第54話 海坊主DX(ビックワンガム的な)
さてさて、特別ゲストの船員さんとセイレーンさんでしたぁ。はい、拍手~!
パチパチパチパチ
「拍手はいいですけど。思わず乗っちゃいましたけど。」
みんなノリは良くなっだよね。
「これも旦那様の調教の証なのかしら。」
「ジェニーがそれで良いんだったら、それで良いんじゃない。」
「はい、良いです。」
「良いんだ。」
「…ねぇパパ。奥さんとお妾さんの教育は、あれで良いの?回を追う毎にどんどん酷くなっているけど?」
俺の背中にまとわりつくユカリさんが、なんだか可哀想なジト目な声をだしてる。
でもね君を含めて、うちの女性陣、誰も俺の言う事なんか聞いてくんないじゃん。なぁ八咫くん。
「クワ」
「ひょっとしてパパって、みんなに虐げられてる?」
引く時はきちんと丁寧に引ける事が、夫婦仲を長持ちさせる秘訣です。
「パパの場合、色々手管を使ってれば全てOKな感じ?」
それだけの女なら、最初から受け入れないから。
「ピヨ(アダルティー!)」
だからピヨちゃん、それ禁止。恥ずかしいセリフ禁止!ピシッと。
「ピヨ」
こら!指先を舐めるなぁ。小鳥のやる事じゃねぇ〜!
「ところで慎吾様?一つお聞きしない事がございます。」
何かな?
「この船、傾いてません?」
そりゃあね。船の下に海坊主いるし。この船沈没でお馴染みのタイタニック号だし。
「海坊主さんは、まだあそこの沖に居ますけど。」
別に海坊主が1匹しかいないとは限るまい?
「限るまいって。普通ボスキャラは1人で、あとはせいぜいお付きの助さん角さんが左右にいるくらいじゃないんですか?回復役的な奴。MOTHERシリーズだとボスの裏に隠れてて見えない奴。」
「でもボスキャラが1人とか、別に決まりは無いと思いますよ。」
「そこら辺は、やはり様式美というか。」
「ほら、ショッカーライダーは最後まとめて6人出てきましたし。2対6でしたよ。モニターの面積殆どライダーばっかりで占められてました。」
「だからかしらね。ゴレンジャー以降、5人で機関車仮面とかに集団暴行するようになるのは。」
「奥様大丈夫です。キャプターなんか7人居ましたから。」
「ダイラガーなんかは15台出て来ましたよ。」
「あれは合体して1体になるから大丈夫。」
…やっぱりあの2人、偏差値下がってないかな。
「IQもね。聞いてるだけで、私のIQがメリメリ下がってくもん。」
俺、別にメ◯パニとか、ぱにぽにとか、混乱する呪文なんかかけてないよ。
「パパの悪影響だと思うけど。」
いやいや、ゆかりん。
「ゆ、ゆかりん?」
忍者キャプターとか、俺の子供の頃の男の子向け番組で、俺でさえろくすっぽ覚えてないのに、何故ローティーンな少女達が熱く語り合っているのよ?
「パパの大体の実年齢がわかったなり。」
別に隠して無いなり。
それじゃあ、止めに入るか。
なんか関わりたくないかも。
「パパ頑張るなり。」
はああ、やれやれ。
大丈夫大丈夫って、君達沈み行く船で何言ってんの?
ほら、船首の方から色んなのが転がってきた。
コンテナとか、救命ボートとか、操舵輪とか。
「何か流れてきちゃいけないものが混じっているなり。」
「燕尾服来て山高帽子被ってステッキ持ってる喜劇役者とか。」
「あ、その方。わたくしの国出身ですよ。」
樽とか、ゴリラとか、赤い帽子被った水道屋とか。
「随分と著名人が転がっていきますけど、助けないで良いんですか?」
ん?ジェニーはチャールズ君を助けたいの?
