表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/85

第50話 海へ!(他に目的無いし)

「街頭であり、口頭であるが、プロイセン公国を代表してプロイセン公国の民より、ここに厚く礼を申し上げる。」

街頭じゃなくて思いっきり山中であり、山頂だけどね。ここ。

「噂には聞いてはいたが、ブロッケン山の怪物がデビルだとは思わなんだとて。」

んー。ブロッケン山の怪物とメフィストは違うんだけどね。

因みに、ブロッケン山のダイダラボッチは


「遊んだし、暴れたし、なんか色々動くまわったら疲れちゃったのーん。」


と言って、さっさと元の影に戻ってる。 

つうか、さっきメフィストを(間違えて)倒しちゃったら、ブロッケン山はすっかり晴れわたっちゃったので、怪物の姿は文字通り今は影も形もない。

「吾輩にもよく分からんが、どちらにせよ我が国に巣食うデビルを退治てくれた事には変わりなかろう。それだけで“黒鷲勲章“ものじゃとで。」

面倒くさいから叙勲は無しの方向で。果てしなく無しの方向で。

「残念じゃのう。おんしらが居れば、ナポレオンの3人や4人、5人や6人、超楽勝じゃろうに。」

いい歳したオッさんが、超とか言うなや。あと、ナポレオンは2人しか来ないから。

「……冗談で言ったんじゃが、2人来るんかい!」

史実によれば、ロマノフ家が(というか冬将軍が)ナポレオンを撃ち破って、プロイセン軍は役立たずに終わるけどね。

2人目のナポレオンとはガチ戦争して勝つけど。

「やれやれ、ヨーロッパに春はまだ来んのか。」

プロイセン=ドイツ的には、あと2回ばかり世界大戦の(駄目な方の)主役になるけど。あと知らん顔しがちだけど、オーストリアも。

それはこれ(略)。お得意の製造業と、それに伴う開発力、あと製薬業で、いつのまにか何とかなってる国だから。春なんか、あと200年くらい来ないよ。そのかわり冬も、欧州各国と比較すれば短い国だけどね。


あ、あとね。

「なんじゃい?」

エンジン。レシプロエンジン。

アレの実用化はイギリスやフランスが先だけど、作っちゃえば?基本的に燃えるものを燃せばエネルギーになるって事だけ理解してりゃ、なんとかなる絡繰だから。

「ふむ。要は錬鉄の強度と純度。歯車と歯車比でベクトルを変えれば実用性は高くなるか…ぶつぶつ。」

はい、案の定、このオッさんに宿題を与えると夢中になるので、ぶつくさ言ってる背中を蹴飛ばして、◯こでもドアの向こうに追い出します。あー鬱陶しかった。


「旦那様?我がイギリスの発明をプロイセン如きにけしかけるとは、けしからんです。あ、これ駄洒落です。」

しかして、そのココロは?

「駄洒落が思い付いたから、言いたくなりました。わりかし口が気持ち良くてビックリです。でもね。…………わたくしは国に捨てられた女ですから、実は愛国心なんかとっくに捨ててます。食えない愛国心より、駄洒落で旦那様を気を引いて、一夜の愛を頂く方が好きなので。大好きなので。」

俺は駄洒落と引き換えに夜一回励まないとならんのか。

「えーとえーとえーと。」

お嫁さんまで必死に駄洒落を考えんでも。ちゃんと2人とも可愛がってやるよ。

「「わーい」」

喜び方は子供なくせに、求めるご褒美のでアダルティな事。


さて、とりあえず。

多岐都姫をピヨちゃんに戻さにゃ。

「今回は何にも出来なかったぞ。あ、こら…ピヨ…」

お前さんに何かあったら、母ちゃんが怖いんだよ。知ってんだろ?ニコニコ笑いながら「あらあらうふふ」と言いながら、天の岩戸に籠っちゃうんだそう。こっちは暗闇になっても、岩の向こうからは


