであろう高価な壷やら絵が置いてあった。
割ったらヤバそうだな。まだこの世界の通貨も知らないのに弁償などになったら危ないな。
更に見るとテラスぽいのを発見した。そこのカーテンから朝日が差し込んでいる。少し眩しい。
そこからの景色は中世のヨーロッパの町並みみたいだ。あくまでも、みたい。というか中世のヨーロッパなんて知らない、仕方ない感性がそう叫んだんだから。
テラスに向かう。
辺りを一望出来る程高い。ヤバい少し怖いな、高所恐怖症なめんなよ4mの高さでもすでに恐怖なんだぞ。
「何処の城みたいだな」
「本物のお城ですよ」
独り言に反応された。
うむとりあえず後ろから聞こえたので聞こえなかったということにして無視しよ。
少し風が強くなっているからか、髪が少し暴れているかのように動いている。
もう一度町並みを見る。やっぱり元の世界とは少し違うみたいだ。
だってあちこちに冒険者の恰好をしている人がいる。あ、一人こっちに向いた。
こんな事をしながら頭に思うのは元の世界の家族や親友達だ。
「あいつら大事かな」
そう呟いた瞬間。
「そろそろ無視は止めてほしいかな?
と思うのですが」
「あ、忘れてた」
てか無視してるのばれた。
「まあいいですが。
貴女がハクさんですね」
そう言いわれ振り向くとお姫様ぽい人が驚いた顔になっていった。
「あぁそうだが。
どうした、大丈夫か?」
そう聞くと何故か勢いよく顔を後ろにむけ何かを呟いたが聞こえなかった。
「危ない、危ない、後少しでも直視していたら理性が無くなる自信があります。
でもまだ今は我慢の時です。信頼をコツコツ積み上げていくのが今最も大切で重要な事なのです」
「そう言えば香はどこに居るか知らないか?」
「……は、あっ、はいコウさんですね。
コウさんなら今は演習場に居ると思いますが、案内は要りますか?」
「お願いするよ。
そう言えば名前はなん言うんだ?」
「……は、思わず放心していけませんね。
えっと、名前ですね。
私はリスル国第一王女の、エル・リスリアナです」