第77話 明けましておはようございます
いつまでこの滅茶苦茶小説が続くのかわからないけど、今年も宜しくお願いします。
「……その副題の元ネタが分かる人は、日本に何人いるのかのう?」
この小説は、途中から徹頭徹尾そんなネタの塊だぞ。しかも大体の記憶で書き散らしていて、最近では確認すらしてない。
一度解説しまくる回を作ったけど、途中で飽きて、いつも以上に滅茶苦茶になったろ。
「今時スマホ一つで幾らも調べられるだろうに。」
「なんなら、わたくしが調べましょうか?旦那様?」
あぁジェニーさん。iPhone14proを出さなくてもいいです。
「何故わたくしが14で、旦那様はSEなんですか?」
最初に買ったスマホが伝説(笑)のレグポンだったし、この大きさに慣れてるからだけど。
あと、今ざっと調べたら、YouTubeの音声ばっかりで、いちいち聞くのが面倒でな。
思い出せるマっさんファンの友達って、学生時代まで遡らないといけないし、それにリアルタイムの今は大晦日の21時だもん。
作者の身の回りがやっと片付いて、2020年モノの夢雀を開けようかどうか、迷ってる最中に、そんな馬鹿な事で連絡する気ないし。
「ちと待てい、今嫁御のスマホ見たら、それ結構なヴィンテージじゃんか!」
神様が、じゃんかとか言うな。
大掃除してたら、ワインセラーの片隅に貰い物が転がってたんだと。
「なんじゃ、金曜日まで働いてたワーカーホリックの分際でワインセラーなんか持ってたのかぇ。」
うんにゃ。一人暮らししてた時に使ってたミニ冷蔵庫にワインを入れてただけ。味醂やら、ほろ酔いやらと一緒に仕舞いっぱなしだったらしい。
いつ開けようか迷ってるついでに、まとめてあちこちのサイトのなろう小説を書き溜めたり、整理したりしてるんだと。
大晦日ってもさ、ほら、笑ってはいけないも、格闘技も、たけしの超常現象も、な〜んにもやってないから、暇らしいぞ。
「では、この話も早くに更新されるのかの?」
さてねぇ。
だって見てみい。
うちのお嫁さんも、ユカリも、八咫烏も、こたつに入ってゲームセンターCXの19巻に見入ってる。課長のボンバーマン攻略に3人とも夢中だ。
あーあーあー。こたつの上の、みかんの皮の山よ。
DVDは買った俺が、まだ封を開けてなかったのに。
「おい。前回までパイ投げ戦争してなかったか?」
正月に、そんな野暮な事言わないの。
一昔前のアニメなら、総集編の週だぞ。
「じゃ、なんも進まんのかい!」
いや、多岐都姫さんさあ。あんたが進行の始末に困ったから、あんな出鱈目で投げっぱなしの「引き」にしたんだぜ。
今回は、更新するまで、このダラダラを続けるつもりだから、嫌なら少し考えてくれ。
「旦那様?背腸を取り終わりました。」
蒲鉾は鈴廣から取り寄せた逸品だ。師走の月別商品は「かぼちゃと人参」の蒲鉾だってさ。
ちょいと摘み食いしてみたけど、旨いぞコレ。
「ついでに買った、このおでんセット。いつ作りましょうか。」
そだね。七草粥の頃に一緒に食べますかねえ。
「それじゃ、粥を食う意味無かろう。」
まぁ別に俺たちは、正月だからって何か特別なモノを食うわけじゃないから、胃が疲れるとかないだろう。
「三つ葉三つ葉。あ、玉子どうしますか?」
個人の好みに任せよう。
あ、俺は溶き卵でお願い。
「畏まりました。多岐都姫様はどうなされますか?」
「ん?儂。儂はね。目玉焼きを煮で作ってくれ。」
「わかりました、姉さん、ユカリさん、烏さんはどうしますか?」
「おい。」
なんだ。今天ぷらを揚げるのに忙しい。
「さっきから何を始めたかと思いきや、年越しそばの準備かい!」
おう、俺とジェニーが頑張って作るそばは美味いぞぉ。海老天が3尾に蒲鉾。
各自自由のトッピングは、ワカメ・油揚げ・ネギと、あと一口サイズのかき揚げなんてのもいいなぁ。
「かき揚げは、わたくしも作ったことないので、教えて下さいまし。」
んじゃ。玉葱・人参・牛蒡を切り分けといてくれ。海老天があるから桜海老じゃなくて烏賊で行こう。ジェニーは烏賊は大丈夫か?
