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第53話 おっぱいがいっぱい(どんな回だよ)

「負けた負けた。堪えきれなかった負けたって。セイレーン隊損傷率70%オーバーしてる。全滅判定だ。あたいらの負けだ!」

なんなのこのセイレーン。戦略SLGみたいなこと言い出したよ。母ちゃん達には内緒かな?


「というわけだ。あたいの負けだ。あたいらの負けだ。…つうか、こんなデカい船相手じゃあたいらはおまんまの食い上げになるわ!」

何やら開き直った土下座セイレーンは、今度は胡座をかき始めやがった。いや、人間体で全裸のまま胡座かいたら、股ぐらが丸見えだぞ。

「慎吾様?股ぐらって言葉は、幾ら妖怪相手でも酷いと思うの。」

お嫁さん的には、セイレーンは妖怪という認識なんだ。そういえば、映画「妖怪大戦争」1968年大映では、ダイモンを西洋妖怪と定義してたなぁ。

「パパの喋りがどんどん解説口調になって来た件について。」

「奥様会議が必要ですか?」

説明しよう!(タイムボカンシリーズより、富山敬さん風に)

「ほら、解説口調だ。」

「どちらにしても、ネタが古いし。もう故人だし。」

…そこにまでツッコミ始めると、ますます話が進まなくなるぞ。最初のプロットでは、そろそろ大西洋のボスキャラが出てくる筈だったんだ。

セイレーンなんか捨てキャラの予定だったのに、すぐに殺しきる予定だったのに。全裸の姐ちゃんが勝手に叫び始めたもんだから、こうやって余計な描写が増えていくんだよ。なんで捨てキャラまで暴走し始めんだよ。タスケテー。

 


「ど、どうなさるんでさぁ。」

股間を押さえて前屈みになっているのは船員さん。って言うか、あんたまだ居たんだ。

「因みに、あっしのプロットはどうだったんですかい?」

セイレーンに首を斬られて死ぬ予定だったよ。

「そうなの?」

だって助けを求めに来た、名前も決めてないオッさんだよ?可憐な美少女ならともかく、オッさんに生きる価値は無かろうて。

「そ、そんなぁ。」

可憐な美少女は、とりあえずそこに余っているからなぁ。

「「「「まぁ(はぁと)」」」」

括弧が4人分有りやがる、ってピヨちゃんかい。声帯だけ勝手に戻すな。

「ピヨ(あんさん、セイレーンの呼吸器弄って声帯で遊んでたやん)」

( )で意志を表明する描写は、テレパシー的な能力と判断するけど、ピヨ一言では長すぎないかい?ってあんた出雲出身じゃないの?

どこ弁?

「ピヨ(ドカベンみたいに言うなや。あと子供向けの漫画を否定すんな。)」

否定じゃありませんけどね。

「ピヨ(尾張幕府直轄内部監察所総監督)」

わぁごめんなさい。あなたまでボケ始めるとボケしかいないパーティという、前代未聞の主人公集団が出来上がりますから、人間体の多岐都姫バージョン以外では、小鳥的な表現以外は控えて下さい。

「ピヨ(仕方がないのう)」

「…パパがピヨちゃんに土下座してます。」

「あっしはどうしたら良いんで?」

「死にたくないなら、ここらで退場した方がいいですよ。船員さんの船員さんを大人しくさせないとね。」

「そうします。」

船員A、退場。良かったね、死なないで。

「ジェニーさん?お下劣ですよ。」

「旦那様はどう処理してんだろう。」

君らに毎晩スカスカになるまで搾り取られているから、体内工場が毎日大回転だよ。

「花びらだ…。」

「ストーップ!さっきからどうしたの?ジェニーは今日下ネタの日?」

そりゃ、ジェニーは特に鍛錬とかしてない普通の女の子だからな。アレの影響を受けたんだろ。

寝転がったまま、V字開脚して具を見せつけている愉快すぎるセイレーンの姐ちゃんを指差した。

アレでも一応人外だから、人の精神に影響をもたらす毒電波を、ずっとみょんみょん垂れ流しっぱなしなんだぞ。

「…ああ、アレは確かに、そばにいちゃ駄目なやつだ。」

お嫁さんは、ジェニーの両目を目隠しする。

いや、君も3つしか違わない女の子だよ。ユカリさん、お願いします!(西野さん風)

