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第42話 ドイツ!(まだつかない)

今回は初っ端から主題歌行くぞォ!


飴が美味しいヘアピンカアブ♪


「ここには飴もヘアピンもカーブも有りませんけどねえ。」


「あ〜れ〜えぇ〜!」


だからって、歌詞カード通りに歌うわけにもいかんでしょ。あれが来るから。ジャス何とかが。


「ひえ〜えぇ。」


「乗ってた車をいきなりマッハ号に変えちゃうとか、パパの考える事は飛びすぎではなかろうか?いや、カッコいいけどね。」

いや、単に空飛ぶ車で一番最初に思いついたんだよ。好きな事は否定しないけどさ。


「どひゃ〜!」


「て言うか、オープニングでジャンプしてますけど、マッハ号自体は飛びませんよう。飛ぶならブレードランナーとか、バックトゥザ・フューチャーとかを参照にした方がいいのでは?」


「浮いてる飛んでる高い高い高い高いですぅ!」


だってほら、スピナーとかさ、なんか細くて俺達全員乗れそうにないじゃん。だったら何も考えず、羽根を生やしてみたのさ。マイケル。前回のラスト参照な、宇宙の戦艦の大気圏飛行時のあれ、付けてみた。ついでに先っちょ出っ張らせて。

そしたらまぁ、この車ったら飛ぶ飛ぶ。


「何で!何でみなさん、こんな高く空飛んでるのに、仲良くお話ししてんですか〜!」


「「「別に空飛ぶの初めてじゃないし」」」

「ピヨ」「カー」

いや、君らは鳥でしょ。


「普通、人は空を飛びませ〜ん!」


まぁ、ジェニーの時代は飛行機どころか気球も無いしね。俺達はユカリさんで時々飛んでたけど。


8千メートル級のをお、山々をお、歩いて越えるのはあ…

「慎吾様?前回ウゼェって叱った筈ですが。ぷんすかぷん。」

怖い怖い。お嫁さんが怖いよう。

お嫁さんが怖いから、空を飛び越える事にしたんだよ。

「パパ。どういうわけで私で飛ばないの?」

エンシェントドラゴンとしての出番を奪われたユカリさんまでご機嫌斜めだ。

なのでマッハ号の歌で使った飴ちゃんをあげよう。

「わーい。」

「奥様って何げに旦那様を尻に敷いてますよね。」

「ううん。我が家は基本的に亭主関白ですよ。豊臣秀吉です。藤原頼通です。」

懐かしいなぁ。秀吉はともかく、平安時代の摂関家の話なんかフィクションがあまりないから、歴史の教科書以来聞く名前だ。

「誰ですそれ?」

「あのねジェニー。普段どれだけ馬鹿やっても、馬鹿をやり合っても、慎吾様は私の旦那様ですし、夫ですし、主人ですし、主神ですし、主人公ですし、主治医ですし、主従です。弟子と師匠です。女と男です。」

「途中に色々意味不明な名詞が有りました気がしましたが。」

ましたました。

「慎吾様には絶対服従なんですよう。」

お嫁さんには別にそこまで求めて無いんだけどね。

単にお嫁さんが、夫で師匠に服従したいMっ気があるのかと。

「女ですもん。夫に全てを委ねるのも、幸せの形の一つですよう。」

そうですか。


ところでサユリさん。

「何ですか?慎吾様。」

ジェニーにちょいと魂入れをしてやってくれないかな。

…なんだその顔中に書いてある「胡散臭い」の文字は。

「ジェニーを何かの悪いセミナーに勧誘するつもりですか?」

ああ悪い悪い。言葉選びを間違った。

「というか、私に変な表情をさせる遊びはやめて欲しいな。表情筋が慎吾様の元に嫁入りしてから、無闇矢鱈と鍛えられました。」

バレてた。

「妻ですから。」

最近、妻アピール通じ合ってるアピールが凄いお嫁さんだった。

「だって、最近ジェニーとばかりお話ししてて構ってくんないんだもん。」

「奥様、だもんて。」 

子供か。

「15歳は充分子供です。」

天文年間ならば、普通に嫁入りする歳だべ?