「あいつ、わたくしの国を捨ててアメリカに移民しますから、ほっときましょう。」
以外と厳しい初代英国女王(仮)だった。
あ、さっきの船員が悲鳴をあげて滑ってった。イチダントアールみたい。
「あの方、さっき見た前屈みになってましたけど、気持ちよくなりましたかね?」
この後に及んで下ネタの回収ですかい。
「前回のは、別にフリでも伏線でもなかったんですよ。というか、あの人前回はきちんとセリフがあったのに、今回は悲鳴の一言で描写終わりですが。」
だからあいつは船員Aなの。まだ若手の劇団員なの。アチャラカなら由利徹か三木のり平が面白がって、率先して演じ出すだろうね。アドリブ満載で、ちっとも話が進まない俺達みたいな喜劇を。
「慎吾様、我が国を代表する髭の小男が、まんまみーやって言ってますが。」
ドンキーさんと樽投げて遊んでるからいいでしょ。ピーチなひめとか居ないみたいだし。
「初期の関係性ですね。ゲームウォッチ的な。ゲーセン的な。」
あ、マストでレッドな悪魔が狙ってる。
「慎吾様。それ、会社が違います。」
「課長が大苦戦したやつね。車の中で練習してて車酔いしてたのには笑いました。」
てな感じで、俺達の背景では色んな人やキャラクターが海に転がり落ちているんだけど、俺達はどうすっかね。あ、こっそりドリフが流れて行った。そんなセットあったなぁ。
「遊んでいるうちに、タイタニック号が直立してますけど。」
「直角に真横に立ってるわたくし達もわたくし達ですけどね。どんな絡繰でこうなっているのでしょうかね。旦那様?」
そりゃまぁ、俺は重力くらいなら普通に操れるから。
「重力制御なんて超未来のスペースオペラにしか出てこないのに普通ですか?」
「おかーさんって時々言ってる事が常識的になるよね。」
「現実が非常識なんだから、アンチテーゼを唱えないと、慎吾様が調子に乗りますから。あと私達が本当に偏差値2になります。」
「それゴルゴなり。」
ん?俺はいつも調子に乗りっぱなしだよ。
ネタバラシしたら、単に重力魔神の力を借りてるだけだから。
「ところで先程のボスキャラ複数問題ですが。」
振袖が垂直に対して真横になっている姿も珍しいな。重力は横に向けてあるはずなのに袖が落ちてるとか、最初から設計されてないだろうし。あと金髪イギリス人と、海に合わせた藍色の着物がこんなに似合っているとは思わなんだ。
「わたくし的には、そろそろ留袖をプレゼントしてもらいたいなぁ。」
別に構わないけど、君まだ12歳だし。
「12歳の幼い身体を開発しまくっているくせに。」
「いっぱい開発されました。脇腹を旦那様の指でさわさわされると、ちゅーされると頭が真っ白になる事になる事を、こないだ知りました。まさかそのまま朝まで寝ちゃうとは。」
ん?ジェニーはまだまだ未発達・未開発だぞ。幼い身体にそうそう無理はさせらんないし。
「わたくしはさっさと全てを受け入れたいんですが。」
「おやまぁ?ジェニーにはとっても優しいんですね?」
お嫁さんは波が好きじゃん。激しかったり凪だったり。優しいだけにしよか?
「結構です。その変化が堪らないんだから。」」
「いいなぁ奥様。わたくしも15歳になれば良いのかな。虐めてくれるかな。」
「足ピーンとなって、そのまま指ごと攣った時はびっくりしたわ。痛くて気持ち良くて、自分の感覚が整理出来なかった。でも、あれはあれで。」
「パパ、あの2人をそろそろ、本当になんとかしたほうがいいと思うの。」
ユカリさんが羽根だけ出してふわふわ浮いてる。羽根だけ爬虫類なのは残念だね。
「あ、そういえばボスキャラ複数問題がどっか行っちゃってました。」
沈没寸前のタイタニック号でも、相変わらずの脱線ぶりだね。
水木御大のイラストなんかでも、大中心3体の海坊主が並んでいる事が多いんだよ。
だから、三位一体だと思えば良いのかな。
「わたくしの信仰だと、三位一体はキリスト教では結構大切なお言葉なんですけど。」
ジェニーは重力制御されているとはいえ、そろそろ体幹バランスを取るのに飽きて(飽きんなや)俺にお姫様抱っこされてないる。
「わたくしお姫様ですから。」
そうでしたね。俺もよくよく忘れます。
「わたくしも。」
「駄目じゃん。」
ユカリさんは龍化して、背中におかーさんを乗せている。ハイカラさんのドラゴンライダーがまかり通る?