「旦那様の嫁になるわけですから、蛸も納豆もなんでも来いですわ。あ、納豆の天ぷらを作りたいです。納豆そばってありましたよね。」
納豆の天ぷらはちょっと上級者向けなので、先ずはかき揚げが作れるようにしなさい。
「わかりましたわ!」
むんずと、おたま片手に力こぶを作るジェニーさん。おさんどんの格好がよく似合う。
「本当に今回、何もせんのか?」
前回と前々回の間もこうだったしなぁ。
まぁほら、日常回って事で。
「不味いのう。儂が本当に後先考えんと、今年、いや2時間半後に来年だから、来年中こんな話が続きかねん。」
飯作る話は、うちの作者の得意技だから、魔王とか無視して、あと目の前の人魚や河童やセイレーンや深沙大将の残骸を無視して、おでんと七草粥の作り方とかなら、年内に更新出来るぞ。
せりなずなごぎょうはこべら…
「わかった。わかりました。更新が来年になってもいいから、少し考えさせてくれんか。」
「旦那様。この牛蒡ってただの棒じゃないんですかぁ。」
あぁ、笹掻きのやり方を教えてやるよ。
で、以下、来年に続く。
作者の野郎、夢雀をあけやがった。しかもアテがコンビニ冷食の手羽先で済ませやがった。
読み差しの、「くーねるまるた」の10巻読んで年越すんだと。
「巫女さん話は、年内更新分は先に書き上げとるじゃないか。」
年明け早々に更新だとさ。
さて、ジェニー。俺たちも作者に負けない年越しそばをつくるぞ。(夢雀はこっちにも回してくれよ。ほら、一応、御神酒って事で。)
「あけましておめでとうございます。あなた。」
「今年も宜しくお願いします。子作りにも頑張りましょう。旦那様。」
13歳の少女を妊娠させる趣味はありません。
「でもパパ。我が家はこたつに入ったままで初詣が出来るんだね。」
「何しろ、アッシを神扱いするのなら、このこたつに神様が3柱もいますからなぁ。」
神性では一番高位の筈の、天照皇大神が娘、多岐都姫は酔い潰れて寝ているけどな。
巫女さんとこで、森伊蔵が手付かずで始末に困っていたから、作者を通じて貰ってきた。御神酒って名目でな。
ぱんぱん。二礼二拍手一礼。
お賽銭を多岐都姫に。
お年玉をユカリさんにあげよう。
「わーい。」
今年こそ、この物語がまともに進行して、完結します様に。
「そろそろ何処かに定住しましょう。まだ若いジェニーはともかく、私はそろそろ赤ちゃんが欲しいです。」
「わたくしは、まだベイビーは早いかなぁ。それよりも、お料理を始めとする旦那様の国の文化を教わりたいです。」
「ユカリはどうしようかなぁ。おかーさんの剣技にも興味あるし、ジェニー母さんの魔術にも興味あるなぁ。」
「アッシは早く熊野に帰りたいでさぁ。那智の滝に浸かりたいなぁ。」
まぁ、願い事を言ったところで、多岐都姫はイビキかいてるんだけど。
「神様のイビキとか、ひょっとして貴重な体験をしているのでは?」
うん、映像に撮っておいて、後で辱めに使おう。
「旦那様、出汁はなんにしましょう。鰹節・昆布・椎茸、あとアゴと潤目鰯とよりどりみどりですが。」
んー。俺は関東の出身だし、出汁といえば鰹なんだけど、この料理は塩味が基本だし(出汁駄洒落)、迂闊に出汁取ると雑炊になっちゃうからなあ。
「お餅お餅。膨らめお餅!」
サユリが七輪で焼いている餅は、一昨日餅米を蒸して、ちゃんと臼で突いたもの。
餅を餅として食う時は、突きたての柔らかいのがいいんだけど、食材とする場合は、少し日を改めて固くなった餅の方が好きな俺です。
まぁ一行は、突きたてきな粉餅を旨旨と食べて好評だったから、そのうち餅つきは我が家の行事として行おう。
「パパ、全部あったよー。」
「ヤンスー。」
春の七草なんか、どうせそこら辺の土手に生えてるから、我が家の空中部隊に上流下流に分かれて探して来て貰った。
蕪と大根は、近所の農家に快く(本当だぞ)わけて貰ったし。
ぶっちゃけ、ナズナなんか正体ぺんぺん草だし、ここらでも生えてるんだろうけど、何しろ人魚だの河童だのセイレーンだのを、ええと、12月19日からほっぽらかしにしてるから、すっかり干物になっててねー。
みんな身体から変な液が染み出してるし。
12日も放置すんのは不味かったかもしれない。久しぶりに出てきた深沙大将がまた乾涸びてるし。
まぁそんな川の周りの野草は食う気にならないから、ユカリと八咫烏に遠出してもらった訳だ。
「スズナとスズジロは普通のお野菜だから、最初から煮た方がいいのかしら。」
