第68話 伏線回収
ハイハイ。終わり終わり。
あと一仕事したら帰るぞ。全員集合。
「8時?」
違います。
「あれさ、オンライン配信だと当時のCM以外、全部見れるのよねー。和田アキ子の若い事若い事。」
さて、ユカリさん。
「何?パパ。」
「あ、慎吾様に流された。」
「ツッコミ担当を決めないと、ボケを連発できてリズムが出てきますわよ。裸の銃を持つ◯なんて全編ギャグの応酬ですけど、誰も突っ込もうとしないので異様にスピーディーです。」
「でもさ、女の子としては慎吾様にツッコまれたいじゃん。」
「それは下ネタですね。」
「…パパ。おかーさん達をほっといていいの?あの様子じゃ多分ずっと遊んでるよ。」
差し当たり、嫁ーズの出番はしばらく無いからいいよ。あの2人を楽屋に戻しちゃ、裏で休んでるピヨちゃんと八咫烏に迷惑がかかるから手元に置いておこうよ。他人だけど家族なんだから。
「パパもおとーさんとして大変なんだね。」
うむ。
一応ダークファンタジーとしてスタートしたはずの今作が、何故かエロコメディ以下の怪作になっちったからなぁ。
だから、今作は最後までこれで押し通す事にした。
「今作?まさか次作もあるの?」
せっかく作ったワタリ設定だしな、追放、ざまぁ、もう遅い、なんでも出来ちゃうぞ。
「そして美少女剣士サユリが颯爽と登場ですね!」
「美少女魔道士ジェーン・グレイもいます。」
一応、お前らと添い遂げたあとの話として考えてる。
「そんなぁ。」
「あら、でも。それはわたくしとも添い遂げて下さるという訳ですね。プロポーズですわね。受けますわ。YESです。今すぐに式をあげましょう。」
「ジェニーそれはずるい。私だって式をあげてないのに。三々九度もまだなのに。」
「わたくしはやはり純白のドレスを希望します。」
だから、俺は恋人として関わった女はみんな幸せにしてやってるってぇの。
…裏切らない限りは…
「怖い怖い。慎吾様、私は裏切ったりしませんよう。」
「というかですね。旦那様を裏切るって、どれほどの代償があったんですか?」
まぁ色々とな。そこら辺は次回作のネタに流用するつもりだ。
「それじゃ、私達読めないじゃん。」
寝物語にでも語ってやるよ。
「あの、全員集合させましたが。」
おや、白鯨さん。お元気ですか?
「またしばらく更新がなかったからお忘れかと思いますが、元気です。というか、前回の決戦からまだ数分しか経過しておりません。」
うん、なんとか10月中には更新して最終章に入りたいね。この駄文、章を区切ってないけど。
「とにかく!兎に角ですね。」
「兎に角って漢字は夏目漱石が作ったんでしたっけ?」
うんにゃ。夏目漱石は多様しただけで、当て字としては平安時代からあったよ。
馬鹿を莫迦と書くのもそうだな。
「莫迦は新井素子が元祖かと思ってました。」
今の若いラノベ読者に新井素子を知っている人、何人いるかねぇ。
「ラノベの元祖みたいな人ですね。」
どうだろう?平井和正の超革中の方が遥かに前だし。
「あれのモデルになった人、ほとんど故人になってしまいましたねぇ。」
鏡明は健在だけどね。
「わたくし、その人の著作を読んだ事ありません。横田順彌さんと凸凹コンビだったのは知ってますけど。」
世間的には、ハチャハチャのヨコジュンの方が名前が知られたかもなぁ。
「パパ、話が猛烈にズレてます。」
あぁ、もうどうでもいいのさ。それにこんなビブリア話になると、うちのお嫁さんがちっとも入ってこないのが悲しいなぁ。
「失礼な!私だって読んでます。五輪書とか。」
数世紀後の宮本武蔵に倣う我が弟子かぁ。
「だって、コバルト文庫って甘ったるい話ばかりなんだもん。」
「因みに莫迦はサンスクリット語だよ。馬鹿は秦の趙高のエピソードからだね。」
おうユカリさん。さすがは我が娘。
「はいはい!ビブリアは聖書、バイブルの語源でーす。わたくし自分の設定を忘れていましたがプロテスタントなので、自明の理でした。」
そりゃ毎回無駄話しかしてなかったら、イギリスの金髪娘ジェニーちゃん以外のパーソナリティ無くすよなぁ。
「楽しいから、いいですよ。」
いいんだ。
「はい。幸せですよ。」
なら、良いんだ。
「あのぅ。」
あぁはいはい。また脱線したな。
今回は出来事を一つしか用意してないんだ。題名通り伏線回収したら、現代に戻って次回に続く。ちゃっちゃと片付けて、次章の組み立てをしないといけないのに、またいつもが始まっちった。
「お願いしますよ。ここにはムーの民が全員集まっているんですから。その数、おおよそ2,000万人。」
匹じゃなくて?蜥蜴だし。
「人!です。ヒト、ニンですニン。」
「ニンニン!」
「ファミコン版のBGMは天国と地獄でしたわね。」
「ああ、運動会でお馴染みの。」
「ハヤブサヒデトの映画でも主題歌として使ってましたね。」
ジェニーは大都映画を知ってるとか言うんじゃ無いだろうな。
「失礼な。快傑ハヤブサは松竹です!」
「ねぇ。パパまで話に乗ったら話が進みようがないよう。」
お?それは駄洒落だな。大怪我級の。
「単なるおかーさんの真似なんだけど。」
「あのあの。これでは本当に10月中に更新出来ませんよ?」
さっき、巫女さんの話が更新されてたよ。作者はあっちに力入れてるし。意味不明な主人公無双が始まって、俺も更新楽しみにしてんだ。
「慎吾様、宣伝ですか?」
「そんなあやふやなキーワードだけで辿り着いたら奇跡ですわね。」
ん?ジェニー、語尾変えた?