「まかり通るのはコータローさんでは?」
「ああ、この間亡くなられた。」
「それはおもいっきりテレビの初代司会者の人です。」
「2代目は水道屋さんでした。」
また出て来ましたよ水道屋さん。…水道屋って結構マルチ?
「おかーさんは私が背中に乗せるけど、パパとお妾さんはどうしよう。パパなら飛べそうだけど。」
重力魔神に頼めば空くらい飛べるよ。君と出逢った
「慎吾様、その先はNGです。」
はい。
「お姉様にお願いする?」
んん?ちょっと覗いてみたら、さっきのセイレーンにブッ刺してる最中だった。
俺に気がつかないくらい夢中だから、邪魔しちゃ可哀想だ。
「どこを覗いたのよ。」
「それよりブッ刺すって。ユカリ様って生えてるの?」
「失礼な。ユカリは立派な雌です。」
ああ、昔ちょっと玩具をあげたから。ウィーンって、地名じゃなくて音がする玩具。
シングル仕様と双頭ダブル仕様の2本。
「……女の子大好きなお姉様に渡して良かったんですかね、それ。」
涎垂らしたままのセイレーンさんの目から光が消えかかっていたから、有意義な使用をしているんでしょう。
その昔、逆に俺に使おうとした時は、太普細の3本をそれぞれ3ヶ所の穴に差し込んだまま縛り上げて、3日3晩異世界に閉じ籠めて放置してたら、最後は泣きながら土下座して来たなぁ。あれ以降、完全に俺に従う様になった。…Mっ気が滅茶苦茶増したのと、閉じ籠めといた異世界が滅亡したりしたけど。
「駄目じゃん。お姉様ならやりかねないけどさ。」
つうか、快感でのたうち回っているうちに、龍化巨大化して龍力を撒き散らしまくったんだな。その世界はどうせ、いわゆる「悪魔」が勝ち、生物を滅ぼした世界で、そこの原初神に「一から作り直すから、こいつらも滅ぼしてくれないか」と要請があった世界だよ。で…面倒くさいから後回しにしてたから、ちょうど良かったんだ。
「ラグナロクの後始末をパパとお姉様はしてたんだ。」
成り行きでね。
さて、転覆して(脱線だの転覆だの、びっくりしたなぁもう)すっかり裏返しになった船底に俺達はいる訳ですが。
「誰も脱出出来なかったのは、気のせいですか?それでも史実上は結構生存者は居ましたよね。」
細野さんとこのお爺さんとかね。
そこら辺は、これから始まる出鱈目タイムに参加させるわけにもいかないので、氷山と衝突して沈没した嘘記憶と一緒に、遥か彼方に救命ボートごと吹き飛ばしました。
いよいよ大西洋編クライマックスの開始だぜ!