「子供だもん。」

子供か。

「子供だもん。」

「あの〜、旦那様?奥様?…コイツら仲良いな。」

そりゃ夫婦だし。

「ねー。」

「五月蝿いよ。」


喝を入れてください、と俺はこう言いたかったのですよ。

「慎吾様にですか?」

無駄話ばかりで忘れがちだけど、お前さんが胡散臭いって顔に墨で書き出す前の話を思い出しなさい。

ジェニーにだよ。

見てみい。色々話をして少しは落ち着いたけど、ジェニーの手。震えが止まらないだろ。

「えぇと。一応洒落めかした悲鳴を上げて誤魔化してたんですけど。」

「……ごめんね。外の景色に夢中になってて、気が付かなかったの。」

「いいえ、大丈夫です奥様。」


ジェニーの背中から首筋にかけて、お前の不思議パワーをねじ込んでやるんだ。

「不思議パワーて。」

「なんか出来そうなので、しますね。」

「出来そうて、あの、心の準備がまだ…。」

なんなら俺がやろか?ハンドルから手ぇ離すけど。

「旦那様は運転に専念しててくだちぃ。」

ジェニーの言語能力がバグっちゃった。中国製Amazon製品のテキトー日本語説明書か!

「諦めなさい覚悟しなさい行きますよ。」

「お姉ちゃん句読点無しで迫らないで、ひえゑゑ。」

テンパって奥様がお姉ちゃんになってるぞ。

イギリス人が器用にも旧仮名遣いを発音したり、お待ちなさいドタバタと狭い車内の後部座席で賑やかに騒いでたりしてたけど、お嫁さんの気魄に満ちた一声とジェニーの喘ぎ声(なんで?)がしてからは静かになりました。

「パパ。なんか金髪ちゃん、自分の身体を抱き締めてはぁはぁ言ってるよ。」

見ちゃいけませんよ。あと、金髪ちゃんて。


「あの、何をどうわたくしにしたんですか?」

しばらくして、後部座席から恐る恐るジェニーが顔だけつき出してきた。

ん?そだね。試しに窓から下を見てみ。

恐る恐るジェニーは顔を窓にペタリと貼り付けた。

「…雪山が綺麗ですね。山って上から見ると、また麓からとは違った美しさがありますね。」

空飛んでて、まだ怖い?

「……あれ?…あれあれ?さっきまであれだけ怖かったのに、今では何も怖くないです。」

それが俗に言う「胆力」だ。

今の自分が危険なのか、安全なのか。

周囲と自分の状況を冷静沈着に判断して、自身の言動に瞬時に反映させる事が出来る。

武芸者や軍人が生き残る為に、習得しなくてはならない技能の一つだぁね。

因みにサユリさんも、北の帝国国境の、雪山の斜面で身に付けてる。喚いてたけど。

「そうだったんだ。」

知らぬは本人ばかり也。


「もう、何も怖くない!わたくし、ひとりぼっちじゃないもの!」

…あのね…ジェニーさん?

「大丈夫。わたくしはマミられませんから。」

いや、君は確かに金髪少女だけどさぁ。

「慎吾様?今回はまどマギ回ですかね。」

知らんがな。というか、今回こそドイツ行くからな。マミさん並みに濃い連中がゾロゾロ出てくる予定なんだ。…だったんだ。

(本当は前回に出したかったのに)


「ああ、林家彦六がよく軽く演った。」

それは落語のぞろぞろです。

「馬鹿野郎、早く食わねえからだ。」

それは黄色の持ちネタ彦六伝だよ。

「奥様は何を始めたの?」

「お餅にカビが生える仕組みを見事に解き明かしたの。」

「へぇ。奥様にも博識な面があるのですね。」

全然違うぞお姫様。

「あとは快傑だったり、海賊だったり。」

ぞろぞろからゾロ方面まで広げるのはやめなさい。終わんないから。ほんとに終わんないから。

何で、一度脱線すると、元に戻らなくなっちゃったんだろう。

「「「知らんがな」」」

お前らが言うなぁ!