「あらあらうふふあらあらうふふあらあらうふふあらあらうふふ」


って、ずっと聞こえるんだぞ。今回もさ、北の大地で封印されてたのを解いてやったのに、俺とお前さんに全部丸投げして、封印先から出て来なかったべや。今時、この会話を盗み聞きして「あらあらうふふあらあらうふふ」って1人で言ってるぞ。なぁ。スパイの烏ちゃん。

「ク、ク。クワー。」

烏のくせに、抜足差足でそうっと逃げようとしてた八咫烏を無造作に掴んでみたらさ、案の定、「クワクワクフフ。クワクワクフフ。」って鳴き出すし。

「…ピヨ…」

てな訳だ。諦めれ。

「あ、下二段活用ですね。」

無学だったお嫁さんが、ツッコミの為だけにどんどん学を積み重ねている件。

「ジェニーに教わりました。」

「わたくしが教えました。」

なんでエゲレス人が、日本の古典文法に詳しいんだろ?


ではでは。閑話休題(余談だが)。

「あ、それは司馬遼太郎構文ですね。」

閑話休題を(それはともかく)と読み仮名にするのにも飽きたし。あと、イギリス皇女が司馬遼太郎の愛読者だった件。

あとあと、サイトによっては勝手にルビにされちゃうから、色々気を使わないといけないんだよ。

「サイト?」

「斉藤道三。」

何故その斉藤を選ぶんだか。




次、どうすっかね。

このまま西に行けば、(何処まで地形が混乱してるか分からんけど)フランスからスペイン。で、大西洋か。フランスだと、これと言って著名な魔王はいないし、スペインに至っては、魔王と言えばビールの銘柄だ。


おかーちゃんのスパイと知れた八咫烏の頭を嘴で突きまくっているピヨちゃんの「神鳥」コンビには、なんも考え無さそうだし。

仲良く喧嘩しな。

「ピヨピヨピヨピヨ」

「クワクワクフフ」

仲良しだなぁ。


ユカリさんには何かあるかい?

「お姉様を見てもわかるでしょ。龍は刹那主義なので、いつも流されるだけだよ。パパはいつも面白い方向に私を流してくれるから好きー!大好きだよー。」  

ハイハイ。娘から激烈なラブコールを頂きました。何の役にも立たないけど、可愛いから全て良し。


お嫁さんは?

「私は死ぬまで慎吾様の3歩後ろを、師の影を踏む事無く、ただ共に歩むだけです。」 

つまり、何も考えないと。

「考えるのはジェニーの仕事ですから。」

「へ?わたくし?」

だってさ。

「わたくしは12歳の女の子ですよ。ただの。(倒置法)全てを捧げた殿方の後を、ニコニコしながらついて行く事以外出来ませんよ?」


家族会議の結果、誰一人として後先を考えていない事だけはよーくわかった。

「そーゆー慎吾様はどうなんですか?」

ん?俺?

俺はいつも通り、力尽くでやりたい事やるだけだよ。

「つまり、何も考えていないと。」

おうっ。

「威張られましたよ奥様。」

「開き直りましたね奥様。」

「…ねぇパパ。いい加減そろそろ話を進めた方がいいと思うの。」

うむ。今回も2000字を越えたけど、ビスマルクがベルリンに帰った事以外、マジで一歩も足を動かして無いし。


で、で、で。

海ちゃんよ。俺ちゃんの海よ。

副題で海って書いたし、折角だから海に来た。コンバット越前。

「今何か?変な一人称が聞こえましたよう。」

ちゃんをつけないと、あそこに叱られるでしょ。ついでに音階も変えてるからね。

「海、ですか。初めて見ました。」

ああ、この世界のイギリスは、何故か内陸国だったね。

テキトーに南下して来た訳だけんど、ここ何処かねぇ。

「パパ、あそこ。アレ見て。」

ん?ユカリさんが指差したのは遥か西方。

「あそこでなんかデカい人がゲンコツで岩壁を壊してるよ。」

あー、ありゃヘラクレスだなぁ。つうと、あそこはジブラルタル海峡か。

一応、方向通り、地中海である事には間違いないんだ。


「ちょっと待って下さい。旦那様?ヘラクレスって、あのギリシャの英雄ヘラクレス?ですか?」

どうしたの今更。モーツァルトだの、ビスマルクだの、どちらかっつうとジェニーよりの文化圏の人間がぞろぞろ大行進してたここ数話なんだから、そりゃヘラクレスの1人くらい出るだろう。