「実年齢はともかく、身体は幼女なんだけどなぁ。」

身体は幼女、頭は数百歳の娘が、15歳のおかーさんを目隠しするという、縦に並んだ三猿というか、トーテムポールというか、目隠し奥様軍団の出来上がり。…カオスだ。


「というわけで、儂の身体を自由にして良いから助けてくれんか。この通り、おっぱいは芸術品じゃぞ。触り放題舐め放題じゃ。」

別に要らないなぁ。触り放題舐め放題のおっぱいなら、ここに中小並んでるし。

「まぁまぁ。それはそれは。どうぞどうぞ、ご自由にお触り下さいましお舐め下さいまし。」

「てか慎吾様?中小のおっぱいて。」

ん?中くらいのおっぱい(12歳)と小さいおっぱい(15歳)の2組だろ。薄っぺらいって自分で前回言ってだじゃん。

「自分でいうのは自虐になりますが、想い人にはっきり言われちゃうと、この人のデリカシーってどこにあるんだろうと…。」

冷めますか?

「調教のしがいがありますね。日本人ならばこその薄いおっぱいです。…決してジェニーはこの先もどんどん成長しちゃうんだろうなぁおっぱいが、とか羨ましいわけではありません。」

「奥様。わたくしは多分この先、おっぱいだけじゃなく背も伸びて、腰も括れて、バンキュッボンになる事は既定的事実ですよ。」

「だからです!慎吾様に少しありそうなロリコン嗜好を伸ばす野望です!逆光源氏計画です!」

光源氏計画を逆さまに完遂すると、俺はロリコンになるんか?

俺はユカリさんのまな板から、ドラゴンちゃんの大キレットまで、世にあまねくおっぱいをこよなく愛している男だぞ。とりあえず33歳までは。

(考えてみたら、いわゆる熟女系とは文字通り、あまり絡んだ事ないや。配偶者として添い遂げた人はいるけど、そんな歳まで夫婦生活にあまり励んでなかったし、そんな文化でもなかったな)

「で、儂はいつまでおっ広げてれば良いんじゃ?」

誰も頼んでないがな。


「大体、そんな指で摘んでおしまいみたいなおっぱいよりも、こんな豊満なおっぱいの方が揉み心地満点じゃそう。」

おっ広げながら、自分のおっぱいを揉んで媚を売り始めた。このセイレーン、そろそろ鬱陶しく(面白く)なってきた。

つうか、これだけ一話の中で、おっぱいおっぱい言ってる俺達ってなんなのよ。しかも男は俺だけだぞ。

「カー」

ああ、八咫烏くんは雄だっけ。君も今回ずっとしょんぼりしてるね。

「カー」

だよね。迂闊に口挟んだら負けだよね。


さてと、1人エッチをおっぱじめそうなセイレーンをなんとかせねばなるまい。

左手がだんだん下に下がってきてるし。

ドラゴンちゃん。カモーン。


「なんじゃご主人、こっちゃまだまだ忙しいんだぞ。くっころ騎士に飽きてきたから、奉公に上がったお赤飯前の田舎娘ななさいをなんとかかんとかしようかと考えている最中だ。」

それはもう、フィクションの世界でも犯罪だから、もう少し寝かせなさい。その子の年齢について、数字も漢字も出したくないぞ。

「12の娘子を妾にしとる我が主にだけは、言われたくないぞ。」

あ、こら。目隠しされてるお嫁さんの口元が歪んでる。逆光源氏計画の実現性を考えてほくそ笑んでるよ。


これ、あげる。

「え?」

とうとう股ぐらを触り始めた全裸の首根っこを掴むと、ドラゴンちゃんの方にほん投げた。

「ん?なんじゃ、ただのセイレーンか」

「うわわわわ、り、龍だあー。食べられるー。」

おや、人間体のドラゴンちゃんだけど、正体はわかるんだ。

「確かにセイレーンは食った事ないなぁ。ほら、アタシの世界にはいなかったし。」

なんかさっきから発情期に入ったみたいだから、たっぷり虐めても大丈夫だろ。

モンスターの類いだから神力にはひとたまりもなかったけど、龍力なら幾らでも「延命」できんじゃない?

「なるほど。見た目も悪くないし、我が主以外にしたい放題しても平気な奴の存在は心強い。」

何をもって、どう心強いのかは聞くのやめよう。なんか俺も好き放題する対象みたいだし。

「えと、あの、その、私、おんな、雌。」

「それがどうした。儂の主食はそっちじゃ。」

「ええー?うわー!お助けー!さっき話に出てた大西洋のボスの情報を教えるからぁ!」

ああ成る程。本来なら彼女はその為に出てきた筈だったのか。んでもまぁ知ってるよ。大体見当がつくけど、海坊主ってオチじゃない?

