第55話 スーパーロボット大戦
「ゴッドバードチェインジ!」
大西洋に響き渡るユカリさんの、可愛い神谷明の真似。いや、少しは真似なさい、あと◯を付けるとか隠しなさい。
そのまんまじゃないか。
前回の姿は矢絣紺袴姿で鯉口をかちゃかちゃさせ始めたおかーさんを乗せた、大正桜に浪漫の嵐風ドラゴンライダーの筈だったのに。
なんか羽根でお嫁さんを包み込んで、全体的にシャープな餃子風フォルムに変形してる。
ドラゴンって変形出来たんだ。
「そりゃ、ユカリの姿にもなれるんだから、ロボ的仮装も簡単だよ。」
羽根を変形させちゃったから、龍の謎パワーでホバリングしているユカリさんが隣にやって来た。
「あと、謎パワーってテキトー過ぎます。」
俺はワタリの出鱈目パワーで好き勝手してるけど、うちのドラゴンちゃん見てても、エンシェントドラゴンの限界ってわかんないんだもん。わりかしやりたい事はやれるみたいだけど。
「呼んだか。我が主。」
海からうちのドラゴンちゃんがひょっこり顔を出して来たよ。
何処からでもひょいひょい顔を出す人だね。何年か前に、それだけを一発芸にしたランニングを来たタレントいたなぁ。あいつ今何してんだろう。
あと、ドラゴンちゃん、セイレーンちゃんで遊んでたんじゃないの?
「いや刺したまま刺した周りを舐めて舐めて舐めまくっていたら逝き過ぎて失神し過ぎて、最後には発狂してもうた。でもさすがはモンスターじゃの。少し気を与えたらすぐに正気に戻りおった。それどころか逆襲して来たので、とりあえずアタシが満足するまで攻めさせて、お返しに主直伝の緊縛3本差しぬるぬるドラム缶風呂に釣ら下げて、色々入れたり出したり強にしたり弱にしたり、なんなら二度と発狂出来ない様に精神力強化の刑に処してしばらく放置と決めたとこだ。あれは全身快楽の嵐じゃて凄い声上げてたぞ。」
セイレーンをあげたさっきから大した時間経って無かろうもん。
「…凄いですね。」
「ん?あんたは正夫人の方だな。旦那が本気になったら、古龍のアタシでも、ひとたまりもなったからな。そおっと可愛がって貰え。そおっと。」
「3本刺し異世界滅ぼしちゃった事例を、前回聞いたばかりですよう。」
「おう!あれはあれで、女に産まれて良かったぞ。良かった探しの頂点だ。」
「ポリアンナですか!」
「あの頃の世界名作劇場って、真っ暗なお話の連続ですよね。日曜の晩に、明日から学校だというのに、子供達は喜んだのでしょうか?」
あのあたりは原作がアメリカものばかりだったから、英国女王ジェニー的にはオカンムリかな。
「わたくしは10チャンの、ヒントでピントを見てたので。こう目を細めて。モザイクを透かす様に。」
いよいよ、16世紀の悲劇の初代イギリス女王、ジェーン・グレイ設定すらぶち壊し始めやがりまくりますか。
あと、ジェニーは自分のを見れば良いでしょ。モザイクの下はジェニーのジェニーだよ。
「ニホンジンのも見たいじゃないですか。」
「私のは見してやんない。」
「って奥様に断られてしまったので。」
君達、女同士で何やってんの?
「なので。」
何?ドラゴンちゃん。
「性的にはとりあえず満足したから、破壊衝動を解消しようと思ってな。」
まあ、君は本来そういう存在だしね。
「考えてみたら、あのモスクワっぽい何処かを高笑いしながら破壊しまくって以降、何十話経過したかもわからんが。」
前の章を読み返して数えればわかるよ。
「アタシの指は10本しか無いからな。」
算数が残念な、本来ならば龍神とも目される筈のドラゴンちゃんだった。
「しかもその間、ひたすら女の子を舐っていただけだし。」
…それになんかご不満な事でも?
「ない!世にあまねく女の子を片っ端から逝かせる事はアタシの生き甲斐だからな!」
言い切りやがった。
「そして暴れる事はアタシの本能だ。という訳で主もアタシの背中に乗れ!アタシもアレしたい!」
ゴッドバードを?
