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第70話 1週間経ちました

はい、ちゅーもーく。

1週間経ちました。そろそろアイデア公表の時期でぇす。


「まさかリアルタイムで1週間経過させるとは思わなんだ。」

とは多岐都姫のお言葉。

忙しいんだよ。作者が。

真面目に社会人してるフリして、また新しい設定が思い付いたとかで、別の創作活動始めやがった。だからキャラクターの方から、物語を引っ張ってくれってさ。


「キャラクターが動き出すって話はよく聞くけど、勝手に動けと作者が命令することを作中で明言する描写はなかなか無いと思う。」

そろそろ俺たちも、背筋を伸ばさんとな。

終わらせるなら終わらせるで、きちんと形を作らんと。


さて、ラスボスをどうしようかと宿題を出したわけだけど。

ではまず、うちのお嫁さんから行ってみよう。


「慎吾様。舞台が日本と言う事で考えました。大百足とか酒呑童子とか土蜘蛛とかは如何でしょうか。」

おお!今昔物語や御伽草子の世界だな。ただなぁ、藤原秀郷とか源頼光とか、普通の人間が退治しちゃってるから、俺たちのラスボスとしては弱いなぁ。

「駄目ですかぁ。」しゅーん。

ああもう。剣士のくせして、意外とコイツ打たれ弱い。

仕方ないのでサユリをハグすると、あれあれ、俺の腕の中で真っ赤になってしまった。

 

「はいはーい。日本と言えばゴースト!幽霊!お化け!物怪!妖怪!わたくし、旦那様と旅するようになってから、旦那様の国の文化を学ぶため、色々な書籍を乱読しました。」 

自分で乱読いうな。でも実際、ジェニーは描写が無い時は、いつも俺のそばで静かに本を読んでいるんだよ。(サユリは初期設定通り素振りを欠かさない。)

俺の安らぎの最後の砦、ユカリでさえ、最近は楽屋に戻って昼寝してるのに。

「だって、せっかく婚約したのに、旦那様と離れる必要無いじゃないですか。わたくし達は常に旦那様のおそばに居ますから。」

この娘はこういう恥ずかしい事を、照れもしないで堂々と言う様になったな。

「やはり日本の代表的な怪談といえば。例えば四谷怪談とか、牡丹灯籠とかですかねぇ。」

でもそれは、鶴屋南北や三遊亭圓朝の創作だしなぁ。お岩さんは祟りがあるって有名だけど、実際は稲荷として神格化されていて、ただの伝説でしか無いらしい。

映画や芝居ではお参りに行かないと祟るとは、昔からの定番。こんな滅茶苦茶な「なろうラノベ」でも祟るのかなぁ。

あとジェニー。ゴーストならお前んとこが本番だろ。

お前も悲劇の女王として、処刑されたロンドン塔に出てきてそうだし。(調べたら、出てなかった。安らかに召されたらしい)

「あら、わたくしは幸せですよ。そっち時空のジェーン・グレイが悲劇で終わっても、旦那様時空のジェーン・秋津・グレイはどこまでも旦那様と共に歩くのです。」

と言いながら、ちゃっかりサユリとのハグに紛れ込んできた。

お前らなぁ。


「ユカリもパパの国のフィクションで考えました。そしたらほら、いるじゃない?世界的に有名なザ・キング・オブ・モンスターが。」

ゴ◯ラか?ゴ◯ラの事か?