「それはそうなんですけど、うーんうーん。」


ケルト神話のイギリス人にとって、ギリシャ神話の登場人物が出てくる事が、そんなに気になるかね。

「………。あ、そっか。国が違うんだ。アーサー王とかならともかく、アレはただのヘラクレスなのね。」

ただのヘラクレスって言う言い方も酷いけど。あと、アイツは場所説明の為の背景だから、差し当たっては絡まないからね。

「神様出して、放置とか。」

「それもいつものパパだし。」

「ね。セルフコントロール。セルフコントロール。旦那様は滅茶苦茶。旦那様はしっちゃかめっちゃか。旦那様にセオリー無し。」

なんか、ジェニーに酷い事言われてる。


4人と2羽でぞろぞろと港まで歩いて来たよ。

2羽は俺の頭の上で、取っ組み合いしたまんま。その姿を「可愛いの」とジェニーが指を咥えて眺めてる。

通りすがりの船乗りが、面白そうに眺めてる。俺的には、髪が乱れるから、ちょい迷惑。


港には2隻の船が舫っていた。

うーん。どっちも木造ではなく鋼鉄船だぞ。相変わらず時代がわからないなぁ。

因みに船名は?っと。一家で船首まで歩いて来てみれば。

右の船 「タイタニック」

左の船 「万◯峰号」

うわぁお。最悪の究極の選択だあ。

「慎吾様。右の船は何処行くんですか?」

処女航海で氷山にぶつかって、海の底まで。

つうか、タイタニックの母港は、地中海じゃなくて、リバプールの筈だけどなぁ。今じゃ頭が寂しくなった山田が風になったとこ。

「……左の船は?」

将軍様独裁の地上の楽園まで。

「…ハズレしかありませんよう。」


俺的には右かなぁ。

「沈むんですよね。」

多分ね。でも、この地球らしき世界、色々歴史も地理も、グッチャグチャに入り混じってるし。どうなるかわかりませんよ。お嫁さん。

「因みに左を選ぶと…」

暇つぶしに革命を起こすか、それとも力任せに国を縦断するか。かなぁ。

「船に乗らないって言う選択肢はないんですか?あるわけありませんよね。」

うん!

「良いご返事ですね。」

「ジェニーさん。慎吾様は、わざわざ厄介ごとに首を突っ込む気満々なんですよ。」

「それは、いつもの旦那様と、どう違うんですか?」

「………………。ああ、いつも通りだ。」

失礼な。

「それに、エンシェントドラゴンのユカリ様が居られますから、例え船が沈没しても、空を飛んで逃げられますよ。」

「あれ?私達って、実は無敵の人?」

そう言う言い方は、色々自虐が過ぎる意味合いを含むから、あんまり言わない様に。

あと、空飛ぶのもいい加減飽きない?

「「飽きないです!!」」

ワオ。


「普通の人は、死ぬまで空なんか飛びませんよう。」

「…何故かしら。素直に空を飛んだ方が良いって判断が、頭のどこかから沸々と湧いてくるんですけど。」

うむ。さすがはジェニーだ。


つかね。

俺達は、空を飛び山を越え、砂漠を越えて極地を越えて、やって来た訳よ。ハットリくんよりも過酷な道程を、ゲラゲラ笑いながらやって来たんだよ。

そしたら、あとは、海。

今回、海を越えれば、我らの未踏の地は海中と地中を残すのみ!燃えるだろ。赤いトラクターに乗りたくなるだろ!