「キャラ作りです。」
今更あ?
なんだ白鯨。人の袖を引っ張るな。
「いやいやいやいや、あなた様は作者を突き回す役でしょ。こっちを書いて貰えないと、いつまで経っても終わりませんよ。」
「私達的には次回作に出演出来ないらしいから、いつまでも無駄話をダラダラ続けていたいんだけど?」
「「ねー」」
「あの、因みにユカリの出番はあるの?」
んー。うちのドラゴンちゃん並みに強くなってくれたらな。
ドラゴン二頭を率いた俺が、剣と魔法の世界の軍隊相手に大暴れする場面とか、俺もやってみたいし。
強大な白◯彗星帝国相手に、旧式戦艦がたった一隻で地球を背に◯スモタイガーを率いて立ち塞がるシーンとか燃えたしな。
「呼んだか?我が主。」
という訳で、我が右翼を務めるドラゴンちゃん到着。
遅えぞ。お前が来ないならユカリ1人で始めるとこだったぞ。
「こんな時間も空間も捻じ曲がったところに居たらわからねえっての。お主の匂いを辿るのに2週間掛かったわ。」
それは具体的な執筆時間じゃねぇか。
「大体ユカリ1人でやらせるだぁ?まだまだだと思うぞ。」
「お姉様怖いです怖い。」
「まぁいいわ。ユカリだけにやらせようとしてたって事は、あたしら龍にだけ用があるんだな。」
ああ一つ言い忘れてた。俺たちのパーティから下級の龍が生まれた。
「む?お主とうとうユカリに手をつけたか!」
「怖い怖い、お姉様圧かけないで。」
ユカリじゃないよ。龍に手を出すのはお前だけ。そう決めてるし、なんなら契約しようか?
「むう、それはそれで、ユカリが軽く扱われといるみたいで嫌だなぁ。」
「お姉様、どっちなの?」
「龍は仲間を守る。仲間を大切にする。それだけの事だ。ましてや逆鱗を超えた古龍なぞ何百年ぶりかわからん。我が主が我が妹を大切な家族とするなら、お前はあたしの家族だ。たまには我が主と褥を共にする事も許そうぞ。ただ、我が主にはもう1人嫁が出来た様だが?」
「はい。我が旦那様の御使にして、高貴なるエンシェントドラゴン様。わたくし、元イギリス女王、ジェーン・グレイは、わたくしの愛する秋津慎吾様より正式なプロポーズを賜りまして、第二夫人である事を認められましてございます。」
「あ、また忘れてた。私の名前は秋津サユリだった。忘れない様にしないと。」
「…あっちの間抜けな正妻は傍に置いといて、おい第二夫人、お主“元“イギリス女王でいいんか?王座を捨てていいんか?」
「正式には4年後に就任予定らしいですから、元でもなんでもないんですが、何せこの物語中ずっとイギリス女王扱いされて参りましたので。」
「いや、宗教的に大丈夫なのかと。お主、さっきプロテスタントと言っておったろ?」
「何をおっしゃいます。見て下さい。わたくしの周りには我が姉たるサユリ様以外、神様ばっかです。旦那様の周りで石を投げたら神様に当たります。なんだそりゃ、と。だったら、わたくしの愛する旦那様が神様オブジイヤー、いや神様オブ神様でいいじゃないですか。」
お前今、懐かしのぱにぽにからギャグ引っ張って来たな?