「いや、科学忍法火の鳥の方を。」
「あ、それポリアンナの1時間前の番組ですよね。」
なんで室町末期の百姓娘が、日曜夜のフジテレビ番組表に詳しいんだよ。
てか、俺、燃えんの嫌です。
「ガッチャマンも苦しがっていたろ。主のあの顔が見てみたい。」
お前はSなんだかMなんだか、ハッキリさせなさい。
「我が主の前では全てを受け入れるM!どM!我がご飯には徹底的にどS。泣いても笑っても女の本性と本能と裸を剥き出しにするスーパーロボットマッハM!」
海上にて力道山ポーズで立ち尽くすドラゴンちゃんだった。
…というか、何故全裸?
「そりゃ今さっきまで、セイレーンとくんずほぐれつしてたから。」
セイレーンのセイって、漢字でも変換出来そうな気がしてきた。
んまぁ、どっちにしても非戦闘員がいるから
俺はジェニーから離れる気はないよ。
「まぁまぁ。感激です。今すぐ抱いて下さい。いっぱい愛して下さい。」
「「いいなぁ。」」
海の上の、フロートと羽根とドリルがついた、もはや元がなんだかわからないセクちゃん車の屋根で寝転がるお姫様とか。
ユカリさんゴッドバード形態・背中から首だけ生えてるお嫁さんとか、知らんうちに全裸で背泳ぎ始めたドラゴンちゃんとか。
相変わらず暴れたい放題の一行なのです。
相変わらず丸見えだよ!ドラゴンちゃん。
「人を子供番組の副題みたいに言うな。」
あれれ?丸見えなところが赤く腫れてないか。
「おう。あの野郎ガシガシ出し入れしやりやがったからな。我が主以外にあんな激しい真似する奴いなかったし、思わずやらせっぱなしで楽しんじゃったの。」
たのって。
「お返しに弱電流流して知覚過敏にしてやったわい。攻め返したら腰を抜かして、ずっと全身ビクビクさせてた。可愛いのう。」
そりゃ、セイレーンちゃんも目に光が無くなるよね。
『あの〜』
また忘れてた。海坊主がすぐそこに迫って…「ゴッドバードアタークッ。」
あぁ、サユリユカリライディーンが海坊主の一体を体当たりで貫いてるよ。
もうお嫁さんが剣士とか関係無くなって来たじゃん。
一応、親娘ドラゴンライダーとして、スタージンガーのアストロ棒的な展開を考えていたのに。
「んじゃ、アタシは。」
背泳ぎ全裸ドラゴン姉ちゃんは、そのまま波濤を撒き散らして海上に飛び上がる。
全身が赤い。そのまんまレッドバロンの出撃シーンや。
「さっきも言った通り、アタシ的にはマッハバロンや!」
知らんがな。
どっちにしても朱色いロボット風の全裸姐さんは、そのまま空高く飛び上がり。
火の鳥として降下して来た。
「科学忍法!火の鳥!」
わざわざ一番デカい海坊主の土手っ腹に突入して、海坊主を粉々にしてしまった。
再び舞い上がった空中で勝利の雄叫びをあげている。…アニメの方もそうだったけど、それ雉の鳴き声みたいだね。
「アタシの鳴き声はアンタが一番聞いとるだろうが。」
そう言えば、しばらく聞いてないな。
「セイレーンに飽きたら沢山相手してくれ。主の攻めにアタシは鳴きたい。でもあれでまだ遊び足りないから。」
わかったよ。
「アレ、いいな真似しよっかな。火の鳥。」
ユカリさん、おかーさんが燃えちゃうからやめなさい。
という訳で、あとアンタ一体やで。
『わしら仮にもボスキャラ設定ならば、もう少しだな。苦戦するとか、わしらの見せ場を作るとか』
そう言ってもなぁ。今まで何体か魔王とその愉快な仲間たちと対戦してきたけど。
お前ら悉く弱えし。
俺やドラゴン組ならともかく、うちの嫁にすら人海戦術でも通用しなくなってんだよ。
『あんたはんの嫁はん、そろそろ人間の範疇を超えて来てまへんか?』
うちのはまぁ、多分お前らより強い蛇神を使役しているから、ショッカーの怪人くらいならほっぽらかしといても、ニコニコ笑って切り刻むよ。