「ここ、ドイツですかね。」

山を越えた後、ひと気の無い田舎道に着地した俺達は、車を馬車に変えてのんびりと旅を続けていた。今いつだか分からんからね。

別に空中戦艦轟天号で移動してもよかったけど、そこら辺は一応空気を読んで、いつの時代でも目立たない様な姿にしたわけだ。

で、3日程かけて、一つの街に到着した。

したそうそう、場所の確認を求められたんだよん。さて、手掛かりだけど。

あの建物から下がってる旗を見てみいジェニー。

「あの国旗、双頭の鷲って事は、神聖ローマ帝国!あと、あれはハプスグルグル!」

ぐるぐる回っちゃいかんなぁ。

要はオーストリアか。いきなりオーストリアか。

…他の東欧諸国は何処行ったんだろう。

今話題のウクライナとか。

ルーマニアには、面白そうなモンスターがいるのに。

「ドラクールとかカミーラとか、旦那様や奥様やユカリ様の相手にならないと思います。」

「慎吾様、とーおーってなんですか?」

うむ、ここは欧州と言って、大雑把に言えばジェニーんちの文化圏だ。

イングランドが島国じゃなく、内陸国なこの世界だから、どうせ何もかも出鱈目だろうけど。

「言葉も違いますけどね。英語・ドイツ語・フランス語・スペイン語。………。ところでわたくしは今、何語で皆様と話しているのでしょうか?」

ん〜。もう少しまともな設定を組んでるお話しなら魔法とかで辻褄合わせんだろうけど、当初の設定なんかとうの昔にどっか行っちゃってるし、そうだな。


「あの地下牢で出会った時は、ジェニーが英語をペラペラペラペーラって話してて、俺と身体を交えた事でサユリさん達と言葉も通じる様になった。だから中国妖怪で仏教天の沙悟浄とも話が出来た。」ってとこで。


「つまり、旦那様のチンコは翻訳蒟蒻と言う事ですね。」

こらこら、国民的少年漫画の便利道具なんだから、漢字にすれば良い(誤魔化せる)ってもんじゃないよ。

「食べたいなぁ。」

後でね。

「慎吾様、私も食べたいなぁ。」

…後でね。


神聖ローマ帝国領内で、ハプスクルグ家が前面に出てきてる様だから、時代としてはオーストリア公国から大公国の間ってとこか。

12世紀から17世紀だな。

「もう一つ、あの旗を見て下さい。」

ジェニーが川を走る幾艘もの船を指差す。

船に掛かるのは、赤を下地に月と星の旗。つまり。

トルコ、か。

「オスマン帝国の軍船ですわね。」

てことは、ウィーン包囲網。つまり、今この国は16世紀初頭って事か。ふーん。

「どうなさいますか?」

ん?人の歴史には介入しないよ。

どうせオーストリアが勝つし。

「ネタバレしやがりましたね。」

「でも、あちらから来たらどうしますか。こんな風に。」

あらら、なんか沢山兵隊さんが来たよ。

みんな鉄砲抱えてるし。

「イェニチェリ……。」

静かにジェニーが注意を促す。

「何ですか、それ。」

日本で例えるならば、雑賀孫一率いる雑賀衆火縄銃部隊みたいなもん。

「むむっ飛び道具とは卑怯なり。」

「旦那様、この後どうしますか?」

こうします。そろそろ(ぞろぞろ)文字数オーバーになりそうなので。


「次回に続く。」


ああ、タイトル通り、やっぱりドイツにつかなかった。

「ぞろぞろ。」

まだ言うか。



次回予告


「じゃあ、舞台をオーストリアに変えますんで、オスマンの連中をちゃっちゃと片付けて次回までに来てくださいな。」

いくら予定と違って丸々2回出てこなかったからって、出てきなさんな。ヴォルフガング何とかさん。

ってか、勝手に次回予告とか、本編に押し込むなよ。そこまでメタが酷いか。この作品。

「慎吾様慎吾様。作品なんですかねぇ。このお話し。ただの落書きみたいになって来ましたけど。」

作中の登場人物に言われちゃぁお終いだなぁ。

「ぞろぞろ。」

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