「気のせいですわ旦那様。」
「まぁ確かに、龍神に、日本神に、蛇神と揃ってやがるし。………。お前誰だ!」
「その蛇神でございます。」
「龍、いや竜になってんじゃねぇか。」
「私の主が人間離れするほど強くなったので、その力がフィードバックしまして。知らないうちに蛇から竜に進化してました。」
「ならいい。」
「宜しいので?」
「我が主のやる事にいちいち疑問に思ってたら身が保たん。我が主の嫁に悪影響が無ければ、それで良し。」
「一応、こいつは八岐大蛇系統ゆえ、我が一門扱いにするが良いか?」
ああ、ピヨちゃん、つうか多岐都姫。せっかく楽屋で休ませていたのに。
まぁ尻尾から草薙の剣が出てきたし、日本神話系っちゃあ間違いではないか。
「我が主が認めてるからいいよ。」
軽いな、おい。
「あのあのあのあのあのあのあのあのあのあのあのあのあのあのね。」
やや、白鯨が壊れた。
「当たり前です。全国民を集めさせて何を始めるかといえば、プロポーズやら、神様がまだ増えるなら、挙げ句の果てに神族会議とか。出来事を一つしか用意していないとか言って、もう4,000文字ですよ。なんなんですかあなた達。」
ん〜?1話5,000文字費やして話がひとつも先に進まないとか、年がら年中だぞ。俺たち。
「ウキー!」
あ、白鯨が本格的に壊れた。
まぁこのままだと、本当に来月になっちゃうから先に進めるか。
多岐都姫、来たなら来たで役に立ってもらうぞ。
「なんなりと。」
簡単な事だ。これからうちのドラゴンちゃんとユカリがする事を追認してくれりゃあいい。
うちのドラゴンちゃんがどれだけ強かろうと、神格からすれば天照皇大神が娘・多岐都姫の方が圧倒的に高い。
“俺の命令“でやらかす“悪巧み“を多岐都姫の名に於いて祝福してくれればいい。
「妾はワタリに頼まれれば断れんよ。だが、それ以上に、お主は妾には旅の仲間であり、ピヨの名付け親であり、ピヨの飼い主じゃ。お主との縁により断らん。」
OK。よし、ドラゴンちゃん、ユカリ。来い。
「何するのパパ?」
「我が妹よ、上を見て今回の副題を読み返すがよい。」
「えーと。凄いな、遠くて霞んで見にくいや、今回もこれだけ無駄話して、やっと本題に入ったの?」
今回も4,300字も遊んでたんだよ。
「伏線回収。伏線なんか張ってたっけ?この話、そんな真面目な事してたんだ。」
というか、最初の頃は真面目に異世界ファンタジーしてたのが、世界まるごとハウマッチ魔王退治旅に変わったからなぁ。ファンタジー時代の矛盾がほったらかしになってるだろ。
「この物語で矛盾を突き出したらキリが無いけど、一個あったね。なんとかしないといけないの。」
そう言う訳だ。
「あと、今何かギャグ混ぜなかった?」
気のせいですよユカリさん。
蛇神がたかだか人間(お嫁さん)の力で竜に進化した。ならば、ただの蜥蜴人を龍神の力を持ってすればどうなると思う?
「なるほど、そう言う事か。パパにお嫁さんがあと2人増えるんだね。」
…あーそうだったなぁ。
もう忘れててくれてないかなぁ。
「ふははは。往生際が悪いぞ我が主。嫁子2人と儂と、ついでにユカリあたりと夜の一戦交えても、どうせコールド勝ちする男が何を言ってる。諦めい!」
はいはい。んじゃ、やってくれ。
「わかった。ではユカリ行くぞ。」
「お姉様、何をしたら良いの?」
「息吹だ。腹の底から龍の息吹を蜥蜴どもに食らわすと良い。我が一族、我が僕となるがよい、と念じてな。」
「わかった。」
その瞬間、白鯨は吹き飛ばされ、近くの壁に激突した。薄れ行く意識の中で、ムーの導き手として「作られた」彼女は見た。
あり得ない筈の奇跡を。
彼女が出来ればと、望んでいた未来を。
龍の最高峰たる存在、エンシェントドラゴンの更に上を征く、逆鱗の封印を乗り越えた2頭の、いや2柱が齎す奇跡を。
「これは一体なんなの?」
「聖なる圧力を感じます。もの凄い力です。」
「お主ら、こちらへ来るんじゃ。いくらワタリ様の奥方とはいえ、まともに食らったら宜しく無いわ。」
「あっしが面の結界を張りますから、多岐都姫様はお2人を。」
「言うまでもない。八咫烏。前方は任した。」
「ガッテン承知!」
ムーの世界に嵐が吹き荒れる。
だが、蜥蜴達は自らの足で乱れる事無く立っていた。彼ら全員、2人の龍から視線を逸らす事が出来なかったのだ。
蜥蜴にとって、例え高度な知能と文明を築き上げたとて、爬虫類最強の生物は「ドラゴン」。畏怖の対象であり、憧れの対象でもある。
そんな存在が、神として、我らの私達の前に降臨した。降臨して下さった。
ありがたい。
ありがたい。
ありがたい。
ありがたい。
1人、また1人と蜥蜴人達は地に膝をつき、静かに祈りを捧げ出した。
やがて。
全員が跪き、祈りの声が響く。
キョキョキョキョキョ
キョキョキョキョキョ
きょきょきょきょきょ
きょきょきょきょきょ
ありがとうございます
あなた様のお力で私達は救われました
我らはあなた様に全てを捧げます
蜥蜴の鳴き声は、やがて人語となり。
蜥蜴の四つ足はしっかりと2本の足で大地を踏み締め。
矮躯な身体は背筋が伸ばされ。
そこに立つは竜の人。
すなわち竜人。
蜥蜴人が建国し、蜥蜴人が育ち上げ、宇宙人wによって滅亡しかけたムーは。
新たに竜人の国として生まれ変わる事となる。