一応候補に入れたんだけどさ、東宝怪獣って大体人間に倒されるか、怪獣に倒されるかのどっちかなんだよね。なので却下。

「日本と言えば怪獣なんだけどなぁ。」

そうは言うけど、このお話には既に海底軍艦とかマンダとか出て来たし。

…考えてみたら、マンダの飼い主ってムウ帝国なんだよな。危ない危ない。

「んじゃあ。◯メラとか大◯神とか。」

ここまで割と実名を出して来たから、今更伏せ字を使うのもあれだけど、残念、彼らは人間(特にちびっ子と美人)の味方で、正義の味方だ。

「むうう、怪獣路線は駄目かぁ。」

円谷系とかピープロ系もヒーローが倒せない時は、人間がちゃんと倒してるしさ。

怪獣系で強いて言えばうちのドラゴンちゃん…

「パパそれは止めよう。ユカリはまだ死にたくありません。」

あばばばばっとユカリは両手を振り回して、うちのドラゴンちゃんと言った言葉を掻き消した。

どれだけ怖いのよ。うちのドラゴンちゃん。


はい次。ピヨちゃん事、多岐都姫さん。

神様なんだから、なんかこう、すごい奴知ってるでしょ。

「日本神話最大の魔獣といえば、八岐大蛇じゃが。」

却下。うちのお嫁さんの使い魔じゃねぇか。

「だから、お主の嫁御がおかしいんじゃ。素戔嗚がやっと勝てた相手じゃぞ。アレも一応、儂の父にあたる奴じゃがの。」

しまったなぁ。迂闊にお嫁さんを強くし過ぎたか。

その本人というか、元蛇神元八岐大蛇現竜神は、さっさとお嫁さんの中に戻って寝ちったし。

「ラスボスが見当たらんからって、テキトーにどっかの神話から引っ張り出してくんなや。」


つうかさ、ワタリとして呼ばれたからにゃ、神様からなんらかの依頼があるはずだけど。

神様自体は醤油で煮つければ佃煮が出来る程ぞろぞろ出て来たのに、誰も俺に依頼しやがらねえぞ。

一応、それも物語の「引き」としての初期設定だった筈だ。

天照皇大神?一応なんか言ってだけど、結局なんもしないで天の岩戸の向こうで煎餅食って茶ぁ飲んでるだけだし。(考えてみたら、四谷怪談なんかより、よっぽど罰当たりな事書いてんじゃねぇか。)

ムーの白鯨はきちんと願いを聞いて叶えてやったけど、あいつ神様じゃねぇし。


んじゃ最後。八咫烏。

「うーん。あっしには何にも思い付かなくてねぇ。なんだろう?宇宙怪獣とか?」

あのなぁ。前章で宇宙人を殺し尽くしたばかりだぞ。それも神の力を借りず、人間3人だけで。

「でも一応、そんなに人間が直接退治してないんじゃないかなと。あ、ヤマ◯がガス生命体を恒星に誘き出して倒してたな。」

それ、採用。

「ヤマ◯を?確かにあの宇宙戦艦は無敵だけど。」

ちゃうちゃう。ガス生命体の方だ。

ありとあらゆるエネルギーを吸収して巨大化していく謎生物。確かにどう倒したら良いか、さっぱりわからんし。 

うむ。強敵としてはなかなかだ。

「貴方様に負ける気配が微塵も感じないんですが?」

ここまで無敵だった主人公チームが、1週間もかけてブレインストームして、やっと捻くり出したラスボスに負けてどうするよ。

ラストは主人公チーム総出の大決戦だ。


後は、神様の依頼をなんとかせんと。

それがなんとかなれば、この出鱈目な話を終わらせる事が出来る。


「終わりたく無いなあ。」

「ねぇ。」

終われば、静かに結婚生活が送れるぞ。

「そこなのよねぇ。フィクションのキャラクターとしてはやはり出番は欲しいし。」

「でも、旦那様との静かな生活も楽しみですよ。お姉さんがわたくし達の子供やお弟子さんを道場で稽古をつける声を聞きながら、わたくしはお洗濯をして、昼寝する旦那様を見てにっこりしたいですよ。」

「それはそれで、楽しみなんだけどね。」


ぱんぱん!

はいはい、決まり決まり。粗方のフォーマットも決まったし、いよいよ始めんぞ最終章。

シーン1、よーい。アクション!



さて。さっきまで俺達は因幡にいた様だけど。

ここは何処だ?今はいつだ?


とりあえず。

俺達はいつもの格好で道を歩く。

サユリは矢絣着物に紺袴。腰には妖刀にして神刀の竜骨刀。神刀になったのは、使役する蛇神が竜神に昇格さたから。竜骨とりあえず竜神が反応するらしい。


ユカリは、舞台となった日本に合わせて前合わせの着物。俺としっかり手を繋いでいる。

得物は無し。要らねえわな。なんだかんだでユカリも神様だから。

久しぶりの親娘の旅路だからか、ずっと表情を崩してる。

「えへへへへ。」


ジェニーは着慣れた金魚柄の白い着物に、朱帯。足元は何故かぽっくり。そんなん買ったっけ?

「ピヨちゃんさんに頂きました。赤い鼻緒と裏地が特別製とかで、いくら歩いても疲れないんですよ。」

「あ、良いなあ。私のブーツにはそんな機能無いのに。」

「でも、お姉さんのは旦那様の贈り物じゃないですか。」

「新婚2日目に貰いました。あの頃は、こんな亭主だとは思わなかったなぁ。」

遠い目をするな。

というか、あの頃はちゃんとファンタジーしてたのになぁ。しみじみ。


あ、ピヨちゃんはユカリの肩に、八咫烏は俺の肩に止まってます。久しぶりの俺達らしいフルコースの旅ですな。


フルコースらしく。

俺達の頭上に矢が大量に降ってくるし。

「あらまぁどうしましょう。」

「ユカリが吹き飛ばそうか。」

一応ね、最初の方に俺が持ってるスキルで対応する予定だけど、それじゃつまんないな。

しばし待たれよ。

なんかこう、痛快な展開を考えるから。

てなわけで、以下次回に続く。


「考えてみたら、わたくし以外全員が余裕で対処出来るピンチですね。」

そうなんだよ。ちっともピンチにならないから、かえって色々考えないといかんのよ。


さぁ、どうしようかな?

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