「…………。」

当りだった様だ。

「んじゃ、いただきまーす♪」

「あーれー。」

「因みに我が主様よ。奥方達の固い小ちゃなおっぱいに飽きたら、アタシの芯がない程柔らかいおっぱいを愛しに来ればよい。ワクワクして待っとるからな。あはははははは。」

「いーやぁー!」

ほんとに嫌なの?

「………………。」

本当にわかりやすいセイレーン姐ちゃんでした。なんか偉そうだったし、多分セイレーン界隈では二つ名の一つもありそうだったセイレーンA、退場。

「喜劇の台本ですか!」

そんな例えをしたら、喜劇の台本さんが怒り出すと思うよ。ユカリさん。

「パパが言うと、擬人化した台本がプンプン怒り出しそうだから、やめて下さい。」

宙に浮かんでおかーさんの目隠しをしたままの向けに土下座されました。

我が家で流行りそうだな。土下座。


「海坊主、ですか…。」

顎に手を置き、お嫁さんが考え込んでる頭に顎を置いたユカリさんがニコニコ笑ってる。

実はこの2人、本当の親子の様に仲がいい。

ウィーンで、俺抜きで共同戦線を張って勝ち抜いたせいか、とにかくユカリさんがサユリさんを信頼してベッタリだ。

その様子を指を咥えて見てるジェニーも可愛い。本来なら、まだ母親に甘えたい年頃なのに、中世イギリス王室という特殊性が一般的な親子の愛を育む事を許さなかった。

なので、俺がジェニーの頭に顎を乗せる。

勿論、嫌がる筈もなく、両手を伸ばして俺の頭を抱き抱えてくれる。


「海坊主かぁ。どんなんかなぁ。私の刀が通用する魔王かなぁ。」

「サングラスをかけて、頭がつるっ禿げの…。」

いや、あの人が出て来たら、刀一本のお嫁さんじゃどうしようもないから。

斬鉄剣でつまらぬモノを斬る侍みたいな、弾丸を弾くスキルはまだ教えて無いし。

「……それは、旦那様なら出来るって事ですよね…。」

「楽しみにしてますね。」

「…このトンデモ師弟は…。なるべくして、夫婦になり、なるべくして師弟になりましたんですね。」

「あら、ジェニーさん。なんか絡みますね?」

「別にぃ。ただわたくしは旦那様と身体の繋がりはあっても、奥様みたいに深いところで繋がれないのかなぁって、寂しく、羨ましくなっただけです。」

そこら辺は、それぞれの役割分担というものがあるから。とりあえず今はおっぱいを揉ませなさい。 

「どうぞ、…って何ですか。気持ち良すぎて腰が抜けそう…。」

それだと、俺の顎の置き場に困るので。

「わたくしは、旦那様の顎置き場ですか?」

やめよか?

「とんでもない。頭から、おっぱいから、足の付け根まで、わたくしの身体は全部旦那様の頭置きです。」

とか嬉しい事を言ってくれるけど、俺のどこかに頭を乗せて昼寝することが日課なんだよね。このお姫様。


「海坊主というと、黒くて丸くて目ん玉が爛々と光っているイメージですが。」

それは、水木しげる御大のイメージ画だねぇ。さすがは日本人のお嫁さんだ。

「ちょうど、あんな風に。」

そのお嫁さんが指差した遥か沖合には、黒くて丸い物体が、海面をぐうっと盛り上げて登場するところだった。


「あれが海坊主、ですが。」

いいけどジェニーは、俺の手を股間に押し付けるんじゃありません。

さっきのセイレーンと言い、ここはタイタニックの甲板で、まだ真っ昼間です。

「真っ昼間王です。」

ユカリさんはボケに回って欲しくないなあ。

「こっちに来ますわねぇ。」

そりゃ、次回はボス戦だしね。

「刀って通用しますか?」

その前に、ここが海だって事、忘れて無いかい?

「そういえば、この船、タイタニック号でしたわね。」

「…ねぇ慎吾様?」


俺達ってね。確かに滅茶苦茶してるけど、ウィーンとかブロッケン山とか。

ベートーヴェンとか、ビスマルクとか。

実在の歴史、場所、人物に極力影響を及ぼさない様に、細心の注意を払って出鱈目やってんだよ。だから当然、タイタニックは処女航海で沈みます。

相手が氷山じゃなく海坊主なだけで。

「そんな出鱈目ありませんよう。」

「んじゃ、この船は…」

次回、当然沈みます。さっきの助かった船員さんの運命や如何に。

「旦那様の事だから、どうせ助かるんでしょうね。」

「私はさっさと龍になってた方がいいのかなぁ。」

あまりメタ的な先読みをするんじゃありません。奥様。

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