まだ、文字数にも余裕があるから、海坊主の3匹くらい斃せるだろ。
「三位一体の話がまた飛びましたけど。」
ああもう。簡単に言うと3人組って言うのは、お話しを広げるのに2人組よりやりやすいだけだよ。桃太郎とか西遊記とか。
「サンバルカンとかハカイダーとかアクマイザー3とか。」
「そういえば、トサカセンパイはバルパンサーの真似を小学生達に享受してまいた。」
「あの、猫手がポイントなのよね。」
………。もういいや。
という事だから。先ずは俺とジェニーの足元だけど。
ほいな。
我が愛車を久しぶりに取り出す。おっと、こないだまでビスマルクがいたから3列シートのままだった。直そう直そう。
「ご主人様。車は水の上を走れません。」
誰がそんな事決めたんだね。
「そんなこったろうと思いましたけど、空飛ぶ車でしたから、水陸両用くらいにはなるのだろうな、と。」
いま、水中走行機能もエンジンに命令したところ。
「内燃機関の説明はビスマルク宰相への説明で理解はしてますけど。」
おお、16世紀生まれの12歳が理解出来ていた。
「水が機関内部に侵入したら、エンジン内部の爆発が不可能になるのではありませんか?」
うちのエンジンは機械魔神機関だから。機械関係の出鱈目は大抵なんとかしてくれる。
「はああ?」
あっ。八咫烏が俺の背中に隠れてる。
そういえば北極圏を走っていた時は八咫烏とは敵対してたっけ。
「カー」
わかってるよ。お前さんは操られていた。だろ。
「おひさーだんなー。」
「うわぁ、車が喋り出した。ボンネットが開け閉めしてるぅ。カートゥーンですか?」
そんな嫌そうな顔すんなや。ジェニーさんや。
「水中仕様ね。オッケー。防水加工も完璧。推進力はスクリューにする?波動エンジンにする?それとも松戸市に本社がある会社の水中モーター?」
あれなあ。マブチはとっくに廃番になっててタミヤから出てんだよね。
「知りませんでした。ねぇ慎吾様。それではサブマリン707や、合体巨艦ヤマトはどうやって動かせば良いのかしら。」
「アトランジャーのリメイク版ってアトランジャーっぽくないのよねー。」
「知ってる?あれ、アニメ化してんのよ。」
「それは誰得な情報なの?」
俺得。
「それにしても、重力魔神だの機械魔神だの。パパの人生どうなってるの?」
其処彼処で暴れてたら、そんな縁ができただけだよ。って、「そこかしこ」って変換したら「其処彼処」になるんだ。知らなかったなぁ。
「機械魔神さんて気安い方なんですか?」
「私もだんなに負けて性奴隷になったクチだから。」
「慎吾様。お車と愛を交わすならば私達をもっと可愛がって下さい。」
もっとねぇ。因みにこいつの正体はセクサロイドだから。スケベ専用に作られたロボットだから。
「実際は助平じゃなく拳固で負けましたけど、エンシェントドラゴンみたいに可愛がってくれないし。らぶどーるなんか、てんがなんかめじゃないのに。ウィーンは私も得意です。」
だから代替え品でなく生身の嫁ーズがいるんだよ。俺には。
「慎吾様、拳固で勝ったんですか?」
「ロボット相手にどうやって?」
「ロボットじゃないよ。セクサロイドだよ。」
今やれというなら、手っ取り早く重力魔神で押し潰すけど。
本編の最初で俺を殺そうとした連中を、裁判所と称した競技場を丸ごと原子レベルまでお煎餅にしてるから。読み返しなさい。
「旦那様?質量保存の法則って知ってます?」
あ、ついでに、原子ごと潰したらブラックホールが出来たよ。
「普通の人はブラックホールとかほいほい作りません。」
だから、紹介文に書いてあんだろ。この人を怒らしちゃ駄目って。
「こっちのサイトには書いてませんよ。」
あら本当だ。…あ、しまった。
「何故いきなりコーヒーを淹れ始まるんですか?それも空中で。」
初期設定のコーヒー好きをすっかり忘れてたから。
「もう54回目が終わろうとしてますけど。」
ああ、とか遊んでたら、海坊主退治の紙面が尽きた。
『またかよ。まだかよ』
せっかく海坊主3人衆が待っててくれてるのに。
『あと、副題のビックワンガムってなんだよ。儂ら100円か?戦艦大和か?』
DXって書いてあるから、150円の方だね。
『ならば良し』
いいんだ。