「私達は女の子なので。」


とは言ってもだ。

あと周りを見渡しても、見える船は

・アルゴ号

・矢切の渡し船

・宇宙戦艦各種

くらいしか、無いんだよ。

「あ、ほんとだ。あの人が北酒場をカラオケで歌いながら舵取ってる。」

「地中海で何処から何処を渡すと言うのかしらね。」

「宇宙戦艦各種は凄いなぁ。パパ、あれ乗らないの?」

ん?単なる賑やかし賑やかし。大体、宇宙を飛ぶドラゴンってなんなん?絵にならないじゃん。……大映巨大亀はしょっちゅう宇宙を飛んでたけど。

ま。今回は、轟天号とか、ノーチラス号とか、ブルーノアとか居ないから、普通にタイタニックに乗船しようよ。


「旦那様。魔王目当てなら、アルゴ号って言うのもアリじゃないですか?」

それはヘラクレス達の船だから。

あと、出て来る怪物がネタ割れしてるし。

「ヘラクレスって、背景だけじゃなかったんですね。」

多分、俺達の言葉遊びで実存しちゃったんだろ。つうか、多分俺のせいだ。

「「「ですよねー」」」

ユカリさんまで嫁ーズに混ざりやがった。



「まぁ死なないなら、タイタニックでも構いませんけど、折角海に来たのですから、海産物とか食べたいですねぇ。」

「う、ニッポンジンって、お魚を生で食べるんでしょ。蛸とか雲丹とか、海鞘とか海鼠とか食べちゃうんでしょ。」

ジェニーさん。海の生き物を漢字で書くと、どんどん読めなくなるから、そこら辺にしときませう。

「今までは、ほら。慎吾様やユカリさんが狩って来た野獣の肉や、川魚ばかりだったからねぇ。お野菜とかは野草か山菜か、宿に泊まった時しか食べなかったし。たまには違う蛋白質を食べたいよう。」 

「確かに。宿やレストランの食事より、旦那様達と作るお料理の方が、野趣豊かで、そこら辺のプロの料理人より美味しいご飯を食べてました。」

「美味しいご飯と幸せな夜があるから、私達は慎吾様に従っている訳だしね。」

うちの嫁ーズは、食欲と性欲だけで俺の後を着いてきてる様だ。

…うーん。割と身に覚えが有る気がする。


「つまり、万景◯号や、アルゴ号に乗ると、美味しいご飯が食べられないと。」

あっちは慢性マンセー食糧不足だし。

そっちは、ハーピーとかサイクロプスとかクラーケンとかばかりだし。

「クラーケン!烏賊!スルメ!素麺!」

「奥様。クラーケンってダイオウイカみたいなもので、多分、すごぉく大味か、鼻摘んじゃうほどアンモニア臭いか、どちらかですよ。」

「あー。クニで食べたフカみたいな奴かぁ。じゃあいらないや。」


まぁまぁ。蛸や烏賊なら、あとで暇つぶしに釣っとくよ。俺も久しぶりにイカ焼きやたこ焼きが食べたくなってきたからな。

七輪で身が縮む寸前まで焼いて、醤油でちょっと焦がして、仕上げに七味をパラパラ掛けて、お酒のおつまみにするイカ焼きとか。

表面カリカリ、中はふんわり、噛むと口の中には出汁汁たっぷり。大っきいタコの熱さで、軽く火傷しちゃう。けど、やめられない止まらないタコ焼きとか。


「「いざ、タイタニックへ!」」

相変わらず食欲と性欲の嫁ーズどもよ。

つうか、イカタコにジェニーは嫌悪感を出してなかった? 

「だって、旦那様と奥様が本当に美味しそうなお顔をなさるんですもの。」


あ、食いもんの話したら、今まで喧嘩してた鳥ーズと、ついでにユカリーズが、俺の頭に盛大に涎を垂らしましたとさ。

…お前ら…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