1/7
1話
俺は田中。どこにでもいるサラリーマン。
毎日夜は22時過ぎまで残業して帰る日々。
楽しみといえば家の近所に居る野良猫と戯れることだった。
そんな猫もこの間異世界へ行ってしまった。
寂しさで心にぽっかり穴が空いたようだ。
そんな俺にも新しく友達ができた。
「おはよう」
「ちゅん」
毎朝ベランダにやってくる雀だ。
まだ警戒心が強いので直接触れ合うことはできない。
ベランダにパンくずを置いてガラス戸を閉める。
そうするとこの雀がやってくるのだ。
「可愛いな」
寝不足の目に朝日は滲みるが健康にはいいだろう。
そんな最中見覚えのある光が当たりを包んだ。
「なんだなんだ?!」
朝日よりも強烈な光に目を開けていられなくなり目を瞑る。
そして思った。もしやこれって異世界召喚か!ついに俺が?!と。
光が収まり期待するように目を開ける。
そこはいつも通りのベランダの前で、変わったところは可愛がっていた雀がいなくなっていたというところだ。
「今度はお前が行くんかい!!」
「……仕事行くか」
虚しくなった俺はカーテンを閉めた。