あぁ、別の鍋で煮た方がいい。野草の芯を微妙に残すタイミングと、大根が煮えるタイミングを合わせるのは面倒くさい。
「わかりました。」
あと、米は炊いたご飯にしなさい。
「え。鍋で炊くんじゃないんですか?」
粥だぞ粥。ご飯を煮るんだ。
「むう。わたくしにはご飯の扱い方がまだ不十分ですね。」
米ならサユリも炊けるから、そこら辺はお互い切磋琢磨して、美味しい食卓を作りなさい。
「私は鍋釜で適当に炊いてるだけなんだけどね。武者修行で米だけは良く貰えたから。」
「負けませんよ姉さん。」
「ジェニーに勝てるのは、お茶とお米だけだから、これは渡したくないなぁ。」
「……年明けたら、本当に七草粥を作り出しとる。」
おお、起きたか多岐都姫。
お節はあまり残ってないぞ。
「久しぶりに旨い酒を思い切り呑んで、後の記憶がさっぱり無いわい。どれ。…田作りと昆布の煮しめしか無いではないか?」
数の子と蒲鉾と伊達巻と栗きんとんなら、サユリとユカリがたちまち食べ尽くしたぞ。
「筑前煮が無いでは無いか!」
あれは俺の好物だから、当然俺が食い尽くしたな。二の膳は全部筑前煮だった。
「なんだか、◯ーカドーとか◯友で売ってる、一番安いお節みたいでしたけど。」
「うぅ、牛蒡と蓮根の煮付けが、鶏もも肉の煮付けが…。」
なんで一国の神様が、そう安めの料理ばかり好むんだよ。
なんならメンチカツとか、鶏皮の唐揚げとか作ってやろうか。
「本当か、ヌシ!」
目の色と顔色を変えた多岐都姫に押し倒された。
途端に冷たい金属音が走り、その音と同じくらい冷たい目をしたサユリが、竜骨刀の切先を多岐都姫に当てていた。
後方では、ジェニーが瞳孔が開きっぱなしの目をして指揮棒を構えている。
怖い怖い。
「怖いのは、儂じゃ!性欲ではなく食欲に興奮しただけなのに、殺されるかと思ったわい。」
殺すよ、面倒くさいもん?
「神を面倒くさいからって殺さないで下さい。お願いします。お主の仕事は神の願いを聞き届ける事であって、無闇矢鱈と強化した嫁御たちに神殺しさせる事ではあるまいごめんなさい。どんなに話がしっちゃかめっちゃかになろうと、最後の最後まで守ってきた設定じゃろうごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。たーすーけーてー!」
「ふぬ!」
鼻息をダンプカーの排気ガスみたいに両の穴から出すと、今度は音もなく刀をしまい、音楽魔法使いの目に光が戻ってきた。
「姉さん、おかずはどうしましょう。」
「ほら、蒲鉾と一緒に買ったおでん種があるでしょう。あれにしましょう。」
「お粥と合うかなぁ。」
「お汁を少し濃いめにして、芥子をたっぷりつけましょう。別皿で食べれば、お粥といい味わいになるわ。」
最近、少しずつ料理をするようになったサユリであった。
単に旨いものが食いたくて、口を挟むようになったので、俺とジェニーに叩き込まれているだけなんだけど。
「なんじゃお主の嫁御。本当に殺されるかと思ったわい。神をもビビらす殺気ってなんじゃい。」
ふむ、たぶんに成り立ちが精神体的な面がある神だからこそ、物理的にはたかが人間の、それも半人前の剣士と魔術師の殺気が効いたか。
これはもしかしたら、ラストに向けてフラグを立てたのかもしれない。
「神殺しのフラグだけは勘弁してください。」
どうでもいいけど、あんたやたらと謝ってたな。
「怖かったの。今まで沢山の魔王やら何やら相対して来たけど、一番身の危険を感じたの。」
どうでもいいけど、お前さんが酔い潰れて、やっと起きたってだけで、今回も5,000文字だぞ。作者の筋立てを無視して暴走したんだ。
おかげで3回ぐらい全く話が進まなくなってるから、みんなして飯作る描写ばかりしてるんだから、神として責任持って話を進めてくれ。
「うむ。こうする。」
多岐都姫はニッコリ笑うと両手を空高く突き上げた。
その背後から、巨大な水の壁が迫ってくる。
津波だ。
大津波だ。
先の事考えての事だろうなぁ!
何にも考えてなくて、「次回への引き」だけに無理矢理パニック状態に持ち込んだ訳じゃ無かろうな?そうだったら、本当に「神殺し」に話を切り替えるぞ(そっちの方が展開が面白そうだし)。
「面白そうだけで、殺さんでくりゃれええええええ。」
まぁ、今回はそれに乗っておこう。
俺たちは、津波に飲み込まれて行った。