『そんな15歳何処におりますねん。』
というかなぁ。今回は、ジェニーがタイタニックの楽団とタンホイザー行進曲を歌う事で一同のステータスアップを図る予定だったんだ。なのに、お前らは3話かけても襲って来ねえし。
「私達がダラダラ無駄話してたからだと思う。海坊主さんごめんなさい。」
「というか、歌で皆さんを支援するって言うのは、途中で決まった設定とはいえ、わたくしの大切な出番だった筈じゃないですか!」
途中で決まった設定とかバラすなや。
『いやいや、うちのセイレーンが無意味に主張し始めたのも悪い。しかも、そこなる古龍に反抗したとか』
「道具ありとはいえ、女に攻められる経験なんか滅多にないから、アタシ的には問題なし!むしろ気持ち良かったからもっとやれ!」
…うちのパーティに話を積極的に進めようとするメンバーが1人も居ないんだからしゃんあんめい。
たまにユカリさんとかピヨちゃんが正気に戻るけど、大抵一緒にふざけ出すからな。
「今回は反論出来ません。海より深く反省します。」
「ピヨ」
『で?どうしましょう?』
んー?一応主人公な俺がなんもしないわけにもいくまいて。
てなわけで、アンタも倒します。
『そうなんのね』
ほれ、セクサロイド車ちゃん。やるぞ。
「やるのぉ。あれ力使うから面倒なのよね。」
アクロバンチ方式、もしくはバクシンガー方式で。トランスフォーム!
「パパ言っちゃった。」
「というか、どちらも国際映画社よね。」
「山本監督はメカが合体すると何故か質量が増えて巨大化する作品好きよねー。」
だから、倒産した会社をもう少しオブラートに包みなさい。嫁ーズ達よ。
「んで旦那はん。どうしますのん?」
ライディーン、レッドバロン、マッハバロンと来てるからなぁ。
「途中、ガッチャマンが混じりましたけど。」
うちのドラゴンちゃんは一応ゾフィーとかキングの役割なんだよ。少なくともユカリやサユリよりも圧倒的に強いから。なので今まで戦闘には参加させてなかったのに、暴れたいからって初期設定無視して乱入してくるとは思わなかった。だから、今回もなかった事に出来ませんかねぇ。
「そうは言うが、そう言う切り札的存在って、例えばラスボスとかの前では噛ませ犬になる事が多いから、アタシはそんなんやだぞ。」
まぁ、ゾフィーもキングも先頭切って戦う姿は多分見た事無いしなあ。
うん、副題も副題だし、日曜がキーワードになってた(想定外)回だし。
ガッチャマンとポリアンナの間、日曜夜7時から。
「マジンガーはこないだボスで使っちゃったね。」
グレートでもいいけど、フランスで視聴率100%を叩き出したアレが手付かずでしょう。
「あ、アレね。」
と言う訳で。円盤型に変形させた車から上半身を出して、60000度の熱線を海坊主にお見舞いしよう。
スペースサンダー!!!!
『わぁやられたあ』
呑気な断末魔を上げながら、最後の海坊主は大西洋の藻屑と消えていった。
こうして俺達はヨーロッパでの戦いを終え、次の戦いに向け英気を養うのであった。
ヨーロッパ編 かん。
「慎吾様、かんじゃないでしょかんじゃ。こんだけ話をぐじゃぐじゃにしちゃって。」
「ねぇパパ。海が煮えてんだけど。」
魚が食べ放題でいいじゃん。塩煮だから料理しなくていいし。
「なんでサンダーなのに熱線なんでしょね?」
「「「「気になるのそこ?」」」」
鉤括弧の数からして、うちのドラゴンちゃんにまで突っ込まれたジェニーちゃんでした。
…本当に話が終わらなくなってきたなぁ。
「というか、エンドマーク出した後でもダラダラ喋ってる私達って。」
真面目な商業出版の高橋留美子本でいつまで読んでも読み終わらない後書きと解説を書いた、平井和正って言う大先輩がいるから、大した事ないよ。