第4話:「デッド・オア・フレンド」
画面に釘付けになっている暇はない。誰でもいいから「ともだち」になってくれそうな人を見つけなければならない。顔を見上げると、緑色の髪の少年と一番最初に目があった。すぐそばにいるし、ちょうどいい。
「僕は裏切り者じゃないんだけど、君は?」
「……裏切り者じゃないですけど、どうやって真実かどうか確認するつもりですか。司会者たちの思惑が分からない限り、うかつに『ともだち』認定するのはどうかと思います」
「多少はマシなやつみたいだね。僕は数多ヶ原一輝だ」
「周東真幌です。よろしくお願いします」
右手を差し出すとしっかりと握ってくれた。真幌が裏切り者かどうかを確認するためにはどうすればいいのだろうか。互いに相手のことを信用できない状況下では、次の一手を打ちづらい。
真幌も同様に感じているようで、何とも言えない表情をしている。
「どうやって裏切り者を見つけ出す、か……はっきり言っていい考えは全く浮かんでいない。QRコードを読み込んでからともだちになれているのか、裏切り者なのかが分かる鬼畜仕様のようだからなあ」
「僕はメカニズムはよく分かりませんが、運営が目的としているものには心当たりがあります。手っ取り早く脱落者を出そうとしているのでしょうね。しかし、あくまでも刑事選抜ですから、完全に理不尽な内容だとは思わないんですよ」
真幌はなぜトライアルに参加しようと思ったのだろうか――気になったけれど、自分の話をあまりしたい方ではないし、僕の事情も事情だ。真幌も同じようなものを抱えているに違いない。適当な相槌を打ちながら、本当に真幌が裏切り者でないのかを考える。
運営側が用意した裏切り者だからこんなに話してくれる、とも思えるし、真幌は多少利口そうなので、僕が裏切り者だったとしてもどうにかなると思っているのかもしれない。
気になることを互いに聞き合うのが一番ボロが出やすいのではないだろうか。
「お互いに質問し合おう。仮に僕たち両方が裏切り者でなかった場合、バディとして今後の試験にも挑まなくちゃいけないだろう? そういう文脈だったしな」
「いい考えだと思います。では、お先にどうぞ」
「ああ。何歳だ?」
「15歳です。こちらも。得意なスポーツは?」
「サッカー」
なんとなくだが真幌は裏切り者ではない気がする。直感的にそう思うが、情報が不足しすぎている。
「好きな食べ物は?」
「ナン。好きな偉人は?」
「大久保利通。嫌いな言葉は?」
「二度あることは三度ある。好きな数字は?」
「11。好きな作家は?」
「いない。死刑制度に賛成?」
「反対。視力は?」
「1.5」
真幌が質問しようとした瞬間、また会場が暗転する。すぐにスポットライトに照らされた司会者が登場し、追加ルールを発表した。
「うふふふ。盛り上がってきたところで一旦、冷静になっておきましょーう。皆さんは意外と簡単に他人を信じるようですが、それじゃあ行けませんよお。ともだちになるには、もっとさらけ出さなければいけませんよねえ? 私、皆さんのもとを回ってインタビューを始めましょうッ!」
会場に明かりが戻り、真幌と目を見合わせた。
「インタビューって、そんなのありかよ……」
「何聞かれるんだろうな」
司会者は意気揚々という感じで、数人の前を通り過ぎて、背の低い女の子を指名した。
「さあて、質問なのですが、今回はなぜこの大会に参加されたのですか?」
「え、ええーっと、それは秘密です」




